2018年01月26日(金)
転移しても・・・ [雑感]
◎日本経済新聞1月24日夕刊
がん社会を診る
転移しても長く生きられる 中川恵一
原発巣から一部のがん細胞が血管のなかに入り込み、血流に乗って他の臓器に「植民地」を作る遠隔転移はがんの生き残り戦略といえます。
例えば肺がん細胞は肺の正常な細胞が不死化したものですから、肺がもっとも住みやすい場所です。しかし、がんを養うための血管などありませんから、がん病巣が大きくなると、その内部は栄養不足、酸素不足になります。がんは多数の小さな病巣に分かれて増殖した方が全体の数を増やすには有利なのです。
しかし、がん細胞が別の臓器に漂着して増殖するのは難しく、血管に入ったがん細胞はほとんどが途中で死ぬことが分かっています。それでも、トライを繰り返すうちに転移に成功する細胞も出てきます。その前に原発巣を消し去って、トライを止めさせるのが「早期発見→早期治療」の意味なのです。
がんの患者さんが一番恐れるのはこの転移です。多くの方が、がんと診断された時以上にショックを受けたと言いますが、これは転移が起こると完治する確率がほとんどなくなるからです。
しかし、近年の分子生物学の進歩によって、発がんの原因となる遺伝子変異が続々と発見されており、転移しても長く生きることもできるようになってきました。これまでの「転移→余命宣告」の図式が大きく変わりつつあるのです。
例えば、肺がんの約5割を占める腺がんの場合、発がんに関連する多数の遺伝子変異が確認されています。とくに日本人にとって重要な遺伝子変異は、細胞表面にある上皮成長因子受容体(EGFR)の変異です。この変異が起こると細胞増殖のカギとなる「チロシンキナーゼ」のスイッチが常にオンになってしまい、発がんの原因となります。
このEGFRのチロシンキナーゼのスイッチをオフにする治療薬(EGFR―TKI)が複数開発されています。第1号のイレッサに続き、タルセバ、ジオトリフ、タグリッソの4種類の薬が健康保険で使えますが、その次世代の認可も視野に入っています。
こうした薬を順に使っていくことで、全身に転移があっても5年以上生存する患者が増えています。「抗がん剤は効かない」といった誤解は過去のものといえます。
(東京大学病院准教授)
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こないだ沖縄から戻る前の日、真樹が言った。「また今年も6月23日に走るん?」
「走るでー。でももうその時は、真樹はあいあいファームにはおらへんにゃなあ。どこをゴールにしようかなあ。○○(次の真樹のバイト先)は、どう?」
「山の中やから、誰も見てくれはらへんでー。」
「そやなあ。」
今はこうして半年ほど先のことも考えられるが、ちょっと前は無理だった。
おととし10月11日に癌宣告を受け、「全身に遠隔転移している可能性大です」と言われた。その時は「全身転移=苦しんで死ぬ」と思っていた。それも、自分の計算では二年以内くらいで。
やりたいことは全部一年以内にやり遂げ、あとの一年で静かに死を迎えられたらなあと漠然と考えていた。
ところがそのあとのPET検査で、「現時点で転移はなし」という結果。「可能性大とちゃうんですかー」と言いたくなったけど、ほんとは喜ばなあかんかったんですね。
もうすぐ、アイソトープ治療後半年の検診。
転移してるんですかねえ、してへんのですかねえ。
転移していたら、また入院です。
さあ、運命の分かれ道。
「転移しても長く生きられる」という言葉を信じましょうか。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
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コメント
63歳さん、コメントありがとうございます。
脅す医師、困りますね。私の担当の?医師も、今振り返れば「脅し系」と言っていいと思います。最悪予測を告げておいて、あとで「最悪じゃなくてよかったですね」と言われる感じです。もう慣れてきましたけど・・・。
絶対数の少ない病気は、情報が少なくて大変です。一喜一憂することなく、どーんと構えていたいものですね。
63歳です。私も 転移しても長く生きれる❗を信じたいです。主治医に順番通りにリンパ→骨→肺と転移してくれればいいけど〜いきなり肺転移もありますから。。。と脅されています。最近は低分化癌をあまり意識しないようにしてます。主治医も甲状腺低分化癌について詳しくなさそうですから。。。