パオパオだより

2011年05月20日(金)

「サラエボ、希望の街角」 [映画]

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◎公式サイトより

■解説

 戦争によって変ってしまった美しい街サラエボ。
 この街はどのようにしてかつての歓びを取りもどせるのか。 


 監督は、長編第一作『サラエボの花』が2006年ベルリン国際映画祭金熊賞に見事輝いたヤスミラ・ジュバニッチ。1974年、サラエボに生まれ、紛争の最中に多感な十代を過ごしこの街が破壊されてゆくさまをつぶさに見てきた。 『サラエボ、希望の街角』は、現代のサラエボに生きる若く美しい女性ルナの愛の行方を通して、過酷な紛争の記憶が今なお残るサラエボのすすむべき未来に目を向けた待望の新作である。
 戦争によって変わってしまった美しい街サラエボ、この街はどのようにしてかつての歓びをとりもどせるのか。ジュバニッチ監督はその答えを、ルナの生きる姿勢に託した。第1作「サラエボの花」では、紛争中、レイプによって生まれた敵兵の子への母の愛が描かれたが、本作の主人公は、愛する人の子をようやく身ごもっても、相手への失望から、それを拒絶する選択をする。自分に正直であろうとするルナの厳しい美しさ。
 何度もずたずたになって挫けそうになりながらも、決して夢を見失わず、前向きに生きようとするルナのひたむきな姿は、新たな歴史を刻むサラエボの、未来への希望を体現しているかのようだ。


 ジュバニッチ監督は、紛争の傷跡がようやく修復されたサラエボの街並みを、透明感あふれるナチュラルな映像で映しだす。人々でにぎわう市場やカフェ、若者たちが集うクラブなど、街の豊かなバイタリティと親密な雰囲気を、愛情をこめて表している。
 また、キャラクターの繊細な描写に抜群の冴えを見せるジュバニッチ監督は、アルコールに依存し、信仰に救いを見出そうとするアマルが戦争後遺症を患っていること、ルナが紛争で家族を奪われた過去を、物語の流れにそって静かに描き出してゆく。とりわけ終盤、紛争で手放した生家を再訪した場面で、ルナの涙を、戦争を知らない新世代の少女の無垢な瞳と対比させる精妙な演出は、観る者の胸を締めつけずにおかない。

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 「滝川クリステルと渡辺謙かー」と思いながら見ていた。

 「サラエボの花」の続編だと思っていたら大まちがい。テーマは「宗教と愛」でしょう。
 自分の悲しみから宗教に傾倒していった人をたくさん知っている。ただ、私は悲しみとか苦労の経験がまったくないので、宗教のほうも近づいてはくれない。なんかのまちがいで近づいてきたとしても、集中力欠如な私には通用しない。あちら側から見れば、私はあわれすぎる人間なのだろう。

 映画「酔いがさめた、らうちに帰ろう」を見たとき、主人公の戦場カメラマン・鴨志田譲さんは、酒ではなく宗教にすがればよかったかもと思った。
 私が今後悲しい体験をしたら、何にすがるんやろうね。やっぱり、わんこにゃんこかな・・・。

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 今日から、「小豆島オリーブマラソン」に出張販売に行きます。
 廉は故障中のため10kmはDNS。私は2週間練習なしで5kmをぶっ飛ばす予定。ずっと胸が痛いままやけど、だいじょうぶかなあ・・・。

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2011年05月19日(木)

「ゴダール・ソシアリスム」 [映画]

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◎映画 .COMより

■ストーリー

 2010年12月で80歳になった鬼才ジャン=リュック・ゴダールによる3部構成の映像コラージュ。地中海を航行する豪華客船内の人間模様(第1章「こんな事ども」)、選挙に立候補しようとするフランスの子供たちと彼らの日常を追うTVクルーの取材(第2章「どこへ行く、ヨーロッパ」)、そしてエジプト、オデッサ、パレスチナ、バルセロナなどを訪問しながら人類史を紐解く物語(第3章「われら人類」)が、鮮烈な映像と凄まじい音響によって綴られる。ロック歌手のパティ・スミス、ギタリストのレニー・ケイら個性的な面々が出演。
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 ジャン=リュック・ゴダール、名前がかっこいい。ジャン=ポール・ベルモンドの「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」の監督であることぐらいしか知らない。(ジャン=ポール・ベルモンドは大好き。ほとんどの主演映画は見た。)
 でも、自称・映画つうとしては、ゴダールの映画は見とかなあかん。

 でも、でも、でもね。
 眠たかったス。(昨日は水曜だが、臨時で早朝バイト。)
 変な画像と変な音のオンパレード。特に、急に音楽が止まってしまう場面がしばしば。あれがきつかった。思考も止まってしまう感じがして・・・。

 でもまあこれで、「ゴタールは・・・」とかえらそぶって言えるわけです。そういう映画です、これは。

 一つだけ、心に残った言葉。
 上の写真の場面で。
 「空間は死んでいく」
 つまり、時間は死なないということか。
 もう一度ゆっくり考えよう。
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【おまけ】

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今日も笑う真樹ときく

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今日の私の手

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今日の伊江島のゆり

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2011年05月18日(水)

ゆりと映画と散髪と [雑感]

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 「伊江島のゆり、咲いたな」とヨメさん。
 「そっかー、やっとやな。」

 4月9日の「伊江島マラソン」3km50代男子2位の副賞としてもらったゆり。
 一月半たってやっと花が開いた。
 ちょっとしめっぽい話題が続いていたが、花が開くと心も晴れる。

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 今日水曜日は「京都キャロット」の定休日。でも、ヨメさんは休みなしでアシックスの展示会へ。いつもすいません。

 私は朝から京都シネマへ。
 「ゴダール・ソシアリスム」と「サラエボ、希望の街角」。10時半ころから2時半ころまで、昼ごはん抜きで連続。やっばり、映画はいい。一瞬にして別世界へ連れて行ってくれる。 
 チャレンジ職業体験で、御池中学校の男子生徒が来ていた。上映前の注意説明をしてくれたが、しっかりできていた。

 帰りの烏丸通りで、お祭りの行列。平日の昼間のお祭りは人を集めるのが大変でしょうね。

 このあと、北大路ビブレ内の1000円散髪。
 「おかしくない程度に、できるだけ短くしてください。」

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 こんなんなりましたー。
 けっこうおかしいかも・・・。

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 もうあんもちゃんがいないので店に寄る用事もなし。でも、なんとなく寄っていってしまった。
 すると、郵便受けに意外な人からのお手紙。私のブログを見て、励ましのお手紙を送ってくださったのだ。ほんとうにありがとうございます。
 メールとかよりも、自筆のお手紙のほうが心にしみじみと伝わってきますね。ありきたりの言葉ではなく、自分の言葉で語りかけてもらっているようで・・・。
 この一連のあんもの記事にコメントを入れてくださった方、先日お花を持ってきてくださった方も含め、私にはいいお友だちがいっぱいいます。

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 きくと散歩。
 あんもが死んじゃって、もうきくだけになってしもたんで甘やかしてあかん。
 何でか知らん、今日も散歩中に足をいっぱいかまれた。

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 長生きしてもらうためには、甘やかしたらあかんね。
 「これから、ビシビシいくでー」・・・って、できるかな?

 

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2011年05月17日(火)

あんじる [わんこ・にゃんこ]

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1991年4月8日のあんも

 またまた、あんものことですいません。

 あんもがうちに来たころの写真がないかとさがしてみた。ところが、写真はほとんどいなかの家に持って帰っているのでそのころのものはなかった。
 上の写真は、2歳になるちょっと前。引越しする1ヶ月前なので、ここは上賀茂馬ノ目町の家。
 先輩ネコにいじめられ、ほとんどエサがあたらなかったはずなのによう肥えている。

 そっかー、私が小学校教師を辞めてまだ1週間の時。先のことなーんにも考えずに、お気楽にネコちゃんの写真を撮ってたわけですね。

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 あんもはみんなにいじめられてたけど、いつもボーとしていた「チビンタ」とは仲がよかったみたい。

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 キャロちゃんファミリー7ひきのなかに、後から入ってきたんやから苦労したやろうな。いつも目立たんように、すみっこにおったなあ。

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 20年前の私。
 抱っこしてるのは、4年前の3月に死んだネーモちゃん(だと思う)。
 ネーモちゃんが死に、最高8ひきいたネコちゃんがあんも1ぴきだけになってしまった。

 さて、ここからが本題。
 私は自分勝手な人間。このころの前もあとも、人のために何かをしたということがない。ましてや、人の身を「案じた」という経験もない。
 母がもう長く生きられないと兄から聞かされたのは、亡くなる前の日のことだった。結果的に、母の身を案じる隙もなかった。

 あんもにはまいった。
 金曜の夕方、あんもを動物病院にあずけたあと・・・。もう、ずっとドキドキしぱなっし。
 次の日は、早朝から鳥取へ出張販売。強風と黄砂のせいもあったが、頭がガンガンしてフラフラになってしまった。いつもお気楽な私らしくなく・・・。
 生まれて初めて、人の身を案じたのかも・・・。(いや、あんもは人じゃなかったね。)

 あんもが具合悪くなった時、自分で動物病院に連れて行った。死んじゃったあとも、家族の写真を入れたり、一晩いっしょに寝たり・・・。
 「今まで何もしてこんかったくせに、あんもだけ特別扱いかー?」とヨメさんに言われた。

 どうなんやろう。
 毎日毎日見てるうちに情が移ったんかな。 
 それとも、自分が歳をとってきて気弱になってきたんかな。

 心当たりは、「水曜日の奇跡」。
 先週の火曜日に一挙に弱ってしまって、水曜日はもうあかんのかと思っていたら復活。私を追って階段を下りてきた時は、ほんとうにわが耳とわが目を疑った。そのあと私が店のパソコンでブログを書いている間、私のヒザの上でスヤスヤと眠っていた。「寝ションベン」のおまけまで付けてくれて・・・。
 それまでの私とあんもとの関係を考えると、あれこそ奇跡。私が勝手な夢でも見てたんやろうかとも思ったが、ちゃんと写真も残ってるし・・・。

 それから、動物病院に迎えにいった時。
 寝たきりやったネコが立とうとするかー。あのあんものひたむきな姿が目に焼きついて、私は死ぬまで忘れられんと思う。
 そんな話、人からはよく聞いていたが偶然だと思っていた。でも、連れて帰って30分ももたなかったことから考えても、最後の力を振り絞ったとしか思えん。
 ほんまに、まいった。

 今まで、ネコの世話も犬の世話も全部ヨメさんがやってきた。私は写真を撮ったりして、勝手に楽しんでいただけ。ネコや犬の具合が悪くなっても、ほとんど「身を案じる」ということがなかったように思う。
 これではあかんね。

 でも、「身を案じる」ちゅうのはしんどい。
 今までしたことないことをしたからやね。
 私はもう初老の域に入りつつあるけど、今からでもちょっとでも成長せなあかんね。

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※ 20年前、20代のますみさんとエリ(2004年没)。取り壊される前の私のいなかの実家の前で。太ってるのではなく、おなかの中に廉がいます。

 (この写真は本人に無断で掲載したので、消去される可能性があります。)

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2011年05月16日(月)

再見、あんも! [わんこ・にゃんこ]

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 「きくもあんもに 『さいなら』 ゆうたって。」

 「くぉーん。この黒いのん、どっかで見たことあるなー。くぉーん。でも、何で全然動かへんのかなあ。くぉーん・・・」

 いつか撮りたいと思っていた「きくとあんものツーショット」。こんな形になるとは・・・。

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 「あんもなあ、夢に出てこーへんかったわ」と私。
 「そらそうや。そうやすやすと出てくるかいな」とヨメさん。
 「でもな、夜中にあんもがカタカタ、カタカタと動いて目が覚めたわ。」
 「なんでやねん!」

 そう、たぶんあれは私が寝返り打ってあんもが入っているケースに当たっただけなんやろうなあ。

 寝る前、カチカチになった体をなでていると涙が止まらないので、まだグルグルと動くしっぽばっかりさわっていた。

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 昨日の夜、家族みんなであんもにお別れをした。
 真樹はあんもちゃんへの手紙も書いてくれた。

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 廉も夜遅く帰ってきたのだが、ちゃんとお別れを言いに来てくれた。
 なんてったって、廉より2歳も年上の先輩なんやから。

 これで、家族みんなの写真をあんもちゃんに入れて上げられる。

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 自転車通学の真樹を見送り・・・。

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 と思ったら、きくがダッシュ!

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 これからのきくの一番大事な仕事は、「長生きすること」。

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 きくとの散歩が終わったら、いよいよあんもの旅立ち。

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 家族の写真を持たせて・・・。

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 東映団地を出るとき、かしこそうなネコちゃんが私たちを見送ってくれた。

 「よかったな、あんもちゃん。見送ってくれてはるでー。」

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 まずはいなかの父の家へ。

 「おじいさん、スコップやら貸してー。ずっと長生きしとったネコが死んでしもてん。」
 「おう。おんなじとこに埋めんのか。」
 「うん。これでネコはおしまい。」
 「何年生きてん?」
 「もうちょっで22歳やったんや。」
 「ほー、そんな長生きのネコ、聞いたことないなあ。」

 そのとき、父は少しうれしそうな顔をしたように見えた。年老いた動物が大事にされることが人間の世界にも通じるような・・・。

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 「あこらのまわりな、猪が暴れまわっておどいことになっとるど。」
 「えっ、ほなら、墓のとこも・・・。」
 「いや、あこはちゃんと石が敷いてあるさけ、だいじょうぶや。」
 「あーよかった。」

 うちの田んぼの一番はしにあるネコさんやエリちゃん(犬)の墓は、整然としていた。よかった。
 できるだけひっついていたほうがいいので、一番手前を掘ることにした。

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 深さ50cmくらいは掘れたので、いっしょに入れる花を探しに行った。 
 すると、坂の下から杖をついた父がゆっくりと歩いてくる。ここに来るなんてひと言も言ってなかったのに・・・。

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 父も今年の誕生日で90歳。
 ネコさんらの墓の前で、ずいぶん長い間立ち話をした。

 最後の最後にあんもと仲良くなれたように、いつか父とも普通にしゃべれるようになれるのだろうか。私はこの歳になっても、「父=威厳」。いや、ずっとそのままでもいいのかも・・・。

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 いよいよほんとうのお別れ。
 あんものおもちゃを入れてやった。
 一番のお気に入りは、ピンクの舌を出しているポケモンの「ベロリンガ」。朝見るごとに「ベロリンガ」の場所が変っていておもしろかったなあ。

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 花をさがしたが、椿とタンポポくらいしかなかった。

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 黒猫ガラのひざ掛けは、あんもの形見として私がもらう。
 その代わりでもないのだが、私の「走」Tシャツを上に。あんもには、夢の中でも走っていてほしい。

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 「再見、あんも!」

 1989年の中国・天安門事件のあたりに生まれたはずなので「あんも」と命名。そんなあんもには、「さよなら」ではなく「再見」やね。

 この上に土を。
 さすがにここで涙があふれてきた。
 でも、まだ父がそばにいたのでちょっとひっこんでくれた。

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 上に平べったい大きな石を置き、あとは「あんも石」さがし。
 川に黒くてあんもの顔みたいな石発見。これを一番上に置いて、しっかり拝んで終了。

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 お墓のあるところは、家からちょっと離れている。殺風景なところなので、花でも植えたらいいのかなあ。

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 最近はお墓まいりもほとんどしていないので、また行かなくては。
 廉や真樹が生まれるずっと前から、私たち夫婦を楽しくしてくれたネコちゃんやワンちゃんなんやから。

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 夜、ヨメさんがうちのお客様からいただいた花束を持って帰ってきた。

 「あんもちゃん やすらかに・・・  パオパオのファンより」

 ほんとうにすいません。ありがとうございます。
 今は力が抜けてしまって、走る気がわいてきません。
 ゆっくりと長い時間をかけて、いろいろなことを思い出しながら走ってみたい。そうなると、5kmじゃなくてウルトラになるんですよねえ・・・。

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2011年05月15日(日)

「あんも、あんも・・・」 [わんこ・にゃんこ]

 朝8時半、芝動物病院へ。
 受付で特に何も言われなかったので、あんもは生きている。

 9時を少しすぎたころ、「ふじいさーん」と呼ばれた。
 そこは診察室ではなく、カプセルホテルのようなところ。
 一番奥の下の段にあんもはいた。
 すやすやと眠っているようだが、時折物音に反応してかビクッと動く。

 「連れて帰られるとのことでしたので、その前に体のよごれをとろうと思うのですが、少し動かしただけで痙攣を起こす可能性もあるんです。」
 「あっ、よごれていてもいいです。無理してもらわなくても・・・。」
 「たぶんだいじょうぶだと思いますので、ここで見ていていただけますか。」

 私の声に気付いたのか(そう思いたい)、それまでずっと寝たきりで動かなかったあんもが目を覚まし、立ち上がろうとした。何度も何度も・・・。
 「あんも、あんも、ええって・・・。」

 もう、私の目の前は海の中。ぼやけて何も分からない。息もできないくらいに苦しい。

 そのあと、先生がおっしゃっていた全身の痙攣があんもを襲った。
 「しばらくすればおさまりますから・・・」
 たしかに、全身痙攣はそんなには続かなかった。

 「こんな状態で連れて帰って、何か具体的にしてやれることってありますでしょうか。」
 「とにかく気持ちのいい状態にしてあげてください。体温がかなり下がっていますのであたたかく、かといって暑すぎないように。
 もう痛みもほとんど感じない状態だと思います。ただ、また痙攣が起きる可能性が高いので、さわる時は本当にそっとさわってあげてください。
 そばでずっと見てあげることが一番です。」

 先生や助手さん、院長先生の奥さまからもいろいろと声をかけていただいたのだが、話すだけで涙がポロポロ出て止まらない。ほとんど何のお礼も言わずに病院を出てしまった。

 店(通販事務所)に着いたのが、9時45分ころ。
 あんもの移動に使っていた赤いかごはちょっと窮屈なので、大きいのに移すことにした。いろいろと物色したが、やっぱり最後にお気に入りで入っていたトイレをきれいにしてベッドにすることにした。

 先生から、「おなかをさわって心臓が動いているか、たびたび確認してください」と言われていた。さわるとほとんど脈は分からないのだが、お腹がまだあたたかい。
 「あんも、あんも・・・」と言いながら、新しいペッドの準備。

 新聞を敷いて、ペットシーツを敷いて、7ひきの先輩ネコのパワーが詰まっているタオルを敷いて、さあ移そうとしたその時・・・。あんもの体がビクッと動いた。
 「あんも、あんも・・・」

 おなかはあたたかいのに、さっきとは明らかに様子がちがう。もうどこをさわっても反応もない。
 「あんも、あんも・・・」

 つい30分ほど前、立ち上がろうとしてくれていたのに・・・。こんなに早く・・・。
 「あんも、あんも・・・」

 あんもの生涯22年のうち20年も暮らしたこの家で、あんもは息をひきとりました。
 最後は小さな命を救ってくれたますみさんではなくて、この私がみとることになってしもたけど、かんにんな。
 今までずっと世話をしてくれていたのはヨメさんで、私は最後の2年間くらいしか世話をしてないけどすごく楽しかった。最後の最後の日に私をあんも係として派遣してくれたのは、ますみさんからのごほうびなのかもしれない。

 あんもが歳とってからやけど、いっぱいいっぱい遊んだなあ。あんもの秒殺パンチ、もう一回食らいたかったなあ。
 あんもは覚えてくれているやろうか・・・。

 あんもが苦しそうな顔をしていないのが救い。
 もうカチカチになっちゃったけど、今日はあんもと寝よう。最後の夜やから。 
 「あんもー、夢に出てきてくれよー。」

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