2018年08月22日(水)
有権者の意見を無視しても選挙に勝てる [時事]
◎毎日新聞8月12日朝刊・論談西発「飯田健の時事ウォッチ」
カジノ反対 でも投票先は
統合型リゾート(IR)実施法が7月20日の参議院本会議で可決、成立した。この法律は、カジノを含む滞在型観光施設を設置するために必要な事項を定めたものである。こうした施設を造ることで国内外からの集客増が見込まれ、地域への経済効果、さらには税収増による自治体の財政改善効果が期待されている。
大阪は2013年に府市が「IR立地準備会議」を発足させるなど以前からカジノ誘致に積極的である。法成立でいよいよ実現に向けて具体化するだろう。
「カジノ解禁」に対してはもちろん強い批判がある。野党の多くはギャンブル依存症及び治安への懸念から法案に反対し、とりわけ参議院での審議が西日本豪雨災害復旧のさなかに行われたことから、審議中断を求めて与党を批判した。
有権者も概してこの法に反対している。例えば毎日新聞の世論調査ではこの法の成立について「評価しない」が65%を占め、「評価する」は20%に過ぎなかった(7月30日朝刊)。なぜ与党はこのように有権者の大多数が反対する「カジノ解禁」を推進するのであろうか。
そもそも与党が有権者の大多数の意見を無視するのは安倍政権において居間にはじまったことではない。今年3月に発覚した財務省による文書改ざん問題でも世論に反して麻生太郎財務相はその座にとどまった(5月28日朝刊の世論調査で「辞任すべきだ」が52%、「辞任する必要はない」が33%)。15年には大方の世論に反して安保関連法を成立させた(15年7月6日朝刊の世論調査で、法案に「反対」が58%、「賛成」が29%)。
なぜ無視するのか。答えは簡単である。それは、これらの問題で有権者の意見を無視しても選挙に勝てるからである。政治家にとって最も重要な目的は次の選挙で再選されることである。したがって政治家は選挙において有権者の票をできるだけ多く獲得できる政策を実行する。
その有権者は選挙のとき何を基準にして投票先を選んでいるかというと、主に自分自身の暮らし向きである。衆院選前だった17年10月16日朝刊の世論調査で、最も重視する争点として「安全保障関連法」「森友学園と加計学園の問題」を回答した割合はそれぞれ7%と6%に過ぎず、最も多かったのは「年金・医療」(23%)だった。また、同年12月21日朝刊の世論調査(本紙と埼玉大学社会調査研究センター)では、今の生活に「大いに満足している」「ある程度満足している」の回答を合わせると65%にも上る。
これをふまえると与党が、安全保障政策や政治倫理の問題で多少世論を無視しても有権者は自分たちに投票してくれる、と考えても不思議はない。「カジノ解禁」についてもおそらく同じである。世論調査でIR実施法について聞かれれば有権者の多くは反対と答えるが答えるが、それで投票先を決めるとは限らないのである。
こうした現状は民主主義の理想に照らして全く問題が無いわけではないものの、一つの現実である。似たような展開が予想される憲法改正をめぐっても、それに反対する側は、ただ与党の横暴を批判し、有権者の無知を嘆くのではなく、ここで述べたような現実を受け止め、冷静に方策を練る必要があるだろう。
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いよいよ沖縄知事選挙。
最後の最後まで辺野古の新米軍基地建設に反対されていた、すい臓がんで亡くなられた翁長知事の遺志を継いでもらえる方を応援したい。
今年2月の名護市長選挙では、走友・稲嶺ススムさんがまさかの敗北。そのリベンジとして知事選にも出てもらいたかったが、玉城デニーさんがオール沖縄候補として出馬されるようだ。
「おきなわマラソン」で何度も写真を撮らせてもらった玉城デニ―さん。デニーさん、顔がいいですね。人を裏切らないような真摯な顔をされている。
(注)もうちょっと、続きます。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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