2018年06月08日(金)
肉体寿命と精神寿命 [病院]
◎日本経済新聞6月6日夕刊
がん社会を診る
玉石混合 危ういネット情報 中川 恵一
インターネットでがんに関する情報を集める人が増えています。しかし、ネット上にあるがん関連の情報は良いものと悪いものが入り交じり、誤った情報や誤解を生むような宣伝も多く見かけます。最近では、不正確な医療情報が記載されているとの指摘を受けて、ディー・エヌ・エー(DeNA)の医療情報サイトが一昨年に閉鎖されたのが記憶に残っています。
ネットで「肺がん」を検索すると、上位50番目までの表示結果のうち、正しい内容を紹介したサイトは半分以下だったという調査もあります。
残念ながら、がん治療については怪しいサイトがまだまだ少なくありません。がん治療は一種の情報戦で、正しい情報を手に入れられるかどうかがとても重要になりますから大きな問題です。
がん予防という点でもネットの悪影響の可能性が指摘されています。英国で一般人1330人を対象に実施された調査では、対象者の3分の1以上が「食品添加物と遺伝子組み換え食品はがんの原因になる」と誤って認識していました。
同様に、携帯電話の使用やWi―Fiを含む電磁波は発がん性を裏付ける十分な科学的証拠は得られていませんが、それぞれ35%、23%の人たちが、がんの原因になると回答しました。
一方、アルコールと加工肉が発がんの原因になり得ると答えた人はそれぞれ41%、24%にとどまりました。回答者の88%は喫煙ががんの原因となることを正しく理解していましたが、がんの原因について誤解がある人ほど喫煙率が高いことも分かりました。
がんと診断されるケースの半分近くが生活習慣によるものですから、発がんに関する正しい認識を持つことは非常に大切です。たばこを吸わない、お酒は1合まで(これは難しい)、塩分を控えたバランスのよい食事、運動など活動的な暮らし、体形の維持がポイントです。
逆に、これら以外は科学的な根拠はほとんどありませんから、たとえば、無農薬野菜やサプリメントにこだわる必要はまずないといえます。
中学、高校の学習指導要領に加わった「がん教育」でも、予防は重要なテーマです。大人にも正しい知識が広がることを期待しています。
(東京大学病院准教授)
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だいぶ前にも同じことを書いたことがある。
私の母が胃がんで入院した時のこと。
いろいろなことをしんぼうしてもらって細々と寿命を延ばしていくか、好きなことをさせてあげて寿命が縮んでもいいか。難しい局面になった。
その時、母の面倒を一手に引き受けてくれていた私の兄は後者を選んだ。
具体的に言うと、母が一番楽しみにしていた笹採り(私のいなかでは、ちまきに使う笹がとれる)に、一時退院していた時に父同伴で行かせた。笹採りは山深くに入り、重たい笹を背負って帰らなければならない。癌患者にとっては、すごい肉体的な負担になる。
しかし、何年振りかの笹採りを成し遂げた母は大満足だったらしい。
私も兄の判断はよかったと思った。
その笹採りの半年後くらいに、母は亡くなった。臨終間際、きっと父と行った笹採りのシーンが頭によぎっただろう。
肉体的な寿命は縮めてしまったかもしれないが、精神的な寿命はきっと延びたことと思う。
母の死から25年後(2016年)、私も癌宣告された。
「全身転移の可能性大」と言われた時点で、「あと2年くらいの命か」と勝手に判断していた。だから、「細々と寿命を延ばす」という気持ちはまったくない。それより、「体が動くうちに出来ることは全部する」という気持ちが強い。
ヨメさんは癌に関するいろいろな情報を仕入れてくれて、私にあれはダメこれはダメとアドバイスしてくれる。でも、私はそれをほとんど聞いていない。
ヨメさんは、「ひとのゆうこと何にも聞かんと、はよ死んだらええわ」と言う。
そのとおーり。ひと様のゆうことをいちいち気にしながら細々と生きていくくらいなら、自分のしたいことして、みなさんに迷惑かけまくって死ぬほうがいい。
ヨメさんは、「そんなことゆうやつに限って、しつこく生きよる」とも言う。
この先がどうなるかは誰にも分からん。それなら、早め早めにしたいことして生きていくほうがお得な気がしますけど・・・。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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