パオパオだより

2014年05月23日(金)

司法は生きていた [時事]

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再稼働差し止めの地裁判決を受け「差し止め認める」の垂れ幕を掲げる弁護士ら=福井市の福井地裁前で21日午後3時4分

◎毎日新聞5月22日朝刊

   福井・大飯原発:差し止め判決
          「司法は生きていた」 原告ら200人歓声


 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町、運転停止中)の運転差し止めを命じた21日の福井地裁(樋口英明裁判長)判決は、東京電力福島第1原発事故の被害の大きさに触れ、「原発に求められる安全性、信頼性は極めて高度」とし、現在の安全対策は「楽観的な見通しの上で成り立つ脆弱(ぜいじゃく)なもの」と切り捨てた。【村山豪、山衛守剛、浜中慎哉、松野和生、近藤諭】

 地裁にはこの日、原告や支援者ら約200人が集結。判決後、原告の男性が「司法は生きていた」と書かれた紙を地裁前で掲げると歓声が上がった。福井市のイラストレーターで原告の一人、村井みきさん(34)は「司法に良心が残っていたと感じさせてくれる判決だった。福島の事故を知っているのに、福井で原発が動いてしまっては福島の人に顔向けできないような気がしていた。何かが変わるきっかけになってほしい」と話した。40年以上前から脱原発運動に関わる大阪府高槻市の水戸喜世子さん(78)も原告で、「住民側の目線に立ったパーフェクトな判決。日本だけでなく世界中に誇れるもの」と涙を流した。「脱原発弁護団全国連絡会」共同代表の河合弘之弁護士も「(判決は)脱原発のバイブルになり得るもので、全国の裁判所や市民、政治家に広めたい」と手応えを語った。

 一方で、福井県おおい町の住民は複雑な表情をみせた。「信じられない判決。会社の将来が全く見えなくなってしまった」。関西電力から大飯原発の仕事を請け負う町内の設備関連会社の社長は感想を漏らした。「関電には控訴してほしいが、裁判が長引くのではないかと心配だ。先行きが見えなくなり、地元業者の仕事も減っていく。従業員の生活がかかっており、何としても再稼働してほしい」と訴えた。町内で民宿を営む50代男性は「政府が原発再稼働を進める方針を示す中で踏み込んだ判決。(原発の危険性を)裁判所が考えるようになったという印象で、地元にとってはショックだ」と話した。

 再稼働に反対する同町の住職、宮崎慈空さん(70)は「画期的な判決で大変喜ばしい。裁判の経過を見ても関電の反論は誠実でない。原発の危険性を客観的に認識してもらえた」と歓迎した。

 おおい町の中塚寛町長は「司法の判断は粛々と受け止めざるを得ない」と話した上で「規制基準に基づく審査を注視するとともに、(関電側の)控訴も予測されるので、見守りたい」。西川一誠・福井県知事は「行政の立場から言うことはない」とした上で「原子力は重要なエネルギー源」と訴えた。

 判決を知らせるテレビのニュース速報が流れた直後、大阪市北区の関西電力本店の広報部では、十数人の社員が一斉に立ち上がり、テレビ画面にくぎ付けに。問い合わせの電話も相次ぎ、社員は携帯電話を片手に情報収集に追われた。

 関電のある幹部は「差し止め判決は想定していなかった。ただでさえ規制委の安全審査が滞っているのに、再稼働への悪影響は避けられない」と険しい表情を浮かべた。

 ◇同種訴訟原告「私たちも」
 全国で原発の運転差し止めや廃炉などを求めて係争中の原告団からは「追い風になる」と歓迎の声が上がった。

 「国の裁量権に委ねず、司法自らが原発の危険性を判断したことに意味がある」。日本原子力発電東海第2原発(茨城県)の運転差し止め訴訟の原告共同代表を務める大石光伸・常総生協副理事長(56)は、こう強調する。四国電力伊方原発(愛媛県)の差し止め訴訟の原告共同代表で、福島県出身の須藤昭男さん(72)も「私たちも司法の独立に懸けて闘ってきた。何としても勝訴したい」と意気込んだ。

 原発回帰の流れに一石を投じた結果を喜ぶ声も。青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場などの廃止を求める訴訟の原告団代表の浅石紘爾(こうじ)弁護士は「原子力規制委員会の判断を待たずに結論を出したのは驚きであり、画期的。他の裁判にも大きな影響を与えると思う」と述べ、「久々に留飲が下がった」と声を弾ませた。

 判決は、大飯原発から250キロ圏内の居住者に危険があると認めた。

 中部電力浜岡原発(静岡県)の運転差し止め訴訟3件に原告代理人として加わる北村栄弁護士は「浜岡原発から250キロ圏内には名古屋だけでなく東京も入る。多くの人に関係のある問題だと分かる」と指摘した。

 再稼働1号となる可能性が高い九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の運転差し止め仮処分を準備している「原発なくそう!九州川内訴訟」原告団の白鳥努・弁護団事務局長は、判決が「基準地震動を超える地震が大飯原発に到達しないという根拠はない」などと指摘したことに触れ「川内原発にも当てはまる。大いに勇気づけられた」と話した。【まとめ・狩野智彦】

 ◇福島の市民「希望の判決」
 東京電力福島第1原発事故以降、放射性物質などに苦しめられてきた福島県民からはさまざまな反応が出た。

 ラジオを通じて原発情報を発信し続けている「ラジオ福島」チーフアナウンサーの大和田新(あらた)さん(59)=福島市在住=は「原発事故から3年以上たってもいまだにコントロールできていない。ようやく事故を教訓とした判断を司法が示した」と評価する。大和田さんは原発事故後、一睡もせずにマイクに向かった経験がある。県民の現在進行形の苦しみを番組や講演会などで訴えてきたが、安倍政権は原発再稼働一辺倒。そこへ今回の判決がもたらされ「脱原発を求める多くの世論がこの判決をもたらした」と語った。

 「判決はこの国の新たな指針になるのではないか」と話すのは福島県南相馬市で学習塾を経営する番場さち子さん(53)。原発事故後、100人以上いた塾生が避難してゼロとなり、経営が行き詰まって自己破産を勧められたこともある。「原発を他国に売ろうとしたり、再稼働を進めようとしたりする政府を理解できず、日本という国に不安を抱いている人にとって『希望の判決』だ」と話す。しかし、塾生の親に原発で生計を立てている人もおり、複雑な心境という。【坂根真理、横田香奈】

 ◇「理想的すぎる」「高評価できる」 識者賛否
 「原子力防災」の著書がある松野元・元四国電力社員は「判決の結論は一理あるが、『250キロ圏内(の危険性指摘)』などあまりに理想的な内容で何の役にも立たない」と、今回の判決に厳しい。「原子力規制委の再稼働基準に対する反論などがあれば良かったが、具体性がなく、原発訴訟の歴史も踏まえていない」と指摘した。

 一方、奥平康弘・東京大名誉教授(憲法学)は「憲法上、危険をはらむ経済活動より国民の安全の方が重要という判断で、高く評価できる」と話す。

 2006年に北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決で裁判長を務めた井戸謙一弁護士も「福島の原発事故を機に、原子力の安全性に対する司法判断は大きく変わると思っていた。今回の判決はそれが形になった第一弾といえる」と話した。【山田奈緒】

 ◇すばらしい判決 菅元首相も傍聴
 関西電力大飯原発訴訟の判決は、菅(かん)直人・元首相も傍聴に駆けつけた。原発事故時に首相を務め、現在は一衆院議員として脱原発を訴えている菅元首相は閉廷後、取材に応じ、「すばらしい判決。国会における(原発の)規制基準の議論にも大きな影響が出ると思う。全ての原発を順次廃炉にするという政策に変わるべきだ」と述べた。【山衛守剛】

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 ◇原発運転差し止めなどを求め係争中の主な訴訟
原発名      裁判所      提訴年月

泊        札幌地裁     11年11月
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大間       函館地裁     10年 7月
         東京地裁     14年 4月
 ※原告は北海道函館市
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東海第2     水戸地裁     12年 7月
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柏崎刈羽     新潟地裁     12年 4月
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志賀       金沢地裁     12年 6月
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美浜・大飯・高浜 大津地裁     13年12月
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敦賀       大津地裁     11年11月
 ※仮処分申請
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大飯       大阪地裁     12年 6月
         京都地裁        11月
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浜岡       静岡地裁浜松支部 11年 5月
         静岡地裁         7月
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島根       松江地裁     13年 4月
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伊方       松山地裁     11年12月
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玄海       佐賀地裁     11年12月
         佐賀地裁     12年 1月
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川内       鹿児島地裁    12年 5月

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 「司法は生きていた」という垂れ幕にしびれてしまった。ええのん用意してましたねえ。かなり庶民感覚に近い判決が出たと思う。
 これは言いかえれば、「憲法は生きていた」ということでもある。 
 この流れで、私は「憲法九条も生きていた」という世の中にしていきたいと思う。。

 判決文の中でも、私は以下の二つの部分に注目した。
 すごく分かりやすいので、ぜひ読んでください。

【求められる安全性】
 原発の稼働は法的には電気を生み出す一手段である経済活動の自由に属し、憲法上は人格権(13条、25条)の中核部分よりも劣位に置かれるべきだ。自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広範に奪われる事態を招く可能性があるのは原発事故以外に想定しにくい。具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然だ。

【国富の損失】
 被告は原発稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いという問題を並べて論じるような議論に加わり、議論の当否を判断すること自体、法的には許されない。原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても、豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の損失だ。

 被告は、原発稼働がCO2(二酸化炭素)排出削減に資すると主張するが、福島原発事故はわが国始まって以来最大の環境汚染であり、原発の運転継続の根拠とすることは甚だしく筋違いだ。

※日本国憲法第13条ーーすべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 日本国憲法第25条ーーすべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

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