2012年09月25日(火)
「琉球独立」 [沖縄]
■ 松島 泰勝(まつしま・やすかつ)
石垣島、南大東島、与那国島、沖縄島で育つ。早稲田大学大学院博士過程終了。在グアム日本総領事館・在パラオ日本大使館専門委員などを経て現職(龍谷大学経済学部教授)。49歳。専門は島しょ経済論。NPO「ゆいまーる琉球の自治」代表。近著に「琉球独立への道」。
◎毎日新聞9月24日朝刊・「そこが聞きたい」より
「琉球独立」現実の選択に
沖縄県民の強い反対の中、米軍垂直離着陸輸送機オスプレイの普天間飛行場配備が進められている。石垣島出身で太平洋諸島や琉球の自治・自立・独立を研究する松島泰勝・龍谷大学経済学部教授は「日本への絶望が広がっている。琉球独立を現実的な選択肢として考えざるを得ない」と主張する。【聞き手・鈴木敬吾、写真・森園道子】
沖縄のオスプレイ反対
ーー沖縄本土復帰40年の節目の年に、オスプレイ配備問題が持ち上がりました。
◆私たちは10年に「琉球自治共和国連邦独立宣言」を発表しました。鳩山由紀夫元首相が公約した普天間飛行場の「最低でも県外移設」が簡単に破り捨てられたからです。日本の一部では永遠に基地はなくならない、独立しかないと考えました。
あの時、日本の自治体、国民の大多数は米軍基地受け入れを拒否しました。「抑止力」維持のために、琉球を犠牲にしてもよいのだという本音が出たのです。だから「私たちは差別されている」と声を上げました。それに重ねて「40年」とオスプレイです。単なる機種変更の話ではない。普天間の辺野古移設と併せ、今年を日米同盟強化の年にするのだという意思表示です。偶然ではありません。
ーー「琉球は日米の植民地」と主張しています。
◆1879年の「琉球処分」以降、本土決戦のための「捨て石」とされた1945年の沖縄戦、「本土」から切り離し米軍統治を認めた52年のサンフランシスコ講和条約発効、72年の「本土復帰」と、琉球の運命は琉球の人々の意思とは無関係に日米政府が決めてきました。
それは現在もずっと続いています。国土の0.6%しかない琉球に米軍墓地の74 % を押し付け、琉球人の人権を侵す日米地位協定を変えようとしない。経済も、外部から資金が投じられても琉球内で循環せず外部に流出する「ザル経済、砂漠経済」、つまり植民地経済です。
ーーしかし、沖縄を差別し、植民地支配していると考える本土の人は少ないでしょう。
◆琉球が450年続いた王国で、中国だけでなく、オランダ、フランス、アメリカと条約を結び、国際的に認められた国家だったことを知る日本人がどれだけいるでしょうか。国連人種差別撤廃委員会が10年、琉球人を独自の民族として認定し、米軍基地の押しつけを人種差別とし、琉球側と協議するよう日本政府に勧告したことを、どれだけの日本人が知っているでしょうか。
私たちは北海道のアイヌと同じように先住民族です。差別を差別として認識しないのは、日本がこの問題を国内・地域問題に矯小化しているからです。
ーーそれでも分離・独立を求める県民はどれだけいますか。
◆独立論は過去にも言われ冷めた見方もありましたが、鳩山元首相の公約違反で状況が全く変わりました。基地の撤去・返還を求める保守政治家も増えています。一人1人がどうすれば基地を無くせるかと考えれば、独立の必要性が現実的な選択肢・課題として認識されます。
また私たちの主張には、国連が60年に採択した植民地独立付与宣言など国際法に基づく明確な法的根拠があります。国連の脱植民地化特別委員会や人種差別撤廃委員会などで人民の自己決定権を主張しています。
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安全宣言 なお不信
ーー自立は可能ですか。
◆太平洋には小国がたくさんあります。94年にアメリカから独立したバラオの人口は2万人、同じくツバル、ナウルは1万人です。国連に加盟する独立国です。沖縄県は140万人です。不可能ではありません。
研究者の世界でも、政治・経済学、国際法、民俗学、社会学など、幅広い分野で組織琉球独立総合研究学会が来年度からの発足を目指しています。イギリスからの独立を目指し14年に住民投票を実施する予定のスコットランドの動きなどが参考になります。
ーー政府はオスプレイの「安全宣言」を出しました。
◆原発事故での政府の「安全宣言」が安全をいみしないように、今回の宣言も琉球の安全を保障するものではありません。
森本敏防衛相は「飛行の安全性に最大限の配慮がなされる」と言いましたが、人為的ミスが起これば最大限の配慮も無に帰します。人為的ミスをカバーする技術が欠如しているのがオスプレイであり、それが弾薬も積んで琉球中を飛行するのです。
「復帰」後、絶えることのない米軍関係の犯罪は、まさに「人為的ミス」でした。米軍人に対する不信が「安全宣言」を無化しており、オスプレイに強く反対する要因になっています。
配備が強行されれば、日本との関係は破断界を越えるでしょう。オスプレイ配備は、琉球とは何か、琉球人との関係をどうするのかという問いを、一人一人の日本人に突き付けています。「沖縄」ではなく、「日本」の問題なのです。
▽琉球王国
琉球は1429年、王国として統一され、明に朝貢して王に任命される冊封体制に入った。1609年、薩摩藩の侵略を受け支配下に入るが、王国は存続し朝貢も続く。明治政府は1879年、軍隊を派遣して沖縄県を設置。王国は滅亡した。琉球処分と呼ばれる。
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松島泰勝氏著「琉球独立への道 −植民地主義に抗う琉球ナショナリズムー」法律文化社は、2490円。ちょっと高いけど、これは読まなくては。
前にも書いたと思うけど、今から大学に入って勉強できるなら「松島ゼミ」で学びたい。
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【追加】
午後3時40分、私のケイタイに着信。
「パオパオさんにお詫びが・・・。」
「なにをしでかしてくれはったんですか。」
「パオパオさんの今日のブログの記事を、パクリました。」
「えっ! はやっ! さっきアップしたばっかりですよ。」
「そうなんですか。家に帰ってきてパオパオさんのブログ見せてもらったら、沖縄のこと書いてあったのでそのままパクらせてもらいました。」
「あれ、苦労したんですよ。新聞記事がそのままサイトに載ってることもあるんですけど、あの記事はそれがなくてね、全部私の手打ちです。へんな変換とかしてるかもしれんし、ちゃんと見てくださいね。」
「いや、まだしっかりとは見てないんですよ。」
それにしても、このパクリスピードの速さったら・・・・。
私の記事のバクられ先は、「ハッチャンのアスナロ日記」(私のリンク集にあり)でした。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 3 )
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コメント
提唱者が学者で庶民生活を反映していない。だから個々の琉球庶民の人々の独立したいという理由が漠然となってしまい様々な妨害が入る。
参考までに、私の場合はこういう理由で琉球独立を目指している。
http://jyuurokkujyou.seesaa.net/article/300839517.html?1354246221
松島先生、コメントありがとうございます。まさか、先生ご本人からコメントをいただけるとは思っていませんでした。
4年前の滋賀沖縄県人会主催の松島先生の講演をお聞きして以来、先生のご活動には注目しています。あのあと、「琉球の『自治』」(藤原書店)も買って読みました。次は「琉球独立への道」も読もうと思います。
うちの高3の娘が沖縄に住みたいと言っているので、次は先生と沖縄でお会いできるかもしれません。松島先生のブログ「NPO法人ゆいまーる琉球の自治」をしっかりチェックしていきたいと思っています。
これからも沖縄のことをいろいろと教えてください。今後ともよろしくお願いします。
この度は、ブログにて新聞の記事をご紹介下さり、感謝します。また小生に対しても好意的なご意見をたまわり、お礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いします。私のブログやFBでもパオパオさんのブログをご紹介させていただきます。にーふぁいゆー!