パオパオだより

2011年05月15日(日)

「あんも、あんも・・・」 [わんこ・にゃんこ]

 朝8時半、芝動物病院へ。
 受付で特に何も言われなかったので、あんもは生きている。

 9時を少しすぎたころ、「ふじいさーん」と呼ばれた。
 そこは診察室ではなく、カプセルホテルのようなところ。
 一番奥の下の段にあんもはいた。
 すやすやと眠っているようだが、時折物音に反応してかビクッと動く。

 「連れて帰られるとのことでしたので、その前に体のよごれをとろうと思うのですが、少し動かしただけで痙攣を起こす可能性もあるんです。」
 「あっ、よごれていてもいいです。無理してもらわなくても・・・。」
 「たぶんだいじょうぶだと思いますので、ここで見ていていただけますか。」

 私の声に気付いたのか(そう思いたい)、それまでずっと寝たきりで動かなかったあんもが目を覚まし、立ち上がろうとした。何度も何度も・・・。
 「あんも、あんも、ええって・・・。」

 もう、私の目の前は海の中。ぼやけて何も分からない。息もできないくらいに苦しい。

 そのあと、先生がおっしゃっていた全身の痙攣があんもを襲った。
 「しばらくすればおさまりますから・・・」
 たしかに、全身痙攣はそんなには続かなかった。

 「こんな状態で連れて帰って、何か具体的にしてやれることってありますでしょうか。」
 「とにかく気持ちのいい状態にしてあげてください。体温がかなり下がっていますのであたたかく、かといって暑すぎないように。
 もう痛みもほとんど感じない状態だと思います。ただ、また痙攣が起きる可能性が高いので、さわる時は本当にそっとさわってあげてください。
 そばでずっと見てあげることが一番です。」

 先生や助手さん、院長先生の奥さまからもいろいろと声をかけていただいたのだが、話すだけで涙がポロポロ出て止まらない。ほとんど何のお礼も言わずに病院を出てしまった。

 店(通販事務所)に着いたのが、9時45分ころ。
 あんもの移動に使っていた赤いかごはちょっと窮屈なので、大きいのに移すことにした。いろいろと物色したが、やっぱり最後にお気に入りで入っていたトイレをきれいにしてベッドにすることにした。

 先生から、「おなかをさわって心臓が動いているか、たびたび確認してください」と言われていた。さわるとほとんど脈は分からないのだが、お腹がまだあたたかい。
 「あんも、あんも・・・」と言いながら、新しいペッドの準備。

 新聞を敷いて、ペットシーツを敷いて、7ひきの先輩ネコのパワーが詰まっているタオルを敷いて、さあ移そうとしたその時・・・。あんもの体がビクッと動いた。
 「あんも、あんも・・・」

 おなかはあたたかいのに、さっきとは明らかに様子がちがう。もうどこをさわっても反応もない。
 「あんも、あんも・・・」

 つい30分ほど前、立ち上がろうとしてくれていたのに・・・。こんなに早く・・・。
 「あんも、あんも・・・」

 あんもの生涯22年のうち20年も暮らしたこの家で、あんもは息をひきとりました。
 最後は小さな命を救ってくれたますみさんではなくて、この私がみとることになってしもたけど、かんにんな。
 今までずっと世話をしてくれていたのはヨメさんで、私は最後の2年間くらいしか世話をしてないけどすごく楽しかった。最後の最後の日に私をあんも係として派遣してくれたのは、ますみさんからのごほうびなのかもしれない。

 あんもが歳とってからやけど、いっぱいいっぱい遊んだなあ。あんもの秒殺パンチ、もう一回食らいたかったなあ。
 あんもは覚えてくれているやろうか・・・。

 あんもが苦しそうな顔をしていないのが救い。
 もうカチカチになっちゃったけど、今日はあんもと寝よう。最後の夜やから。 
 「あんもー、夢に出てきてくれよー。」

画像(180x135)・拡大画像(640x480)

Posted by パオパオ   トラックバック ( 0 )   コメント ( 4 )

トラックバック

トラックバックURL

http://blog.kyoto-carrot.com/tb.php?ID=1228

コメント

 森脇さん、ありがとうございます。ずっとこのブログを見ていてくださっていたのですね。
 あんもと仲良くなれたのは、実質、弱ってしまった最後の4日間だけでした。今は体の力が抜けてしまった感じです。
 森脇さんの甘くておいしい和菓子のような顔を思い出して、元気出します!

パオパオ 2011年05月16日 18時27分 [削除]

ご冥福をお祈りします?あんもちゃんは最期の瞬間まで想われて、幸せですね?

森脇豊 2011年05月16日 08時52分 [削除]

 メイママさん、コメントありがとうございます。お久しぶりです。お元気にしておられましたか。

 「犬や猫は、飼い主が迎えに来るまでがんばる」とよく聞いてはいましたが、まさか自分か体験するとは思ってもみませんでした。第一、あんもは私のことを飼い主とは思ってなかっただろうし・・・。
 あんもは自分1ぴきだけよそ者だったので、よくいじめられていました。だから、昔の同居猫とは会いたくないかも知れません。それより、お母さん猫や兄弟姉妹猫と会いたいかも・・・。
 私が死んだら会いたい猫は、1位キャロちゃん(元祖キャロット。うちの猫ファミリーの元締め。) 2位ネーモちゃん(よくヒザにのってくれた。今もケイタイ待ち受けにしている。) そして、3位にあんもが入ります。
 でも私は日ごろの行いがよくないので、誰にも会えないかも。

 私が地獄に落ちそうなとき、だれぞその細い手で助けてくれー。

パオパオ 2011年05月15日 23時32分 [削除]

ここ数日は私もあんもちゃんが気になって何回もパオパオだよりをチェックしていました。

あんもちゃん 本当にお疲れさま。こうじさん達が帰ってくるまでちゃんと待っていていて偉かったね。 今ごろ大好きな仲間と会えているかな? 優しいこうじさんとますみさんに可愛がってもらって本当によかったね。
これからは天国からお二人の仕事を見守っていてね。なにかあったら天国から必殺パンチをおみまいしてね。

メイママ 2011年05月15日 22時27分 [削除]

コメント投稿フォーム

名前:(この情報をCookieに保存させたい場合にチェック)
メールアドレス: (表示はされません)
URL: (名前にリンクされて利用されます)
コメント:
パスワード: (削除時に利用)

ページのトップへ ページのトップへ

5

2011


1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

プロフィール

パオパオ

このブログについては「ごあいさつ」をご覧ください。

PHOTO

これからはゆっくり長く

これからはゆっくり長く

「ベルパライソ・ごん太」写真集

「ベルパライソ・ごん太」写真集

「お前がか?」

「お前がか?」

検索


カテゴリーリスト

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

リンク集

RSS1.0

[Login]


powered by a-blog
Copyright (C) 2008 Paopao All rights reserved.