2008年06月27日(金)
GO! GO! あかばー [マラソン評論]
私は、いまだかつてこんなに手に汗にぎるレースを見たことがない。
日本選手権女子10000m。
渋井、福士、赤羽が3強と言われていた。
スポーツコメンテイター増田明美さんのレース展開予想通り、渋井が先行、福士は少し控えめの位置。われらが応援する赤羽さんは・・・、トップ渋井の背中にぴったりと、絶好の位置取り。
しばらく、10人くらいのトップグループが一列になっていた。その中には、私の一押しのぼり馬・松岡範子選手、地元立命館大出身・加納由理選手も入っていた。
中継の途中、急に女子走り幅跳びの画像になった。
「なにすんねー、NHK!」 うなっているうちに、元の10000mの画像に戻った。
「あー、赤羽さんが先頭になってるやん! ええとこ見れへんかったがな・・・。」
そのうち一人こぼれ二人こぼれ、渋井、赤羽、福士、松岡の4人が残った。
松岡選手は、交通事故からの復活らしい。左手がほとんど動いてなかったのは、その影響だろうか。しかし、その松岡選手も次第に離されていった。
渋井、赤羽、福士の順。
それを見ていた真樹の言葉。
「赤羽さんて、陸上選手やのに、色しろー。」確かに、黒(渋井)白(赤羽)黒(福士)のオセロになっとる。
3人の中では、渋井が一番元気に見えた。福士はちょっと汗が出すぎている感じ。赤羽さんはポーカーフェイス。しんどそうには、全然見えない。
廉の質問。「こんなんなったら、どのへんでしかけんの?」
「たぶん、8000くらいらへんちゃう。」
ほんまに、8000mで福士がしかけよった。ゆうたとおりに動いて、自分でもちょっと気持ち悪かった。
「このまま、残り2000は無理やろう。」確かに最初のしかけは不発に終わり、また3人が詰まった。
そしてだんご状態のまま残り1周(400m)。
満を持して出ました、われらが赤羽有紀子選手。福士選手はついていく力が残っておらず、渋井選手だけがぴったりと背後に。
ここからは、絶叫です。「あかばー、あかばー、・・・」
デッドヒートのすえ、最後の最後に渋井選手に差し帰され、胸の差の2位。
ただただ、「赤羽さん、ありがとうございます」のひと言です。いいレースを見せていただきました。
見終わった後、中2の真樹が言った。「高校は、陸上部に入ろうかなあ。」
赤羽さんが見せてくれた感動的なレースに、もううちの子は影響を受けています。
いろんなところでいろんな人があなたに注目しています。どうか北京でも、うちの子をうならせるようなレースをしてください。楽しみにしています。これからも家族で応援します。
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2008年06月24日(火)
赤羽有紀子選手を中心に [マラソン評論]
(2008年1月1日付京都新聞朝刊より)
「職業はママさんランナーです」と自ら誇りを込めて語り、レースが終われば至福の表情で1歳になった長女の優苗ちゃんを抱き上げる。海外では女子マラソンのラドクリフ(英国)ら出産後も第一線で活躍するランナーが増えているが、日本では赤羽が先駆者だ。昨年末には1万メートルで31分23秒27の自己ベストを出して、北京五輪の参加A標準を突破。五輪出場をはっきり視野にとらえた。
(略)
07年夏に世界選手権大阪大会が迫っていた。妊娠中は、出産後もすぐ走れるように、出産2日前までジョギングを継続した。「世界選手権の選考レースまでの日数を考え、出産後は1カ月で練習を再開しました」(夫・周平さん)。
選考レースで不振で世界選手権出場は逃したが、「世界」への思いは一層増した。
「子どもの存在は何事にも励みになる。走っている姿を見せたい」という思いから、レースには優苗ちゃんを連れてきてもらい、レース後に抱きしめる。「走ることが仕事で、これで生活している。子どもの将来も考えれば頑張るのは当然」とプロ意識にも拍車がかかった。
(略)
◎6月27日午後8時05分、日本選手権女子10000mがスタート。このレースで、北京オリンピック日本代表が決まる。出場予定選手は、以下のとおり。
(女子 10000m】
RNK・ナンバ-・競技者名・競技者名カナ・都道府県名・所属名・資格記録・自己ベスト (私の考えたオッズ)
1 52 渋井 陽子シブイ ヨウコ・東 京三井住友海上 31:19.73 30:48.89 4倍
2 21 赤羽 有紀子アカバ ユキコ・東 京ホクレン 31:23.27 31:23.27 4倍
3 236 福士 加代子フクシ カヨコ・京 都ワコール 31:30:94 30:51.81 3倍
4 36 脇田 茜ワキタ アカネ・千 葉豊田自動織機 31:39.32 31:39.32 5倍
5 184 宮内 宏子ミヤウチ ヒロコ・宮 崎OKI 31:42.86 31:42.86 6倍
6 183 宮内 洋子ミヤウチ ヨウコ・宮 崎OKI 31:50.45 31:50.45 6倍
7 83 杉原 加代スギハラ カヨ・三 重デンソー 31:54.59 31:47.60 7倍
8 84 清家 愛セイケ メグミ・京 都シスメックス 31:57.50 31:57.50 6倍
9 218 馬目 綾マノメ アヤ・埼 玉(株)しまむら 31:59.90 31:59.90 7倍
10 288 小ざき まりオザキ マリ・兵 庫ノーリツ 32:07.94 31:34.15 7倍
11 198 木さき良子キサキ リョウコ・大 阪ダイハツ 32:12.14 32:12.14 8倍
12 75 尾崎 好美オザキ ヨシミ・東 京第一生命 32:13.95 31:48.92 8倍
13 105 大南 博美オオミナミ ヒロミ・愛 知トヨタ車体 32:14.92 31:35.18 10倍
14 41 堀江 知佳ホリエ チカ千 葉・アルゼアスリ-トクラブ 32:17.31 32:17.31 20倍
15 81 平良 茜タイラ アカネ神奈川・パナソニック 32:18.28 32:12.67 20倍
16 171 松岡 範子マツオカ ノリコ・静 岡スズキ 32:21.26 31:49.89 7倍
17 53 扇 まどかオウギ マドカ・長 崎十八銀行 32:28.81 32:06.94 20倍
18 138 加納 由理カノウ ユリ・東 京SWAC 32:41.38 31:53.07 20倍
19 295 弘山 晴美ヒロヤマ ハルミ・東 京資生堂 32:45.76 31:22.72 10倍
20 257 堀越 愛未ホリコシ アイミ・群 馬ヤマダ電機 33:47.55 33:47.55 100倍
21 117 原 美紀子ハラ ミキコ・宮 城日本ケミコン 33:55.33 32:49.45 100倍
◎このレースの注目の的は、赤羽有紀子選手である。
先日、日テレの北京オリンピック前特別番組で紹介されてから、「ブログ炎上」状態らしい。
今回の出場予定メンバーを見ても、マラソン代表を目指して夢破れ「落ちてきた」イメージの選手が多い。その点、赤羽選手は初めから10000m一本ねらいであったと思われる。
私が赤羽選手を応援するわけ。
まず一番に、普通ぽいところ。渋井や福士の派手さとは正反対。地味である。顔に親しみが持てる。どこかでお見かけしたような・・・。
次に、娘の優苗(ゆうな)ちゃんが、うちの真樹の小さい時によう似とる。もう、それだけで好きになる。(8月で2歳だそうです。)
そして、よさげなだんなさん。あの献身的なサポート、とてもまねできない。
A標準記録を突破しているので、3位以内に入れば選ばれると思うのだが・・・。
さて、代表3人の予想は・・・。
「迷った時は、のぼり馬を買え。」 これが競馬の鉄則です。競馬と陸上競技を一緒くたにしたら怒られるかもしれませんが、案外この説は正しいかも。
思い起こせば、1978年6月の「高松宮杯」。その時4連勝中の「ヤマニンゴロー」。いくらのぼり馬とは言え、格下だと思われていた。ところが、ふたを開けてみれば、あれよあれよのぶっちぎりの圧勝。30年前のこのレース、おぼえている人はいるかなあ。
今回のメンバーで「のぼり馬」一番手は、松岡範子(スズキ)。6月1日に、男女混合レースとは言え、A標準を突破。31分31秒をたたき出した。さらに大化けする可能性あり。
シスメックスの清家愛も不気味だ。野口みずきといっしょに練習し、めきめき力をつけてきている。藤田監督との相性が合っておれば、こちらも大化けの可能性あり。
後は、脇田茜(豊田自動織機)。こちらも、小出監督の野望が残っておれば、一泡吹かせてくれるかも。
いいかげんな情報しか持たない私の、オリンピック選出オッズはどうでしょう。
10000点あれば、
赤羽有紀子さんに5000点(4倍で20000点)、
脇田茜さんに1000点(5倍で5000点)、
清家愛さんに1000点(6倍で6000点)、
松岡範子さんに1000点(7倍で7000点)、
京都の立命館大学出身の加納由理さんに1000点(20倍で20000点)、
沖縄石垣島・大浜中の入波平先生の元チームメイト平良茜さんに1000点(20倍で20000点)。
(加納さんと平良さんについては、3月9日名古屋女子マラソンの私のブログを見てください。)
この6人中1人でも2人でも選ばれれば、うれしい。
とりあえず、赤羽優苗ちゃん、お母さんをしっかり応援。赤羽周平さん、奥様をしっかりサポート、お願いします。(このお2人の顔を見たい方は、赤羽さんのブログへGO! )
赤羽有紀子選手のママさんランナー奮闘記
6月27日当日は、NHK総合テレビで生中継があるらしい。みなさん! 手に汗握って、しっかり見ましょう。(一応私の予想は、福士・赤羽・清家にしておきます。)
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2008年03月24日(月)
どしたん? 高橋尚子さん [マラソン評論]
◎今日はブログを休もうと思っていたが、超びっくりニュースが飛び込んできた。(ニュース検索の欄をそのままコピーさせていただきました。)
高橋尚子:来シーズンの東京、大阪、名古屋すべてに出場へ
笑顔で次の目標を明かした高橋尚子=東京都江東区で2008年3月24日、長野宏美撮影 名古屋国際女子マラソン27位で北京五輪の代表を逃した高橋尚子(ファイテン)は24日、東京都内で記者会見を開き、来シーズン、国内3大女子マラソンとなる東京国際(08年11月)、大阪国際(09年1月)、名古屋国際(09年3月)のすべてに出場する意向を明らかにした。
いずれも09年の世界選手権ベルリン大会の代表選考会を兼ねている。同じシーズンに3大会とも走るのは異例のケースとなるが、高橋は「どうしても夢だった。誰もやったことがないのでチャレンジし、応援してくれる人に恩返ししたい」と説明した。
「来年の名古屋が最後(引退)か」という報道陣の質問には「最後になるかもしれないし、まだやりたいと思えばやる」と明言を避けた。
世界選手権については「結果がついてくれば全力で取り組みたい」としながらも「今の時点では3大会に全力を尽くす」と強調した。
高橋は01年9月のベルリンマラソンで当時の世界最高記録で優勝、1週間後のシカゴマラソンにも挑戦する意向だったが、周囲の説得で断念した経緯がある。そのころから3大会連続出場を考えていたという。
「新たな目標を持てて良かった。マイナスからのスタートだが、根元をくさらせないよう大きな花を咲かせたい」と話した。【長野宏美】
毎日新聞 2008年3月24日 19時38分(最終更新 3月24日 19時59分)
◎これは、びっくり!
これは、まったく予想できなかった。
ヨメさんの感想。「市民ランナーの感覚に近づいてきたな。」
息子の廉に、3連勝の可能性を聞くと、「24の3乗分の1」。つまり、24×24×24=13824の1。なかなか理数系らしい、いい予想かも。(100円馬券なら138万円。それより、24位・24位・24位の確率のほうが実現性高いかも。)
さて、私は・・・、
夢の「高橋尚子の記者会見」
Q 「東京、大阪、名古屋を3連続で走ります。」
記者「なぜ、それを決意されたのですか。」
Q 「一般の市民ランナーの方の中には、毎週フルマラソンの大会に出ておられる方もあると聞きます。それがうらやましくて。」
記者「チームQは、今後どうされるんですか。」
Q 「もちろん、解散です。これ以上迷惑かけられませんから。その代わりと言ってはなんですが、今度『ヒールQ』を立ち上げます。」
記者「ヒールQ? いったいそれは・・・」
Q 「今後、『パオパオ』という国籍不明の方にサポートしてもらうことになったのですが、その方の指示です。もう、優等生はやめなさいって。これからは、今までやったことのない悪役をやりなさいって。」
記者「悪役? マラソンの悪役とは?」
Q 「実はまだ私もよく理解してないんですが・・・、彼の話ではとにかく好きなように、はちゃめちゃに走ってみろって。あのー、国際マラソンって、仮装ダメでしたよね。実は、あれもずっと前からやってみたかったんですけど。
楽天野村監督のささやき作戦もやってみたいです。レース中盤で『私は彼氏ができて毎日楽しいんだけど、あなたはどう?』とか、『ケーキ、ケーキ、肉まん、あんまん』とか、耳元でささやかれたらいやでしょうね。ルール違反にはならないと思いますが・・・。」
記者「そのパオパオさんという方が、Qちゃんのうわさされている彼氏でしょうか。」
Q 「とんでもないです。彼には、かわいい奥様がおられますから。」
記者「とりあえず、次の『東京』の目標は?」
Q 「ヒールは、そう簡単には手の内を見せないもんです。・・・若手いびりなんてどうでしょう、イッヒッヒッ。じょうだん、じょうだん。」
記者「引退までにしておきたいことは?」
Q 「いっぱいあるんですけど・・・、やっぱり、アラン・シリトーの『長距離走者の孤独』、あこがれちゃいますね。あっ! もうこれ言っちゃったから、できなーい。」
◎驚かせついでに、これくらいの記者会見やってほしいなあ。
今までいつも楽しそうに走っているように見えたのに、「あきらめなければ夢はかなう」と繰り返し言っている時のQちゃんは何かおかしかった。
一度、高石ともやさんといっしよに走られてはどうでしょう。きっと、何kmでも付き合ってくださいますよ。そして、きっと、こうささやかれると思います。
「高橋尚子さん、人生は長いよ。そんなにがんばらずに、陽気に行きましょう。」って。
(高橋尚子さんの名を借りて、ちょっと遊ばせてもらいました。ファンのみなさん、ごめんなさい。でも、私も高橋尚子さんが大好きです。)
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2008年03月20日(木)
誰も知らない高橋尚子 [マラソン評論]
3月16日の夕方、「誰も知らない高橋尚子」という番組が放送された。何日も前から宣伝していたので、必ず見ようと思っていた。
自分の草レースでも、レース後、レースの分析をするのはおもしろい。
ましてや、こないだの「名古屋」の分析なら、いろんな人が好き勝手いろいろ言って盛り上がることまちがいない。そこに参加するためにも、この番組は必修科目だと思った。
私個人としては、どうしても知りたいことが二つあった。
一つは、高橋尚子が何回も繰り返していた「夢」の具体的な中味。
もう一つは、レース後に7ヶ月前の手術を告白した理由。
この二つが、腑に落ちなかった。
番組が始まってまず驚いたこと。「ファイテンスペシャル」の冠。そうか、この番組は「復活高橋尚子、北京で輝け!」とかいうのが本来の題やったんやろうな。
内容のほとんどが、7ヶ月前の手術に関係すること。時おりはさまるファイテンのCMが、またむなしい。優勝していたら、番組の内容も全然違ったものだっただろう。
私が期待していた「夢」の説明も、なかったのか、私が理解できなかったのか。
レース後の手術の告白の理由も、よくわからなかった。日本人に多い美的感覚から言うと、勝って告白するか、負けて黙っておく、このどちらかだと思う。(レース前に、あっけらかんとすべて言ってしまうという選択肢もある。)
「手術してへんかったら、あんたらには負けてへんわ。あっかんべーっと」(何で、関西弁?)、と同じレースに出た人に言ってるみたいにも取られかねないし、あれはやっぱり言わんかったほうがよかったのでは。
ただし、ここで忘れてはならないのが、「高橋尚子はプロ」ということだ。いつも、スポンサーの要求に応えなくてはならないという厳しい環境の中にある。
ふふん。手術の告白は、この日のテレビ番組のためか。そう考えるとつじつまが合う。(視聴率のため! スポンサーのため!)
優勝していたら、宣伝なしでも多くの人が見ただろう。でも27位では、どこの何を見たらいいのか。普通の人は困ってしまう。
普通の人にわかりやすいこと。「へー、ものすごい大手術しやはったんや。それやのに、よう最後まであきらめんと走らはったなあ。ものすごがんばらはったんやなあ。」
どうも、すっきりせん。
番組中にレース分析をしてくれると期待していたのに、それもなかった。代わりに私がします。
3月9日にも書いたが、「名古屋」はベテラン勢が惨敗したレースだった。原因は単純。「高橋尚子の影」である。
ほとんどの出場者は、「高橋尚子が飛び出し、独走してしまったら、もうどうしようもない。」と思っていただろう。ところが飛び出さない。何らかの理由で飛び出せない、と他の選手は理解したと思う。調子の乗らない高橋尚子相手なら、勝ち目がある。とりあえずは様子見のペースで。この大集団の中で、しんぼう、しんぼう。これが、最初の5km、17分55秒もかかった理由ではなかろうか。
「スローペースにはまる」という表現は、ふつう悪い意味で使われる。本来スピードでおしていくタイプのランナーが、遅い集団に包まれ、切り替えができなくなってしまう。「名古屋」はその典型であったのでは。
優勝した中村選手には申しわけないが、2時間25分51秒は、ひと昔前のタイム。弘山、原、坂本、大南、加納、どの人をとっても中村より上のような気がする。このベテラン勢は、みな「高橋尚子の影」に負けてしまったのだ。(高橋尚子の手術のことを知っていたら、この5人のうちの誰かが優勝していたのでは。) そういう意味で、高橋尚子の偉大さ(影響力)をあらためて思い知った。
さて、この関連の話題として・・・
ヨメさんからの情報で、和田アキ子が高橋尚子のことをボロかすに言い、それに対して和田アキ子たたきがすごいらしい、とか。
それは3月15日、ニッポン放送で。
高橋尚子の「調整不足でした」というレース後の記者会見について、「自分が一番分かっていたはずでしょ」と不満をかたった。
さらに「手術してたって終わってから言うのはよくないよ。あの状況でレースでるなんて、よっぽど大金を貰ってたのかね」と会見で敗戦の“言い訳”ともとれる発言が次々と飛び出したことにご立腹の様子だった。
この発言について、和田アキ子たたきが続々。
パソコンでその内容を見てみると、一番多かったのが、「陸上競技のしろうとが、何を言う!」というものだった。
それ、ちょっとちがうんじゃないでしょうか。マラソンのファンの大多数は競技とまったく関係ない人です。そんな人たちが、マラソンに関心を持ち、ああでもないこうでもないと言い合うのもおもしろいのでは。
和田アキ子の発言は、ちょっとピントがずれている所もあったが、全体としてはけっこうよう見ているやんという印象だ。和田アキ子が一番言いたかったのは、「プロはもっとプロらしく」ということだったんじゃないでしょうか。こんなことくらいでふくろだたき状態になるなんて、ネットの世界は恐ろしい。
そういう人たちは、月刊「ランナーズ」5月号の巻頭の次のような記事にはどう反応するのだろう。
「不明点が残った失速の原因」
高橋選手は今回でマラソン11回目。「ここまで走れないとは自分でも思わなかった」と語ったように、タイムは予想以上に悪かったかもしれない。しかし、オリンピック代表の座をかけて有力選手たちが全身全霊をかけて勝ちにくるレースを、練習不足の状態で勝ち抜くことができるほど、マラソンは甘い競技ではないことは、事前に予想できていたはず。
レース前に手術したことを公表しないのは、代表の座を競うライバルたちに精神的なプレッシャーを与える戦術としては「有り」だが、事前には、勝負に徹するアスリートという立場での発言以上に「あきらめなければ夢がかなうことを伝えたい」と、沿道やテレビでレースを観戦する人たちを強く意識し、期待を持たせるメッセージを発信し続けていただけに、自分を鼓舞する以外に、どんな意図があったのか疑問を感じる面もある。
手術したことをレース前に公表したうえで、「今の自分の精一杯の走りをみせるので応援して欲しい」というメッセージを送る選択肢はなかったのだろうか。 (一部抜粋。)
さらに、巻末の「編集部から」の橋本氏の言葉を読めば、卒倒するかも。
名古屋のQちゃんがっかりだったな。結果が遅かったというのではなくそのあとの談話ですよ。10km持たないんでしょ。走れないということはわかっていたはず。ランナーなら誰だってわかるレベルの話です。それなのに前日までの優勝が、夢が・・・・・などの話はない。期待を立派に裏切ったんだから、ごめんなさい、スミマセンでした、の一言くらいあって欲しかった。どこかの新聞がおもちゃを取り上げられる子供のようだ、と書いていたくらいでマスコミはむしろ走りきったほうを評価しているが、マスコミもメディアとしての批評性はどこに行ったのか。これじゃ新聞読まなくなるわけだ。
どうですか。これがプロの評価です。
それにしても、私が以前から気にしていたこととの共通点が多い。私も、評論だけは、セミプロ??
私が、ゴール後の高橋に言ってほしかった言葉。
「あーもういや! もう二度と走りたない。あほらしもない。」(なんで、関西弁?)
走りとうて走りとうてたまらんようになるまで、ゆっくり休んだらあかんの?
1年か2年後、高橋、野口、福士、渋井、あと赤羽さん、その他有力新人を入れた、それこそ夢の賞金レースちゅうのはどうでしょう。こら、おもしろいで。
(あかん。もう完全に、ええかげんなアマチュアのおっさんに戻っとる。)
◎今日(3/21)、毎日新聞の夕刊に、漫画家やくみつるさんのコメントが載っていた。
「名古屋国際女子マラソン・Qちゃんを抜くということ」
(略)
レース後、記者会見場に現れたQちゃんは、存外サバサバした表情を見せてくれた。これは救いだった。おそらくは失意のドン底にあったろうに、まるでこの結果をある程度覚悟していたかのような口ぶり。そう言えばゴール直後、サングラスを外した顔は悔し涙でグチョグチョになっているのではと思いきや、このときも、その表情は意外なまでに静かなものだった。Qちゃんのギリギリの矜持がそうさせるのか。逆にみている方が“痛い”。
こんなとき日ごろからヒネくれたマンガばかり描いている私は、つい別のことを考えてしまう。では、その失速していったQちゃんを<追い抜いていった>選手は、どのような心持ちだったのだろう。
前方、力なく走るランナーの姿をとらえる。距離を縮めていくと大会スポンサー「メナード」の文字とゼッケン「11」――。えっ!? あれって高橋尚子?と我が目を疑うことだろう。そしてついに抜き去る。あの金メダリスト、国民的マラソン走者を!! この殊勲をおそらくは人生の大事とばかり周囲に語るに違いない。「私、Qちゃんを追い抜いたことがあるの!!」
してみると気の毒なのは、Qちゃんがトイレに駆け込んでいる際に追い越していった選手で、彼女らにはその実感がない。やはりジカに抜きたかったんじゃあるまいか。
ま、いかにも観戦中に眠ってしまう輩の考えそうな、しょーもないことですが。
(やくさんのコメントに対する私のコメント)
しょーもないことないぞ。すばらしい。誰もこの人たちの気持ちまでは考えへんかったと思う。
さすが、やくみつる。視点が、他の人と全然ちがう。
やくみつるさんは、どんなものでも楽しんでしまう。人がめちゃくちゃ腹を立てているようなことでも、「それも考えようによっては・・・」という感じですべて興味深くしてくれる。ふしぎな才能を持った人だ。(今まで本気で怒っておられたのは、亀田親子の非礼ぶりに対してだけだ。)
みなさん。いろいろな人のいろいろな意見を、聞くだけ聞きましょうよ。相手が二度としゃべれなくなるような批判の仕方はやめましょう。
「そうか、こんな考え方もあるんや。」と思いながら、人の話を聞くほうがおもしろいと思いますよ。
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2008年03月09日(日)
2008名古屋国際女子マラソン [マラソン評論]
「あきらめなければ夢はかなう、ということを伝えられるレースにしたい」
「メッセージを伝えられるのは優勝者」
「名古屋」の前の数日、テレビや新聞で、この高橋尚子のコメントが何度も繰り返し流されていた。
「あれっ、高橋尚子って、こんなこと言う人やったっけ。」
私は、その言葉を聞いてすぐそう思った。決意を胸に秘め、ひょうひょうと実現していくタイプやなかったっけ。
「大阪」の後の私とヨメさんの会話。
「名古屋、どうなると思う?」
「2時間25分で優勝やったら、Qちゃん楽勝やな。選考ラインが下がってよかったなあ。実力通り走ったら、ほかの選手はついてこれんやろ。」
私もまったく同意見だった。あのコメントを聞くまでは。
「夢はかなう」の夢って何。
オリンピックで金メダルは取ったし、世界記録も出したし。北京オリンピックに出ることをさしているなら、ちょっとピントはずれちゃうかな。
「私の執念見てください」
「プロの厳しさをすべてレースにぶつけます」
「優勝しないと明日はないんです」
これくらいのこと、言ってほしかったなあ、プロなんやから。
私がレース前にあんまり言うもんやから、ヨメさんの予想も変わっていった。
「全然名前知らん若い子が、来るかもね。」
当たってしもたがな。
福士の時はすごくレース経過が気になったが、今回は途中もまったく見ず、5時ごろ携帯のニュースで結果を知った。
「27位やって、Qちゃん。」
「27位? またえらいこと落ち込んだもんやなー。」(2位〜4位くらいを想定してました。)
レース後、高橋本人は、足の手術の影響かという会見。(あれは、いまさら言わんほうがよかったんちゃう?)
もう一つ、走る直前に違和感があり、走り始めた時、体が全然動かないのに気づいたとも言っていた。
これ、二流市民ランナーでもあるんですよね。
私の場合、走り出さないとわからない。特に疲れてるわけでもないのに、全然走れないことがある。またその逆で、なんの準備もできず、菓子パンかじりながらスタートしたような時にすごいいいタイムが出たりする。
いやいや、ちょっとレベルがちがいすぎて、比べるのは失礼でしたね。
結果報道で不思議だったこと。
高橋尚子と優勝した中村友梨香の記事は別として、大会前高橋尚子の対抗馬にあげられていた選手の分析がほとんどなかった。
原(4位)、弘山(9位)、坂本(10位)、大南(18位)、・・・どうしたんでしょう?
25kmまでの5kmごとのラップが、すべて17分台。最初の5kmにいたっては、17分55秒。ベテラン、どうした!
中村選手が優勝できた最大の要因は、この前半のスローペースにあると思う。どうしてベテラン勢は、初めから飛ばしてライバル(特に新人)を振り落としていかなかったのか。集団で行って、最後は自分だけが抜け出せるとでも思っていたのだろうか。
このレースを見る限りでは、オリンピックで同じ展開にでもならない限り中村選手の入賞はない。ましてや、中村選手以外の選手が「名古屋」で優勝して選ばれていたとしても、その選手の入賞も考えにくい。
私にとっては、高橋選手の惨敗というより、ベテラン勢の惨敗という印象が強い。(かと言って、新人の台頭とも思えない。)
このレースで、個人的に応援していたのは3位だった加納さんだ。1位とは、48秒差。惜しかった。
加納さんは、京都の立命館大学の出身で、当時の監督・古村さんは私の昔からの知り合いである。加納さんも、大学生時代、うちの店のお客様だった。まあ、加納さんにはまだ次がありますよね。
◎「名古屋」の翌日、オリンピック代表の発表があった。
このへんから、おっさんランナーのたわごとを・・・
私が選ぶ北京オリンピック女子マラソン代表。
?福士・・・北京で、もう一回飛び出してほしい。 金メダル!
?渋井・・・あの強烈なキャラは捨てがたい。帰ってきてくれー。 銀メダル!
?高橋・・・今なら執念復活してるかも。 銅メダル!
(補)坂本・・・個人的に好きなだけ。でも、選べば入賞しそう。
私が予想するオリンピック女子マラソン結果。(現時点で)
野口・・・2位か3位。優勝したら、こわい。
土佐・・・いつも通りの入賞。
中村・・・入賞圏外。 (ごめんね)
森本・・・中村の代わりに出したってほいなあ。
さて、結果は夏のお楽み。
(注) 写真は、中日新聞HPから取らせていただきました。
◎後日気づいたこと。
「名古屋」14位に、平良茜さんの名が。2時間33分12秒。たぶん、初マラソンであったと思う。
彼女は、2000年高校女子駅伝沖縄代表・豊見城南高校出身。1区を走ったエースである。そして、その時2区を走ったのが、入波平先生。(入波平先生については、1月7日の記事参照)
お二人とも福岡大学に進学され、その後、平良茜さんはOKIからパナソニックへと競技者の道に進み、入波平みさ乃さんは教師になり鳩間の運動会で私と対決!?
平良茜さんは、大学時代、うちの通販を利用していただいていた。
昨年は、北京オリンピック標準記録Bを突破(10000m・32.18.28)。
これからも、応援していきたい。
(ちなみに、2000年高校女子駅伝は、阪田直子を擁する立命館宇治が優勝。)
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2008年01月27日(日)
2008大阪国際女子マラソン [マラソン評論]
家に帰って、「大阪国際女子マラソン」のビデオを最初から見た。
昨日、ヨメさんと予想した。
「福士、どう思う?」
「わっからんなあ。」
「まあ、ボクとしては、バーンと飛び出してくれたら、後はもうええわ。日本のイカンガーになってほしいな。(あの、前に人がいたらかなんって言ってたランナー)」
「まあ、新しい方法で挑戦しやはんにゃから、応援しょ。まだ、若いんやもん。」
初めは、私の思い通り。
しかし、最後のほうの福士は、なんとも言えん状態だった。もし、私に言わせてくれるなら、「なんでもええし、なんか食わしたってくれー。」
テレビでは脱水症状と言っていたが、私たち市民ランナーには、「ガス欠」のほうがわかりやすいと思う。走るエネルギーに変える物が、からっぽになった状態である。
記録をねらった一般市民ランナー(ほとんど男性)は、調子のいい時に、必ず一度や二度経験したことがあるはずである。(私は、5回ほどあります。多すぎ?)
「もう、走れへん。歩くのも、いや。」
ところが、そこでおにぎりとかパンを食べたら、急に回復して走れるようになる。
私の場合、一番ひどかったのは、新婚旅行の時に出た北海道帯広での自転車レースである。
ガス欠で体が動かなくなり、とうもろこし畑の前で、ずっと悩んでいた。(このとうもろこし取ったらどろぼうさんやけど、あのヒゲは取って食べてもおこられへんかな。) 本気で、真剣に悩み、そのヒゲを凝視していた。体はかたまっていたと思う。(異様な光景!)
そうしているうちに収容車が来て、私はヒゲ泥棒にならずにすんだ。
また、30kmレースで1時間57分台を出した次の30kmレースで、とばしにとばした時は、27kmすぎで目の前が夕方の明るさになった。河川敷だったので、自分で草むらに倒れこんだ。気持ちよかった。
夢ごこちの時、主催者である武庫川ランナーズの大道さんが、ぶどう糖のアンプルを持って走ってきてくださった。倒れている私を見た他のランナーが、本部に報告してくれたらしい。(めんぼくない。)
ほかにも何回かあるが、どの時も、食べ物を食べたらケロリと元気になった。
そんなことを考えていると、一週間前の松山健治さんの話を思い出した。
「京都シティハーフの思い出」 −−松山健治さんの話・(京都走ろう会新年会にて)ーー
京都シティハーフは3回走ったんやけど、最後に走ったのが、もう15年くらい前になるのかなあ。
その時はめちゃくちゃ調子よくて、自己新が出そうなペースで18kmくらいまでぐんぐんとばして、そら気持ちよかった。
ところが、後ちょっとと言う所で急に走れんようになって、立ち止まってしもた。お腹がペコペコになって意識もちょっともうろうとしかけた時に、コース沿いにパン屋さんを見つけてなあ。こら助かったと思って、お店に入ったんや。
「ゴールしたら必ずお金を払いに来ますので、パンをわけてもらえませんやろか。」
「それしたら、みんなにせなあかんことになりますので・・・。」
まあ、お店の人の言わはることもようわかる。
そこで途方にくれてたら、先にゴールしてた知り合いが歩いて帰って来るのが見えて、
「ちょっとお金貸してもらえへん? 何か食べんと、もう走れへんねん。」ってゆうたんや。
ほな、気よう千円かしてくれて、それでパン買うて食べたら生き返ったわ。
食べてる途中、ヨメさんが、「何してんのん?」って言いながら抜いて行きよる。ほんま、冷たいやっちゃ。
そこでまだ食べ続けてたら、別のランナーがパン屋さん入っていって、おんなじことを・・・。
ランナー「ゴールしたら必ず・・・」
お店の人「それしたら・・・」
それ見てて気の毒になって、さっきのおつり残ってるし、そのランナーに「つこて」ゆうて渡して、自分はゴールめざして走って行ったんや。
そしたら、その何日か後に、京都陸協から電話があって。
何かいなーと思ったら、「松山さんからお金を貸してもらってパンを買って、完走できたという人が、お礼を言いたいということで・・・。」
そして、その何日か後、パンの代金とお礼の手紙が送ってこられてねえ。
みんなエネルギー切れたら、あんなもんなんやねえ。ええ経験になりましたわ。
◎後日、松山さんに電話。
「あのガス欠、男の人はたいてい経験してはりますよねえ。うちのヨメさん、なんぼ説明してもわかってくれへんのですけど・・・。」
「そうやね。女の人は少ないやろね。それにしても、福士さん、あの状態で、よう最後まで行ったなあ。それが、びっくりやったなあ。」
「ほんま、われわれでは考えられませんよね。あんななったら、何か食べんとね。」
私は、もうひとつ、後になって気づいたことがある。
テレビ放送の終わる前5分ほど、途切れることなく、福士がずっと映っていた。そして、放送終了ぎりぎりにゴール。福士は、この間、だれにも抜かれなかったのである。一人で、画面を独占していた。
あれで、いままで福士のことをよく知らなかった人の頭の中に、強烈な印象として残ったはずである。
今回のレースは、当然、評価の分かれるところであると思うが、あの最後の5分間は、いろんな意味で奇跡に近い。
私の義理の兄、恵藤さんの感想。
「福士、すごかったなあ。フルマラソンって、あんな超一流の選手でもあんなことになんにゃなあ。こうじおっさん(私のこと)、ようそんなもん何回も完走しとるなあ。ほんま、感心するわ。」
(こんな考え方もあるんですね。私と福士をくらべるのは、あまりにも失礼だと思いますが・・・。)
Posted by パオパオ パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )