パオパオだより

　「ますみちゃん、帰ってきた」とヨメさんに電話。
　「えー、もう？」
　「うん、リタイア。」
　「なに、それ。」
　「ぎっくり腰も左アキレス腱もおかげさんでだいじょうぶやったんやけど、２８ｋｍ過ぎから突然右おけつが痛み出して、歩くのも無理になってしもた。」
　「そら、しゃーないな。」

　２８ｋｍ地点で２時間３３分。ここでちょうど３分の２なので、サブ４ペースに１０分ほどの余裕。「しめしめ、今日こそサブ４」と思っていたとたんの異変。
　伸ばしたりたたいたり、いろいろやってみたがよくはならなかった。２９.４ｋｍ地点に走路役員さんがおられたので、「リタイアしたいんですが」と申し出た。

　走歴４１年で初のリタイアとなりました。
　ヨメさんいわく、「体がもうかんにんしてってゆうてるんやわ」とのこと。正確には「ハムストリング付着部炎」というらしい。

　当分走れません。
　でも必ず復活します。
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　６時４５分起床。
　７時から朝食を食べ、ゆっくり準備。
　ぎっくり腰は、ロキソニンを飲んでからは気にならなくなった。その前から痛かった左アキレス腱と左腰(脇腹?)には、眞寿美さんがテーピングをしてくれた。これで何の不安もなし。

　８時２０分ごろホテルを出発。

　会場に着きウロウロしていると、すぐに京都走ろう会の中嶋さんを見つけることができた。
　「ものすごく寒くなる予報でしたけど、思ってたより暖かくてよかったですね」と言い合っていた。
　岡山の村松さんとも会ってお話したかったのだが、こちらは見つけられず。

　オリーブタウンの広い駐車場でアップジョグ。走ってはトイレに行き、走っては缶コーヒーを飲み、また走って全部で３ｋｍくらいは走ったはず。

　５分前にスタート地点へ。
　フルマラソンは６８３名のエントリー。前回(2019年11月)の約半分になってしまった。

　私の目標は、最低でもサブ４。調子が良ければ、３時間５０分切りも狙いたい。
　サブ４は平均キロ５分４１秒。３時間５０分切りは５分２７秒が目安になる。

　９時３０分スタート。
　走り出しても、どこも痛みは感じられず。グローブをはめてスタートしたのだが、すぐ手も温まり１ｋｍ過ぎに外してランパンのポケットへ。

　4:50 5:08 5:41 5:00 5:26　で５ｋｍ、２６分０８秒。
　坂があり同じペースでは走れないが、５ｋｍを２７分から２８分で行ければいい。

　このコースは、片道に小さな峠が８つという厳しいコース。しかし、海沿いを走るので景色は抜群。

　5:25 5:04 5:08 5:17 5:21　でこの５ｋｍ、２６分１７秒(５２分２５秒)。
　最初とほぼ同じペース。これは調子がいいということ。

　１３ｋｍあたりで大通りに合流。
　この手前が小刻みなアップダウンで、結構しんどかった。たぶんここは、８つの峠の１つに入っていないのではないと思いながら走っていた。

　１４ｋｍあたり、以前よく泊めてもらっていた「民宿・浜」さん前通過。

　もうだいぶ前から誰も住んでおられないが、庭はきれいだった。どなたかが管理されているんでしょうね。

　大阪城残石公園を過ぎたところが１５ｋｍ。

　5:49 5:31 5:09 5:14 5:29　でこの５ｋｍ、２７分１３秒(１時間１９分３９秒）。

　スペシャルドリンクを置ける場所も用意されていたみたい。
　気象条件が思っていたより良かったので、私は何もいりませんが。

　先頭集団と対面。
　４名が競い合っていた。

　5:45 5:43 5:27 5:25 5:40　でこの５ｋｍ、２８分０２秒(１時間４７分４１秒）。
　ついに２８分を超えてしまったが、序盤の貯金があるのでだいじょうぶ。

　「北出さーん！」
　「おお！」

　北出さんは今まで２００回ほど一緒に走って、接戦にはなるが一度も勝てない同学年ライバル。参加者名簿で北出さんの名前を見つけたとき、「あーあ、これで確実に順位が一つ落ちる」と嘆いた。

　私が見たところでは、この時点で北出さんは部門１位。そのちょっと後ろにもうお一人。だいぶ空いて３人の集団。
　ということは、まだ半分なのに私は６位か７位。例年なら、私のペースでも優勝争いになるはずなのに。今年はレベルが高い。

　中間点の表示はなかったが、私の時計で１時間５３分ちょっと。
　後半を２時間０６分で行けばサブ４。そう思うとすごく気が楽だった。

　折り返してしばらくすると、声をかけてこられる方あり。
　「ランナーズ９の会の石橋です。」
　しばらくお話ししながら並走。でもついてはいけなかった。私の４つ下ですから。

　5:18 5:34 5:33 5:55 5:40　でこの５ｋｍ、２８分０２秒(２時間１５分４３秒）。
　先の５ｋｍと全く同じスプリットタイム。ペースを維持できている。

　フルマラソンを走るとき、みなさんはどこで区切りをつけておられるのだろう。
　私は、３分割して１４・２８・４２で考えている。序盤・中盤・終盤という感じで。

　今回序盤１４ｋｍが1時間１４分。
　中盤２８kmが２時間３３分(１時間１９分)。
　終盤の残り１４.２ｋｍをキロ６分以内で粘れたら(１時間２５分)、ゴール３時間５８分。

　「いやー、これやったらサブ４絶対大丈夫やん。みんなに自慢のラインせんなんなあ・・・、ヒヒヒ。」

　と思ったとたん、右お尻の下あたりに違和感。おかしいなあと思いながらも「走るのには影響ないか」とそのまま進んだ。
　すると痛みがどんどん激しくなり、もう歩くのも大変なくらいになってきた。立ち止まり、ガードレールに足をかけて、足の付け根が伸びるようにした。そのあと、こぶしでパンパンと叩いてみた。でも、全然よくならず。

　「サブ４は無理でも、最後まで進んでゴールだけはしよう」と思い歩き出したが、もう無理。

　やっと走路役員さんを見つけ、「リタイアしたいんですが」と申し出た。
　役員さんは、すぐにケイタイで車を呼んでくださった。

　２９.４ｋｍ、２時間４４分で終了。

　あー、人生初リタイア。ウルトラで関門収容されたことは何度もあるが、走れなくなって(歩けなくなって)リタイアとは・・・。

　右のお尻以外はどこもだいじょうぶで、まだまだ走れそうだったのに。こんな終わり方が待っているとは思ってもみなかった。

　別の役員さんに車でゴール地点まで送ってもらった。
　自分の車に戻り、すぐに眞寿美さんに連絡。

　私が走っている間、ヨメさんは歩いて土庄巡りをしていたらしい。たまたま連絡した時は近くまで戻っていたようで、しばらくしたら車に戻ってきてくれた。
　本当はサブ４のゴール写真を撮ってもらう約束だったのに、私がふがいなく、それもなしになってしまった。

　ホテルのおふろが使えるとのことで、予定よりだいぶ早くホテルに向かった。
　「ますみちゃん、４月に『加賀温泉郷マラソン』があって、なんか日帰りでも行けそうやねん。そうへいさんも出やはるし、出ようかなあ。まだ締め切り間に合うねん。」
　「アホか。チュードクか。歩けへんくらいボロボロになってんのに！」
　「そやねー、チュードクかなあ・・・。」

　久米島、福知山、沖縄100K、瀬戸内海と４回(４か月)連続で大失敗してるのに、ちょっとは考え直さなあかんね。
　まずはしっかり歩けるようになってから、ゆっくり考えましょう。