2022年02月20日(日)
京都走ろう会例会〜「見てますよ」に励まされる〜 [ランニング]
例会の帰り際、「いつもブログを楽しみにしてます」と声をかけてくださる方あり。
「このごろ写真ばっかりで、たいしたこと書いてませんけど。」
「いやいや、そんなことないです。見てますよ。」
これはうれしい。
あらためて「しょうもないことは書けん」と自らに言い聞かせる。
また、先日の「ある意味『長距離走者の孤独』」の記事についての感想をコメントしてきてくださった方もある。
これもうれしい。
以前は全国のマラソン大会のレポートが多かったので、それを喜んでくださる方が多かった。ところが、もう「京都キャロット」の出張販売に行っていないので、人の役に立つ記事がほとんどなくなってしまった。
でも、しょぼい記事はしょぼいなりに見てくださっている方も多い。(現在、1日のアクセス数は平均5000。)
「見てますよ」はすごく励みになるので、みなさん遠慮なく声をかけてくださいね。
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今日は早めに起き、早めに朝食、早めにアップジョグ。
4kmしっかり走ってから、例会会場へ。
着いてからも少し時間があったので、プラス2kmアップジョグ。
今日は意気込みがちがう。
気温はそんなに低くはないが風がきつい。
また上流向きがえらいことになる。
でも、今日は負けへん。
5kmの部は7名。
川向いスタートは7名。
今日も、スタート係は吉田さんと松山会長。
10kmの部は6名+アーリースタートの鍵谷さん。
私の今日の目標は、またまた45分台。こないだの二条城一人練習が45分47秒だったので、がんばれば出せるはずなのだが。
前回の敗因。
1.アップ不足。
2.北風ピューピュー。
3.シューズがプレートなし。
今日はアップをしっかりしたし、シューズはアディゼロプロだし、あとは「北風ピューピュー」に負けないこと。
最初から積極的に前に出た。気が付けばトップ。
丸太町橋折り返し2.44km、10分44秒。4分23秒ペース。
折り返して北を向くと、すごい向かい風。今日は「負けるもんか」と思いながら走った。
出雲路橋で4.89km、22分30秒(11分45秒)。4分47秒ペース。
出雲路橋を過ぎるとさらに風がきつくなった。それでも少しマシになる瞬間もあり、その時にできるだけ前に出た。
御薗橋折り返しで7.41km、34分52秒(12分22秒)。4分54秒ペース。
最後の下りは思いっきり飛ばした。
ゴール9.94km、45分29秒(10分36秒)。4分11秒ペース。
最後の500mは3分58秒ペース。久しぶりに「飛ばした」感があった。
1月16日の例会の45分27秒とほぼ同じタイム。
がんばりました。
「北風ピューピュー」がなかったら、44分台も狙えたかも。
次は絶対に行けそう。
私のシューズ「アディゼロプロ」も話題になった。
「今日スピードアップできたのは、このシューズのおかげです。土の部分は変りないんですけど、コンクリ舗装の部分ではカーボンプレートが反発してくれてスピードが出ました。
カーボンプレート入りの厚底シューズには抵抗があったんですけど、このシューズは薄底なんで私にビッタリです。
京都キャロットで扱ってないのが残念なんですけど・・・。」
さあ、いつも通り後続の仲間の応援へ。
鍵谷さんは、時間がかかりそうなので距離を短縮して帰った来られた。
臨機応変でいいと思います。
12月の例会の時に取材してもらった「噂のケンミンショー」の放送があったそうだ。残念ながら、高岡さんと私の取材シーンはカット。残念でした。
全部で3kmダウンジョグ。
これで、今日は全部で19kmになった。
アップジョグ、ダウンジョグは大事です。
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2022年02月19日(土)
悟り [ランニング]
今日は午後から雨の予報。午前中に走りに行きたかったが、24時間バイトからの朝帰りで動きが鈍かった。
お昼ご飯を食べ、午後1時過ぎにスタート。まずは町内を1kmアップジョグ。今日は、久しぶりに鞍馬に行くと決めた。
また、恵光寺さんがええこと書いてはった。
「とらわれない心」、確立したい。
私はどうかな。何かにとらわれているか。
いや、それはない。ただ、たぬきに憑かれているだけ。
猫センサーがピピピピピ。
一瞬の猫の動きをとらえられるのは、私の特殊能力です。
立派なねこちゃん。まるまると太ってた。
二ノ瀬の寒暖計は6℃。
雨が降る前なので、まあまあ暖かい。
二ノ瀬の猟犬は、今日もぐっすり眠っていた。
まんまるやねえ。
川向いを叡電が走って行く。
鞍馬寺山門前で5.12km、30分27秒。
このちょっと手前の5km地点は29分38秒。ずっと上りの割にはしっかり走れた。
ちょっと戻って鞍馬駅へ。
天狗さんと写真を撮らねば。
ここで時計をリセットして、再スタート。
下りはスピードが出て汗をかきそうだったので、上着を脱いで腰に巻いて走った。
帰りはずっと下りなので、キロ5分ペースでずっと走れた。
5km、25分13秒。
これくらいの速さで走れると、気持ちよく終われる。
今日、一つ分かったことがある。
前から右足の力が強すぎる走りだと指摘されていたが、それは左手の振りとも関係があった。右手はほとんど動かず、左手の引きがすごく強い。これを左右平均になるように改善すれば、今よりもスピードアップできるような気がする。
左回りの陸上競技場を走るには、右手がしっかり振れるほうが絶対にいいですよね。
これも、一つの「悟り」かな。
もう雨が降り始めていたが、また町内を1kmダウンジョグ。
今日は全部で12.4km。
明日の京都走ろう会例会は、飛ばすでー(と毎回言ってますが・・・)。
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【今日のきくみー】
このごろ後ろ足を引きずることなく歩けているので、靴を履かさずに車いすのお散歩。
がんばって歩いたので、「きくちゃんがんばったなあ。オッサンと写真撮ろ」と言って抱っこした。
あとでその写真を見ると、きくちゃんあくびしとるがな。
抱っこ、いややったんかー。
みーちゃん、おばさんに甘えてビロンビロン。
元野良猫とは思えんな。
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2022年02月18日(金)
慰藉 [雑感]
◎バイト先のカレンダーより
■ジャコウウシ
北アメリカや北極などのツンドラ地帯で、冬は20〜100頭の群れを作り、夏には小さな群れに分かれて暮らします。
長い被毛は、厳しい寒さから身を守るために役立てています。
外敵に襲われると、大きな角のある頭を外に向けて円陣を組み、中心に置いた子どもをみんなで守ります。
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まるで水墨画のよう。
こんな写真を見ていると、心が穏やかになる。
いい顔してますね。
最近、ツイッターにニンジンやキャベツを運ぶビーパーの動画がよく出てくるようになった。ただ運んでいるだけなのに、その2分間の動画を最後まで見てしまう。
それを見終わると、こちらの心も穏やかになる。
「ああ『慰藉』とは、こういうことか」と納得したり・・・。
ここで紹介したいのだが、
心穏やかにビ−バ− 【無断転載 無断使用はお断りですよ】
ということなので、1枚のかわいい写真だけ拝借。
心すさんだときに、これはおすすめです。
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2022年02月17日(木)
京都マラソンゴールときくちゃん [家族]
くしくも、去年と同じ2月17日。
ますみさんの「おんらいん京都マラソン」、西京極陸上競技場のゴール。
天気予報では雪だったのに、気持ちのいい青空。久しぶりのお出かけで心配していたきくちゃんもごきげんさん。文句なしのいいゴールでした。
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いつ以来かなあ。
きくちゃんを連れだして、車でおでかけ。
雪ならおでかけ中止にしようと思っていたかが、天気予報が外れてよかった。
うちから西京極まで40分。これくらいなら、なんとかきくもしんぼうできる。
西京極に到着して、さっそく車いすを下してきくちゃんをセット。
ちょっとザラザラしていて進みにくかったが、きくちゃんはいつもと違うところが歩けて喜んでいたと思う。
ますみさんは、お友だちと10時半に待ち合わせ。
こんなところを走れることはめったにない。
この時間は二人の貸し切り状態だった。
きくちゃんを日当たりのいいところに待たせておいて、ますみさんの「ゴール写真」を撮りに。
これは、マスクありバージョン。
こちらはマスクなしバージョン。
早く、ふつうにマスクなしで走れるようになってほしい。
きくちゃん、かしこう待ってました。
毛皮を着ているから、そんなに寒くはないように見えた。
ごきげんよろしい。
きくちゃんを見つけたますみさんがかまいに来てくれた。
きくちゃんは、ますみさんのことはよく分かっている。
もう目はほとんど見えていないと思うのだが、声で聴き分けているみたい。
きくちゃんのかわいい「お手」。
しっぽがあがってるときは、なんか出ているときです。
きくちゃんのしんぼうは、片道40分くらいなら何とか持ちそう。
「でも40分やったら、滋賀県も行けへんな」と言いながら帰ってきた。
近くできくちゃんが喜びそうなところはないかなあ。
今日は三線教室の日。
会場は、西京極のすぐ近くのイオンモール京都五条。西京極の帰りに降ろしてもらおうかとも思ったが、きくちゃんが心配でいっしょに家まで帰った。
時間がなかったが、ヨメさんがちゃちゃっとラーメンを作ってくれたので遅れず行くことができた。
今日は練習なしの三線教室になってしまったが、その割にはまあまあうまくできた。きくちゃんの笑顔のおかげかも。
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【RUN】
三線教室からの帰り、雪が降ってきた。
かなりきつくなり、道路はビチャビチャ。
午後6時前にやっと止んで、きくちゃんのお散歩。
そのあとちょっとだけ走りに行った。
叡電・岩倉駅往復5km、28分06秒。
町内ダウンジョグ1kmプラスで6km。
久しぶりの10km以下になってしまった。
明日は24時間バイトで走れへんけど、また土日月はがんばって走ろう。
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2022年02月16日(水)
高級ホテルと散髪 [ランニング]
今日は水曜なので、「ラジオ体操からラン」の日。
散髪に行きたかったので、10時過ぎにスタート。
目指すは北大路ビブレ内のQBハウスだったのだが、次期バイト候補の高級ホテルを見に行ってみようと進路変更。
ラジオ体操の時はすっごく寒かったのだが、走り出すと意外と暖かかった。お日さんが照ってるから。
まずは玄琢。
御土居跡前で記念写真。
長い白髪がすごいねー。
光悦自動車教習所前で4.9km。
ここは、ヨメさんが自動2輪の免許をとったところ。
もう何年前になるのかなあ。
このあたりと思いながら走っていたのだが、だんだん山の中に入って行き、おかしいなあと思って引き返した。
するとなんと、京都走ろう会の吉田出さんと奥さまに遭遇。
いつもこの道を通って、原谷を回って帰られるらしい。空気もきれいで、いいお散歩コースです。
ちょうどよかった。吉田さんに、例の高級ホテルの場所を聞いてみた。やっぱり高くて有名みたいで、すぐに教えてくださった。
私が思っていたよりだいぶ南側。
ちょっと入っていくと大きな門があり、そこにガードマンさんが立っておられた。うちの廉より若いくらいの。
「新しいホテルができたと聞いたので、どんなものか見たくて来たんですけど、入れませんよね。」
「はい。申し訳ありませんが、お客様でないと・・・。」
「どんな建物なんですか。」
「2階建てのコテージのような建物がいくつか建っています。」
「1泊10万以上って聞いたんですけど。」
「はい。でもランチなどもやっておりますので、ぜひおいでください。」
「ランチって言っても、高いんでしょう。」
「そうですね。」
若いガードマンさんだったが、あやしい私の質問にしっかり答えてくださった。
そこで思った。
話のネタに、この高級ホテルのガードマンのアルバイトに応募しようと思っていたが無理ですね。やめとこ。
北大路通に出て、東へ。
北大路堀川に来たところで9.2km。もう11時半だったので、散髪は延期。
バスも30分以上先しかなかったので、あと5kmほどを走って帰ることにした。
御薗橋を渡ったところで11km。
ここから上賀茂神社の中へ。
平日のお昼なので、ひっそり。
この時間にここを通ってよかった。
かわいいかわいい「がっちゃん」に会えた。
いろいろなところを通って14km。1時間半以上走った。
散髪は、また午後に出直し。
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午後3時半、あらためて散髪ラン。
同じコースはおもしろくないので、圓通寺裏から地下鉄・北山駅、北山通りを西に進み北山大橋を渡る。
北大路ビブレ内のQBハウス到着4.62km、31分半。
散髪前に写真を1枚。
中に入ると、65歳以上の100円引きが終了とのお知らせ。前回から1ヵ月以内に来ると100円引きだが、私は2ヵ月に1回なので、これからは1200円かかってしまう。
終わってスッキリ。
でも、あんまり変わらんなあ。
帰りもちょっとコースを変えて。
北大路橋を渡って、なからぎの道を北上。
もうすぐ日が落ちる。
夕日がきれい。
なからぎの道は「半木の道」と書く。
もうだいぶ日が暮れてきた。
帰り道は5.17km、38分。
これで往復9.8km.
散髪も走って行けてよかった。
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「がっちゃん」〜シリーズご近所犬24〜 [わんこ・にゃんこ]
超久しぶりの「シリーズご近所犬」。
このごろ、自分の走っている記事ばっかり。原点を忘れてました。
ヨメさんからも、「アンタは走ることと競馬しかないんか」とぼやかれている。
きっと、この「シリーズご近所犬」を楽しみにしてくださっていた読者もおられただろうに。なんと、2017年6月10日以来の24ひき目のかわいいワンちゃんです。
午前中に走りに出て、帰りも上賀茂神社を通った。
すると、白い花が咲いているとろでワンちゃんの写真を撮っておられる方あり。よく見ると、私の大好きな「口の黒い」ワンちゃんですやん。これは、声をかけずにいられよか。
「なに犬ですか?」
「雑種です。保健所から引き出してきたんです。」
「そうなんですか。強そうで、かっこいいじゃないですか。お名前は?」
「がっちゃんです。」
「歳は?」
「9歳です。」
「おー、まだまだ元気なときやー。うちのん、もうすぐ17歳ですねん。」
と言って、きくの写真を見てもらった。
「似てますね。」
「そうでしょ。そやから声をかけさせてもらったんです。」
写真を撮らせてもらったとき、ビビって後ずさりしていた。
見かけによらず、こわがりみたい。
それがまたかわいい。
「家に帰ったら、がっちゃんの写真、ヨメさんに見せますわー。ヨメさんも雑種の犬が大好きなんで。」
「がっちゃん、よかったね。」
飼い主さんは、がっちゃんに向かって何度もそう語りかけておられた。いい飼い主さんや。
このごろよく上賀茂神社を通るので、きっとまた会える。
「がっちゃん・オス・9歳」
楽しみにしとこ―。
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2022年02月15日(火)
ある意味「長距離走者の孤独」 [雑感]
◎「長距離走者の孤独」ウィキペディアより
長距離走者の孤独(ちょうきょりそうしゃのこどく、原題: The Loneliness of the Long Distance Runner)は、イギリスの小説家、アラン・シリトーが1959年に出版した短篇小説集、また同書に収録された短篇小説名。「怒れる作家」と呼ばれたシリトーは、この作品で青春期の大人社会への反抗や若者の怒りを描いた。短編集はホーソーンデン賞を受賞し、表題作は1962年に映画化された。
■ストーリー
主人公のスミスは、貧しい労働者階級の母子家庭に生まれ、学校を中退し、仲間と町をうろつく不良少年。ある晩、彼は友人と共に、町のパン屋に忍び込んで金を盗む。やがてこの店舗荒らしは露見し、家に警察が来て彼は捕まり、感化院に送られる。そこで彼は長距離走の選手として選ばれ、トレーニングを受けるうち、自分でも長距離走を愛するようになり、練習に打ち込むようになった。
彼の才能に気がついた感化院の院長は、彼を陸上競技大会に院の代表として出場させることにし、特別に院外での練習を許可した。入所者がスポーツで優秀な成績を収めることは、院の評価、ひいては自分の評価につながるからであった。
大会の当日、彼は思いきり走る。二位以下を引き離した彼はゴールラインの前にくるが、なぜかそこで立ち止まった。やがて後続の選手があえぎながら追いついてきて先にゴールラインを越え、彼は結局、等外となった。彼はゴールラインを踏むことを拒否することで、院長や、周囲の大人の思惑に反抗したのだった。
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◎ダイヤモンドオンラインより
北京五輪、スキージャンプ混合団体が「単なる敗北」ではない理由
小林信也 2022/02/10 06:00
◇失格でメダルは遠のくも…
素晴らしい追い上げで堂々の4位
スキージャンプ混合団体。あまりにも無情な現実が日本チームを奈落の底に突き落とした。高梨沙羅選手が1本目103メートルの大ジャンプで期待を膨らませた。その直後、「スーツ規定違反で失格」と発表され、ポイントがゼロになった。その時点で事実上、メダル獲得は難しくなり、大きな期待が一気にしぼんだ。
それでも日本チームは諦めず、最後に小林陵侑が106メートルを飛んだ時点では2位、メダル獲得に望みをつなぐほど素晴らしい追い上げを見せた。
「勝負が全て」の価値観で見れば、メダルを逃す4位の結果は「負け」とみなされても仕方がない。規定や運用、準備に関して検証の必要は大いにあると私自身、やるせない思いを募らせている。だが一方で、全く別の感慨に包まれてもいる。
失格が宣告された後の激しい怒りと困惑。だが私たちは、冷たい落胆と混乱の中で、いつしかこの上なく温かな感銘が交錯する不思議な光景を見せられていた。
スポーツが「勝ち負け」だけでなく、「心のときめきや衝動を喚起してくれる」ことに深い意義や魅力があるとすれば、ジャンプ混合団体で私たちが共有したひどく感情的な時間は、大きな落胆とぶつけようのない憤りを伴うものではあったけれど、同時に素晴らしく貴重な感銘を共有する出来事でもあった……。
高梨をいとおしく感じた。そして、誇らしく、貴く感じた。単純に表現すれば、それが私自身の心の変化だった。
◇見る者全てが心を打たれた
高梨の2本目のジャンプ
高梨は、10代の頃「無敵の女王」として登場した。世界でも圧倒的に強い。ほとんど負けない。若くして有名人になった。それだけ見れば、卓球の福原愛選手のように「お茶の間のアイドル」になってもおかしくない存在だったが、高梨は「愛されキャラ」にはならなかった。
オリンピックで金メダルに恵まれず、「悲運の女王」とも言われた。冬の競技の女子選手の中ではフィギュア・スケートのスター選手たちと同じかそれ以上の知名度を誇り、誰もが知る存在だが、ざっくばらんに素顔をさらさない。あまり多くを語らないせいか、人間的な側面を感じさせない孤高のイメージが強かった。
北京五輪前に、メークをめぐる論争が物議を醸した。これも、メークの是非が問われたと言うより、高梨と応援する側の心の距離へのいら立ち、見る側の屈折したねたみのような感情の表れと言えないだろうか。要するに、高梨と応援する一般の人々の間には、「金メダルを取る」「取ってほしい」という記号のような目標以外に、共有できるものがなかった、といえないだろうか。
スーツ規定違反で失格になり、日本チームに大きく貢献したはずのポイントがゼロになった失意と申し訳なさのどん底で、高梨は2本目のジャンプを飛んだ。
この健気な姿に、見る者は誰もが、理屈抜きに心を打たれただろう。そして、98.5メートルの見事な弧を張家口の空に描いた。着地した直後、うずくまり、両手で顔を覆って肩を震わせる高梨に、何も感じなかった日本人がいただろうか。この光景はヨーロッパのメディアも情緒的に報じたと伝えられている。日本人だけでなく、世界の人々の胸を揺さぶるジャンプだった。
さらに、日本の最後のジャンパー・小林陵侑が106メートルの大ジャンプを飛び、この時点で2位に立った。メダルの可能性さえ抱かせたその瞬間、見つめていた高梨が左胸を抑え、倒れるようにうずくまった。その姿にまた、激しい衝撃を受けた。
◇この出来事は単なる敗北ではない
勝利とは別次元のドラマ
デビューから長年の間、高梨の戦績をニュースで知らされ、オリンピックのたびに注目し期待を寄せて来た私たちだが、高梨沙羅という女性の心の底に流れている素直な感情を目の当たりにするのは、これが初めてだったのではないか。少なくとも私は、初めて高梨沙羅という人の心に触れた気がした。
本質とか人間性とか、そんな言葉にすればちょっと堅苦しすぎる気がする。高梨が何を考え、何に悩み、何を求めて生きてきたのか。その一つは金メダルだろうけれど、金メダルだけでない何かもっと大切な、高梨を支え、駆り立てている魂の素顔が、にじみ出た光景ではなかっただろうか。
このとき、高梨沙羅をいとおしく、好きになった人はきっと大勢いただろう。
メダルを逃した選手にこのような言い方が何の慰めにもならないことを承知の上で、あえて伝えたい。「スポーツはアートだ。選手は心や才能の表現者だ」と思う私は、勝利とは別の次元で展開された素晴らしいスポーツのドラマに深い感銘を受けた。その喜びと感謝を語らずにはいられない。
このような理不尽な出来事を二度と起こしてはならない。ルールの見直し、運用の見直し、対応策を改めて徹底することは関係者、当事者にお願いしつつ、この出来事が単なる敗北や悲劇ではなく、素晴らしい感情の共有を生み出したハイライトの一つだったと、あえて大きな声で叫びたい。
この出来事はきっと、長く心に残り続けるだろう。
高梨沙羅、そして佐藤幸椰、伊藤有希、小林陵侑。日本チームの選手たちに、心からの「ありがとう」を贈りたい。
(作家・スポーツライター 小林信也)
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もうすぐ北京五輪が終わる。
今回の話題を三つ上げるとすれば、
1.高梨沙羅選手と小林陵侑選手のジャンプ複合団体
2.平野歩夢選手の活躍と海祝選手の「兄ちゃん」連発
3.羽生結弦選手のやらんほうがよかった記者会見
1.ジャンプ複合団体のあとの高梨選手の謝罪文。
「そして、私のせいでメダルを取れなかったにも関わらず、最後の最後まで支え続けてくれた有希さん、幸椰さん、陵侑、・・・」
ここで「小林陵侑選手だけ呼び捨てかーい!」と叫んだのは私だけでしょうか。(謝罪文を読み上げていたアナウンサーも、ここでちょっと「ウッ」となっていたように思う。)
これを聞いて、私は「高梨沙羅、だいじょうぶ」と確信した。いい仲間がいてよかったね。
(小林信也さんの、高梨沙羅選手と卓球の福原愛選手とを対比した批評も秀逸。)
2.三つの中でも、私的にはこの「兄ちゃん」にMVPをあげたい。(もちろん、弟の海祝選手に。)
あのかっこよすぎるスノボと「兄ちゃん」のアンバランスがうれしすぎる。
歩夢選手の鋭い顔と海祝選手の癒し系顔との乖離がまたよかった。
3.なに? あの記者会見。途中でチャンネル変えましたわ。
私なりに解釈すると、今回の羽生結弦選手は、ある意味「長距離走者の孤独」だったんじゃないでしょうか。「期待してくれる人のためになんか走るものか」という感情がにじみ出ていたように思う。
「穴が開いていた」とか「足首をくじいていた」とか言うより、「いつも期待通りの私だと思ったら大まちがい」と言ってくれた方がスッキリしたなあ。
とか言うと、また「何の努力もしたことのないもんが、勝手なこと言うな」とヨメさんに叱られる。ちがうんですよ。何の努力もしたことない者のほうが、案外冷静に分析できたりすることもあるんですよ。
「ねっ。」
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