パオパオだより

2013年01月15日(火)

憲法96条 [時事]

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◎京都新聞1月12日朝刊「土曜評論」

   改定要件緩和は「壊憲」
        安倍氏「憲法96条改正」     早稲田大学教授 水島 朝穂

 衆院選翌日の記者会見で、安倍晋三自民党総裁は、自らの内閣を「危機突破内閣」と呼び、憲法96条(改正手続き)の改正を先行させると述べた。

 自民党は「日本を、取り戻す」といウスローガンを掲げたが憲法9条により軍隊の保持を禁じられた日本が、「国防軍を、取り戻す」と言いたいのだろう。自民党「憲法改正草案」が目指す方向である。

 今日、「国防軍」とは、「“国"土“防"衛軍」というよりも、米国とともに、武力で地球規模の「国益」(市場、資源、そのアクセス)を防衛する「“国"益“防"衛軍」としての性格が濃厚である。そのことは、「憲法改正草案」が「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その“資源"を確保しなければならない」としていることとも符号する。「国民と協力して」を加え、対外的な軍事行動に国民を動員する根拠を創出しようとする点も見逃せない。軍法会議(国防軍裁判所)や軍機保護法も有する「普通の軍隊」の完成である。

 当面、こうした方向と距離を置こうとする連立与党・公明党に配慮して、「まずは改正要件の緩和から」という方針を打ち出したものだろう。

 だが、この議論の仕方はおかしい。多くの国々で憲法改正手続きはさまざまな形で加重されている。「3分の2」が多く、「5分の3」という国もある。それを「過半数」に変更するというのでは、あまりにも憲法を軽く扱うものではないか。

 立法を含む国の統治のあり方や、人権保障について定める憲法は、国の最高法規であって、これに反する法律は存在し得ない。だから憲法には、一般の法律とは異なる加重された改正手続きがセットされているのである。

 学説上、96条の改正手続き規定でその手続きを改正するのは背理であって許されないとする説と、改正手続き規定も改正できるという説とに分かれる。憲法改正権は制度化された憲法制定権であり、改正手続きの実質に触れる改正はできないと解すべきだろう。「実質に触れる」例として「国民投票の廃止」が上げられるが、私は「3分の2」を「過半数」にすることも、「実質」に含めるべきだと考えている。

 そもそも、憲法改正手続きの改正を政治目標化し、公約に掲げること自体が不純ではないか。試合のルールを自分に有利に変更するため、まずはルールの改正規定を緩いものに変えようとすれば、スポーツの世界でもブーイングを受けるだろう。

 憲法の本質は、権力を拘束し制限する規範という点にある。憲法により統制されるはずの権力者が、そうした拘束を自ら解除し、「権力にやさしい憲法」に改変しようとしている。「とりあえず96条!」というのは、憲法の存在意義、ひいては立憲主義を軽視磨る発送といえよう。

 現実には、96条改正に特化すれば、日本維新の会やみんなの党、民主党内の改憲派を含めて、9割が一致する可能性がある。立憲主義を蹴散らす壊憲的言動も活発化してくるだろう。安倍内閣は「憲法突破内閣」となり、いずれ石原維新とも連携して、「壊憲内閣」となる危うさを持っている。7月の参院選がさらに重要性を増すゆえんである。

■憲法96条
 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

■みずしま・あさほ
 東京生まれ。全国憲法研究会運営委員。法学博士。著書に「東日本大震災と憲法」「改憲を診る」など。
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 今日の引用記事は、ぜひ多くの方に読んでもらいたい。

 「ルールの改正規定を緩いものに変えようとすれば・・・」って、それはあかんやろー。
 私が安倍内閣を「姑息内閣」と名づけたのも、これでうなずけるでしょう。その姑息な権力者に利用される連立の相手も相手。姑息な手段でだまされ続けても気もつかず、「誰がやっても同じ」としか言えない人も人。

 ここまでなめられても黙って何もしなかったら、本当にえらいことになりますよー。自分のできることを考え、小さなことからでもやっていきませんか。
 とりあえず、7月の参院選で「壊憲」勢力の膨張阻止を!

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