2009年08月03日(月)
宝が池STC・夏期ロング練習会・続き [ランニング]
12時43分、往復30kmを超える長い長いコースのゴールにやっとたどり着けた。(3時間44分) 宝が池の木陰には、先にゴールしておられたメンバーが集まっておられた。
私はクラブ員ではない飛び入り参加なので、ちょっと控え目なゴール。それでも、みなさんからいろいろと声をかけていただきました。
足手まといにならないようには走ったつもりです。いろいろとお世話になり、ほんとうにありがとうございました。
さて、このコースの復路(雲ヶ畑〜宝が池)をふりかえると・・・。
今日、雲が畑では道路の草刈りだったようで、知った顔に何人もお会いした。
刈った草を吹き飛ばす作業をしておられた波多野さん。
「なんやなー、先生。バテバテちゃうかー。」
「そうですねん。雨やと思ってたら、こんな晴れてしもて・・・。」
波多野さんは、ずっと昔からの知り合いで(私の過去をご存じで)、今でも「先生」と呼んでくださる数少ない方です。(ええのか悪いのか・・・)
ここで残り約10km。
キロ7分かかっても、1時間10分。ということは、12時40分くらいにはゴールできるわけですね。
上りは自分が思っていたより楽に走れたのに、下りに入っていま一つ。これは、たぶん前後に人が見えんようになったらやと思う。
花の写真を撮ったり、お馬さんの写真を撮ったり・・・。
それでも暑さのせいか、全然気分転換にならず。
西賀茂橋付近で、めっちゃかわいいワンちゃん発見。
「ワンちゃんの写真撮らせてもらっていいですか。」
そのあとはいつもどおり、名前と性別、年齢を聞く。口の周りが白いなあと思っていたら、やっぱり13歳のお年寄りでした。右目は白内障で見えず、左目も見えているのかどうだかとおっしゃっていた。
「それでも、階段とかトントントンと登っていくんですよー。」
よっしゃー、このワンちゃんからそのパワーを、もーらい。
行きしは上賀茂橋につながる通りから来たのだが、帰りは違う道を通ることにした。深泥ヶ池の近くに姉夫婦が住んでいる。せっかく近く通るんやし、ちょっと寄っていこう。
上賀茂岡本口町付近で、またまたかわいいワンちゃん発見。
「いやー、変わった顔のワンちゃんですねー。写真撮らせてもらっていいですか。なんていう種類のワンちゃんですか。」
「えー、雑種なんです。」
「あらー、なんかものすご上等の犬に見えますけど・・・。」
若者に見えたのに、こちらも10歳の高齢犬。私に近づき、ペロペロしてくれた。
「おっちゃんもな、犬飼ってんねん。におい、するかー。」
「えっ、何の種類ですか?」
「へへへー、雑種です。」
それを聞いた飼い主さん(高校生くらいの女の子)は、すごくうれしそうな顔でほほ笑んでくれた。ほんま、雑種飼ってる人に悪い人はいません。
走っている最中に、こんなかわいいワンちゃんに出くわすと、がぜんやる気がわいてくる。(わかってもらえるかなあ。)
姉夫婦の家に寄ると、姉は外出中。玄関でお兄さんをパチリ!
「上半身だけにしといてやー。」
なーんでか?
今日も「反核平和マラソン」のゼッケンをつけて走ったけど、ほとんどコースが河原と山の中で、あんまり宣伝にはならんかったかなあ。
最後のキョーレツな上り坂。
このきつね坂は、廉が小6の時、「大文字駅伝」4区で走ったところ。何べんも何べんもいっしょに練習したなあ。
今日はここまでいっぺんも歩かへんかったのに、最後の最後に歩いてしまった。まあ、しゃーないよね。新しい道路ができて、今は歩道は最後階段やもんね。走れましぇん!
ゴール後のソフトクリーム、うまかったー。でも、暑さのため、とけるのの早いこと。
私のゴール後20分ほどして、松若さんたちがゴール。
「写真撮るし、ゆっくりー」ってゆったのに、松若さんお得意のラストスパート。ピンボケしてしまいました。
このあと、最終ランナー山嵜さんを待つ間、松若さんとけっこう長くしゃべることができた。
松若さんもハンデキャップのある方だが、いろいろなところに積極的に顔を出しておられる。
「京都ランナーズの合宿にも来やはったらよかったのに・・・」と言うと、あのしわがれた魅力の低音で説明してくださった。
今、弟さんの世話になっているので、地理にくわしくないところ(具体的には京都以外)での催しには参加しにくい。「勝手に申し込むと、弟が心配する」とのこと。
その代り、近くである催しにはたくさん参加しておられるらしい。京都から大津まで歩いていくイベントには、過去3回も参加されたそうだ。
ひとそれぞれ、いろんな事情があるんですね。松若さんを合宿に引っ張り出すには、きちんと弟さんに説明するところから始めんとあかんね。
私のヘボ写真を一番よろこんでくれはる松若さんやから、なんかお役に立ちたいなあ。
そうこうしているうちに、最終の山嵜さんの姿が。
最終と言っても4時間半やから立派なもんです。この暑さの中、坂道28kmは誰でも走れるもんとちゃいます。
最後は一人残されたみたいやけど、くさらんと、ええ顔のゴールでした。
今回は山嵜さんに誘ってもらって、ほんとによかった。これからも、ご迷惑でなかったら声をかけてくださいね。
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2009年08月02日(日)
宝が池STC・夏期ロング練習会(飛び入り参加) [ランニング]
今日は、クラブ員でもない私の飛び入り参加を快く受け入れてくださった「宝が池STC」のみなさんに敬意を表し、スタート前の集合写真をトップにさせていただきました。
「写真が出たらまずい人があったら、ゆってください。」
「あっ、目隠しみたいにすんの? あれはちょっとなあ。」
確かに、マラソンのトレーニングを世をはばかりながらしている人もめずらしいやろうなあ。(ということで、みなさんの了解を得ました。)
今日はゴール後、撮った写真をすぐプリントアウト。(インクがなくなって、「ミドリ」まで買いにいった。)そして、それを一杯飲み会場である「ホリディ・イン・京都」へ。フロントに預けてきた。
いつも、「アンタは、やることが遅い!」とヨメさんに言われているので、今日は速攻。今頃、ビールぐびぐび飲みながら、私の撮った写真で話の花を咲かせてくれてはるなかあ。
先週の「京都ランナーズ」の合宿の終わりがけ、山嵜さんからこう言われた。
「今度の日曜日にな、『宝が池STC』の練習会で雲ヶ畑往復すんねん。晩は一杯飲みや。きいひん?」
私は「宝ヶ池STC」のクラブ員でもないので、一杯飲みはちょっと問題があるが、練習会に飛び入りなら受け入れてもらえるかも・・・。それに、今、私は「雲ヶ畑」という地名には敏感に反応するんです。(その理由は、ブログ「パオパオだより」のつうなら分かるはず。)
私が「宝が池STC」と聞いて一番に思い浮かべるのは、辻横さん。たしか、辻横さんは役員さんをやっておられたはず。
何日か前、辻横さんに、「参加させてもらっていいですか」とお電話したら、「どうぞ来てください。私も走りますし、遠慮なく。」
ああ、これで大きな顔して行けると思っていたら、辻横さん見当たらんし。
私が頼りにしたのは、このお二人。山嵜さんと松若さん。
「宝が池STC」の方は、ほとんど顔は知っている人だが、名前を知らない。その点、この「山若コンビ」は、古くからの友達(?)。
カメラを持っていたのが私だけだったので、みなさんの集合写真の撮影をおおせつかった。
写真を撮っていると、「○○がおらん」とか、「あっ、○○はどこいった?」とかいうことになって、けっきょく3回撮り直し。最後に撮ったのが、トップの写真です。(私がたよりにしていた辻横さんも、スタート5分前くらいにやっと来られました。)
8時59分、宝ヶ池をスタート。
京都バスの終点、「雲ヶ畑岩屋橋」までが約14km。その先の「志明院」まで行ったら、約15.2km。これは、往復30kmを超える「志明院」まで行きたいですねー。
ゆっくりペースの山嵜さん松若さんには、ベテラン会員さんがマンツーマンでつかれるようです。
前夜の天気予報では豪雨、夜中すごい雨だったのに、朝にはやみました。
豪雨の中をビチャビチゃになりながら走るつもりで家を出てきたのに、ちょっと拍子ぬけ。だんだん日差しも強くなってきた。
賀茂川は夜の雨でかなり水かさが増していた。
その濁流の中で、黒い鳥が何回も潜水を繰り返していた。私が知っている潜れる黒い鳥といえば、「鵜」。でも、京都に「鵜」なんいいるんやろうか。写真に撮って、また「ゼファー750」さんに判定してもらおうと思ったが、カメラを構えたとたん水面には上がってこなくなってしまった。
「すごい肺活力! 」
この水飲み場あたりで、スタートから10kmくらいだそうだ。
上り坂なのにキロ6分ちょっとのペースで走れているので、いい感じ。
このあたりは、まるで「緑のトンネル」です。これが、こちら方面に走りに来られる方が多い理由の一つですね。
この岩屋橋で折り返す人と、さらに上の志明院まで行く人と。
もちろん私は上をめざしました。
「写真撮りながらの割には速いやん。」と辻横さん。
へへー、実は私は写真撮りながら走った方が速いんで―す。
鴨川の水源地「岩屋山志明院」前で記念の写真。
人影がなかったので撮ってもらえる人がおらず、初のセルフタイマー写真。まあまあうまく撮れました。
往路(宝が池〜雲ヶ畑志明院)、約15.2kmを1時間48分。キロ7分ペースまで落ちたが、上出来上出来。
(注)復路は、翌日に続きます。
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2009年08月01日(土)
第74回大阪城天守閣マラソン [ランニング]
私が5往復(15km)してスタート地点に戻ったとき、ちょうど「長居わーわーず」のお二人が休けいしておられた。
私が給水していると、伴走者である谷尾さんが、視覚障害のある林さんに私のつけているゼッケンの説明をしておられた。「スポーツは平和とともに・・・核兵器廃絶・・・反核平和マラソン・・・」
「あっ、お二人の写真、撮らせてください。今日のブログのトップに載せますし・・・。」
「はい。」
パチリ!
「伴走って、ただいっしよに走るだけじゃなくて、あそこにこんなもんがあって、ここにはこんなことが書いてあってとかガイドのセンスも必要ですよね。」
「谷尾さんどうですか。」と林さん。
「いやー、私はとてもとてもそこまではできてません。」
「私は京都で『賀茂川パートナーズ』の方とよくお会いするんですけど、めちゃくちゃ速い人とかいやはりますよ。伴走するほうもたいへんや。
あのー、大阪の方ですか。」
「はい。私たち毎月第2第4日曜、長居公園で練習している『長居わーわーず』のメンバーです。毎回伴走の方と合わせて40人くらい来るんですよ。」
「うわー、すごいですね。がんばっておられるんや。今日は、どれくらい行かれる予定ですか。」
「一応30kmは行きたいと思ってるんですけど・・・」
私はお先に失礼してしまったが、お二人は30km行けたでしょうか。すごく息が合った名コンビに見えましたが・・・。
この「大阪城天守閣マラソン」は、毎月第1土曜に、大阪城公園の噴水の東側スタートゴールで行われている。
主催者は、幕田裕行さん。武庫川スポーツクラブ所属の方だが、どう見てもこの大会はお一人で何から何までやっておられるように見えた。
最近、こういった感じの「自由走」がふえてきた。しかし、この大会の驚くべきは回数である。いくら毎月やっておられるとは言え、7年前くらいに始められたことになる。この大会は、「自由走」のさきがけと言ってもいいのかも・・・。
ここでも私のブログに登場する常連さん・藤村さんにお会いした。藤村さんは、差し入れの氷やお菓子をたくさん持ってきてくださった。ありがとうございます。
9時30分のスタート間近、前を横切る「きく」の親せき・・・、いえいえ正真正銘のシェパード君でした。
「写真撮らせてください。」と言っても、忠犬なのでご主人の方ばっかり。なかなかこっちをむいてくれなかった。
でも、スタート直前にかわいいワンちゃんに会えると、私はなぜか調子よく走れる。きっと、今日も・・・。
時計台下に集まったのは、ざっと50人くらいだろうか。
前回(7/4)の集計をいただいたので見てみると、なんと79人参加。3kmからフルまで、16通りの距離を走られたらしい。
その中でも、フル9時間30分という方もあった。うーん、この大会はただものではない!
今日は道路の渋滞もなく、私が到着したのは8時40分。その時、すでにたくさんのランナーがこの公園を走られていた。安全で、いろいろなコースが取れ、たくさんの仲間に会える。この公園は最高です。京都にもこんなところがあったらなあ。
9時30分一斉スタート。まずは北へ1.5kmの折り返し点をめざします。
週間天気予報では雨のはずだったのに、日差しあり。ただ、雲もたくさんあったのでスタート時点では30℃は越えていなかったかも。
最初の折り返しで、今日唯一参加の少年とそのお父さん(?)とすれちがう。
お父さんらしき人は、何度も何度もその少年に声を掛けられていた。
「ええ子に育ちまっせー」
「長居わーわーず」のお二人は、蛍光色のウェアを身につけておられるので、遠くからでも見つけられます。
主催者・幕田さんも、もちろん走られます。これがうれしいじゃありませんか。
毎月第1土曜に体調を崩さないように維持するのもたいへんでしょう。
大阪城公園名物チューチュートレイン。これは、写真に撮っとかなあきません。
「写真撮りまっせ―」のひと言で、それまでの「くるしー」走法から「シャキーン」走法に瞬時に変身する藤村さん。私は、けっこうこれが楽しみで・・・。
本当に息が合っていました、林・谷尾コンビ。
大阪城公園は暑すぎてか、一般の方はまばら。
私が楽しみにしていたワンちゃんの散歩にも全然でくわさなかった。それに、例のネコ団地のネコちゃんも見当たらず。みなさん、すずしいところを探して、集団移動?
ワンちゃんネコちゃんに会えていたらもうちょっとがんばれたが、以上の理由で7往復21kmで終了。
ほぼキロ6分ペースを守り、ゴールは2時間06分17秒。
食べ物といっしょで、もうちょっとほしいなあと思うくらいでやめるのがちょうどいいのかも。
私が選んだ今日のMVP。
すれちがうごとに右手を上げ、声かけをしてくださった横尾さん。私は7往復したので、14回声をかけてもらったはず。これは簡単なようでなかなかできません。
最後にすれちがう時、「声をかけってもらって、すごく励みになりました」とお礼を言っておいた。
また、どこかでお会いしましょう。
一般の散歩の方がほとんどおられなかったので、「反核平和マラソン」のゼッケンもあまり宣伝できなかった。
でも、今日はこのゼッケンを通じて「長居わーわーず」のお二人とお話ができたということでよしとしよう。
私自身もダメージの少ないいい走りができたと思う。主催者の幕田さん、どうもありがとうございました。また、都合のつく時に参加させていただきます。
京都に帰ると、「京都キャロット」の店の前できくちゃんが蒸し焼き状態。「かわいそうやんかー」
でも、今日見たシェパードのシェーン君に似てるでー。おとこまえ(???)
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2009年07月31日(金)
「精神」 [映画]
◎毎日新聞京都版 〜映画を語る〜 (7月31日朝刊)
「死にたい」「幻聴が聞こえる」 患者の心の叫び描く ー想田監督の「精神」公開中ー
岡山市の診療所「こらーる岡山」に通う精神病患者の顔を、モザイクなしで赤裸々に映し出した想田和弘監督の「精神」が、下京区・京都シネマで公開中。川崎市議補選に出馬した山内和彦さんの選挙活動を追った「選挙」に続く、想田監督の?観察映画"第2弾だ。「死にたい」「幻聴が聞こえる」――。患者らの切実な心の叫びは、精神病をタブー視し、目を背けてきた我々への警鐘のようだ。「精神科を覆っている見えないカーテンを、カメラの力で取り除いてみたかった」――。想田監督のこの思いを、私たちはどこまで受け止めることができるのだろうか。【小川信】
20代で燃え尽き症候群を経験し、あるテレビ番組の編集で精神的に追い詰められたこともある想田監督が、精神科にカメラを向けようと考えたのは03年の暮れごろ。義母の仕事を通じて面識のあった「こらーる岡山」へ撮影を依頼した。
「カーテンを取り払いたいのにモザイクをかけるのはおかしい」と考えた想田監督。出演は患者同士らで会議を開くなどして決めたが、作品の完成後も感じようが揺れ動いた患者もいたという。「モザイクをかけると、顔が見えなくなって患者が記号化してしまう。差別され、根拠もなく恐れられる原因を、自ら生み出すわけにはいかなかった」と語る。
確かに映し出されているのは、「患者」というレッテルを張ってひとくくりにできる人たちではなく、多様な個性を持ち、様々な表情を見せる人たちだった。過去を語りながら、にこやかに詩や俳句に興じる人たち。自らの壮絶な半生を淡々と語りながらも、子どもからもらった手紙を嬉しそうに紹介する女性――。幾通りもの人生や日常があった。
我々が腫れ物に触るように接してきた精神病を取り巻く本質は何なのか。想田監督は言う。「僕らは傷つけたり迷惑をかけることを恐れ、人間関係が希薄化している。でも、人間は1人じゃ生きていけない。望んで1人になったのに、その孤独に耐えられないでいる」
誰かとつながっていたくて、でも煩わしさからは逃れたいと考える現代人。「こらーる岡山」の人たちは、そのことを私たちに教えてくれているのかもしれない。
この映画を見る人は20人くらいかなあと思っていた。
しかし、どんどんどんどん席が埋まっていき、最終的には入れなかった人までおられたようだ。フシギ!
いったいどんな人がこの映画を見に来られているのだろう。映画の内容より、こちらのほうが気になった。
とか何とか言いながら、かくいう私も「なんで?」と思われる方が多いでしょう。
一般的な(平均的な)感想を書いてもしょうがない。ここは、きわめて私的な映画評を・・・。
直接的な要因は、「実名を出し、モザイクをかけない」という潔さである。人の言葉は、そのときの表情とともに記憶するものである。仮名やモザイクではその印象は半減してしまう。
(ここからは、超私的に)
私は京都のいなか育ちなので、小さい時から精神病患者に会ったことがない。でも、何でもかんでも興味があったので、「狂」という文字が入っている本などはよくこそっと読んでいたものだ。だから、そういう人を避けるというより、興味深く観察するほうだったかもしれない。
私が初めて精神病患者に会ったのは、大学時代。府立病院の地下のパン屋さんでアルバイトをしていたときのこと。
当時も今と変わらずなーんも考えてへん人間だったので、患者さんが店に来られても気づかなかった。雇い主のオバちゃんから、「あの人ちょっと変わってるやろ。精神科にかかってはんねん。」と言われるまでは。
それでも、そういう人たちと関わることは全然いやではなかった。このころから、お気楽だったんですねえ。
そして、運命の日。
いつものように牛乳の三角パックを自動販売機に補充しているとき、ものすごい美人の看護学生が私のまわりをうろうろしていた。とんでもない美人だったので、私は無視するしかなかったのだが・・・。それでもいやに近づいてくる。
しゃーないなあ。私はその彼女をおちょくるように、変な顔をして下から見上げた。
そしたら、彼女の目から大粒の涙がボロボロ・・・。
走り去る彼女を追う私。
なんやよう分からんかったけど、その場をとりなし店に戻る。
雇い主のオバちゃんが、「藤井君、あの子となんかあったんか。」
「いやー、さっぱり分かりませんねん。なんちゅうたって、初対面ですもん。なんか、ボクとしゃべりたかったんですって。変わってますよねー。」
そして、その後、その子は何度も店に来るようになり、私の空いている時間にデートのようなこともするようになった。
いろいろ話してやっと分かった。その学年ナンバーワンの美人と言ってもいい彼女は、看護学校卒業を控えて悩みに悩んでいた。ご両親が教師であり(お父さんは校長)、兄と妹も親の期待通りの進路(教職)を進んでいる。そして自分ひとり京都の看護学校へ進んだが、中途半端な状態が続いている。また、高校時代に好きだった彼氏が忘れられない。
そんないろいろなことが複合的にのしかかってきて、おかしくなって精神科に通うようになっていた。
彼女は、私の話をいつも一生懸命聞いていた。何でもかんでも、「それで、ええんちゃうん」という私がフシギでしょうがなかったらしい。彼女の口癖は、「そんなふうに考えられたらいいね」だった。
しかし、会うたびに不安定で、話している途中突然「プィ」と怒り出して、私が気を使って着せたジャンバーをそのまま着て帰ってしまったこともあった。(そうや、あれは冬のことやったんや。)
ある日。
「これ、もらってね。」
彼女が大事にしていた手帳に張っていた自分の写真を、突然ピリッと破って私にくれた。(まるで、映画のワンシーンのように。)
その後、彼女は富山の実家へ。
お別れの記念に、あの写真をくれたんやね。あの写真どこへいってしもたんかなー。
彼女が実家に帰ってだいぶたってから、彼女に会いにいったことがある。
びっくりした。
学年ナンバーワンだったはずの彼女は、2倍くらいにふくれていた。全然覇気がなく、ほとんど話もできなかった。今思えば、あれは薬の副作用だったんでしょうね。
雨の日本海沿いの道をドライブし、途中でいっしょにラーメンを食べ、家に送り届けた。それ以来、会っていない。
あれから30年ほどがたつ。
この映画を見て心配になった。
今、精神病の一番の症状は「自殺願望」だそうだ。
この映画の一番の印象は、映画の終わりに「追悼」としてそれまで出ておられた3人の方のお写真が出たことだ。1年ほどの間に亡くなられた。これは、たぶん自殺でしょう。
精神病に対して私が勝手にイメージしていたのは、やせ細った芥川龍之介。でも、今は、薬の副作用で太ってしまった自殺願望の強すぎる人たちである。
彼女は私の一歳下。まさか、自殺なんてしてないよな。
生きとってくれー!
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2009年07月30日(木)
「ゆめの樹」 [グルメ情報]
今日は、昨日見た映画「精神」のことを書こうと思っていたが、昨日の夜楽しいことがあったのでそれを書きます。
昨日、久しぶりに家族4人そろっての外食。
いつもは車で出かけるのだが、昨日は歩き。
うちから歩いて5分ほどのところに、お好み焼き屋さん「ゆめの樹」がある。
家族4人そろって来たのは初めて。
私とヨメさんは歩きで、廉と真樹はそれぞれ自転車に乗ってきたようだ。
ここは、もう味は抜群なのだが、出てくるのに時間がかかる。
普段なら誰かがイライラしだすのに、昨日はセーフだった。もう、これでハラハラせんならんにゃから。
歩いてきたので、きっちりビールを2杯。
おいしいお好み焼きと焼きそばを、家族といっしょに食べられて、もう言うことはない。
帰りは、廉の自転車に真樹と二人乗り。
「おお、仲良しきょうだい!」
(あんたらも、そんなことできるんですか?)
かあちゃんは、真樹の自転車で。足が短いから大変です。
家に帰ればきくちゃんが、
「何で、私は連れて行ってもらえへんかったん?」
「あー、そんなきれいな目で見つめんといて・・・」
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2009年07月29日(水)
「ディアドクター」 [映画]
今日は、「京都キャロット」の定休日。
いなかの墓そうじに行くか、映画を見に行くかで迷った。ただ空模様が不安定なため、いなかでじゃじゃぶりに合う可能性もある。墓参りの日までまだ少し余裕があるので、今日は「京都シネマ」に行くことにした。
実は、5月の末、京都シネマのプレミアム会員に申し込んでいた。入会金10000円で、京都シネマの上映映画が永久に900円というもの。
それから2ヶ月、映画には行けていなかった。今日。やっと正式な手続き。
しかし、ここで「ハタ」と気がついた。ここは、一般会員でも1000円で見られるのだ。私が「京都シネマ」で1年間に見る映画は、5、6本。ということは、この100円の差で10000円のもとをとるのに20年! (もう、死んどる!)
それから、もうひとつ気がついたこと。1000円になるシルバー料金まで、あとわずか6年半。
これは意地でも、年間20本近くは見んならん。
ということで、今日見たかった映画は「精神」という映画だったが、その前に「ディアドクター」も見ることにした。
映画の内容を言ってしまうと台無しになってしまうので、ナイショ。
私はつるべと瑛太が出ていることくらいしか知らなかったが、いい映画だった。。
中途半端な青年を演じさせたら天下一品の瑛太がよかった。中途半端な村の医師つるべもよかったし、大病院勤務の中途半端な医師井川遥もよかった。(井川遥は、一時おばさんぽくなっていたのに、またきれいさが復活していた。)
その中で中途半端でなかったのは、村の老婦人八千草薫とこわもて刑事役の○○さん(名前、分かりません)。
それに加えて、私の大好きな余貴美子さん。まあ、この人が入っているだけで見る価値があるちゅうもんです。
途中で映っていた景色が三重県の海にすごく似ていたが、エンドロールで「鳥羽市協力」の文字発見。映画は、こんな楽しみ方もあります。
まったくちがう映画だが、医師であった父親へのコンプレックスを扱っているという点で、「歩いても歩いても」にも似ているような気もした。
私が行く映画としては珍しく満席。わずか100人ほどではあるが、100人それぞれがちがった楽しみ方をしているんでしょうね。
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