パオパオだより

2010年08月25日(水)

「ヒロシマ・ピョンヤン 棄てられた被爆者」 [映画]

画像(225x320)・拡大画像(250x355)

 6月2日以来の京都シネマ。
 月2本は見ないと元が取れないゴールド会員。ぼやぼやしてたら、知らん間に60歳(シルバー料金)になってしまうって!

【映画ちらしより】「ヒロシマ・ピョンヤン 棄てられた被爆者」は、朝鮮民主主義人民共和国で暮らす広島・長崎の被爆者を取り上げた映画である。今まで「被爆者」「原爆」についての映画は数多く制作されてきたが、在朝被爆者を取り上げたものはこれが初めてだ。最悪の日朝関係のなか、08〜09年に3度の平城ロケを敢行。ある一家の日常生活を追いながら、日本政府に放置され続けてきた在朝被爆者の怒りと悲しみを描く。激動の時代を生きた在日朝鮮人の歴史と、現在の異常な日朝関係も見えてくる。

【メッセージ】監督・伊藤孝司
 「日本による朝鮮支配が終焉して65年。ところが日本と朝鮮民主主義人民共和国とは国交がいまだにないばかりか、敵対的な状況が続く。そのことは米軍基地存在の口実となり、在日コリアンへの差別を助長させている。在朝被爆者への取材の中で、核兵器を使った戦争の悲惨さや、国家関係に翻弄される庶民の姿を見た。それだけでなく、日本という国家の今の姿がくっきりと浮かびあがった。」
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 人の語りが大半を占めるドキュメンタリー映画は、心の中にすっと入ってくる。
 その語り手は、平城で暮らす李桂先(リ・ゲソン)さんと、広島で暮らすその母。桂先さんは、3歳の時、原爆投下の12日後だった広島市に母とともに入り、放射能をあび被爆。しかし、その事実は59年間隠され続けてきた。
 その後、桂先さんは家族の中で一人だけ北朝鮮に帰国。体のあちこちに痛みが出てくる姿を見た母は、2004年、ついに被爆の事実を娘に告げた。

 「おばあちゃん、娘に被爆したことがあるという話をしなかったでしょ。それはどうしてですか。」
 「嫁いかれんけ。ハハハ、嫁いかれんけ、隠したの。嫁いかれんや。孫まで何になるけ。嫁いかれんけ、絶対言わん。」
 「その後ね、ご主人と一緒に平城に何回も会いに行かれましたよね。その時にも言わなかった?だけど、その時は嫁に行ってたでしょう。」
 「行っても言わんかった。」
 「言わなかったの?」
 「それは、別れたらいかんけ。」
 「ああ、そういうことですか。」
 「そうよ、だまされたというて、別れたらいかんけ。そうよ、その点がある。絶対言わん。
 自分がね、言うたらもう、胸抱えたらいかんけ思うてから、何にも言わんかった言うたら、ものすごう泣きおったよ。お母さん、何で言わんかったかいうて、治療せないけんのに。何でいわんかったかいうて。」

 桂先さんの夫「4年前に被爆を知って驚き、あわてました。でもじっくり考えてみると、これは運命のようなもので、信念が揺らいではいけないと。愛情と信頼で、だれよりも誇らしい生活を送るべきではないかと決心しました。」
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 李桂先(リ・ゲソン)さんの被爆者健康手帳の取得は、北朝鮮への制裁措置によって滞っている。いったい、どこの誰を制裁しているのだろう。李桂先さんは、当時の日本政府が朝鮮半島から強制連行した人々の子どもである。

 映画の最後の場面が、あまりにも悲しくやるせなかった。「えっ、まさか」と思うのはうれしいほうであってほしかった。

 みなさん、ぜひこの映画を見てください。
 (残念ながら、この日のお客さんは20数名でした。) 

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