パオパオだより

2012年03月26日(月)

敗者の自己責任? [時事]

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◎毎日新聞3月26日夕刊

 今、平和を語る:哲学者・東大大学院教授、高橋哲哉さん

 戦前の教育は国家主義の柱をなした。戦後の教育はその反省からスタートした。しかし国旗・国歌法の制定、教育基本法の改定など近年の政府は教育への管理を強めている。東京、大阪をはじめ地方公共団体でも顕著になってきた。教育現場に何が起きているのか、この国に何が起きようとしているのか。哲学者で東京大大学院教授の高橋哲哉さん(55)に聞いた。<聞き手・広岩近広>

 ◇競争と管理は教育の自殺 お上の幻想で子ども不在

 −−橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」が原案を作成した大阪府と大阪市のいわゆる教育基本条例案(府は可決)は、教職員の処分を厳格化しています。

 高橋 教育の管理を強める動きは、歴史的には国旗・国歌の強制にみられるように、かなり前から起きています。現在の状況は、東京、大阪という東西の中心地で、それも首長が先頭にたって、こうした流れを強く推し進めているといえます。

 大阪の条例案は、教師の処分に関する内容が微に入り細をうがっています。だが、子どもに関する記述がほとんどありません。子どもたちは今、どうなっているのか、教育を考えるためにはそこから始めるべきだと思います。統計的には引きこもりや不登校が相変わらず多く、その根本原因は解明されていません。条例案には、そうした問題を考えようとする姿勢が見られず、教職員の管理を強めれば教育がよくなるという幻想に囚(とら)われているように見えます。

 −−大阪市の条例案は「教育理念」として<他人への依存や責任転嫁をせず、互いに競い合い自己の判断と責任で道を切り開く人材を育てること>など6項目をあげました。

 高橋 いずれも「人材」の言葉を使っています。この言い方に潜んでいるのは、国や社会が設計した人間に仕立てあげようという意図です。前文では、子どもたちが十分に自己の人格を完成、実現されているとは言い難いと大阪市の教育の現状を示したうえで、時宜にかなった教育内容を実現しないと国際競争から取り残されるのは自明だと強調しています。しかし、やみくもに競争を煽(あお)りたてるのでは、ますます人格空疎で、勝ち負け以外の価値を知らず、世界に通用しない人間ができあがってしまうでしょう。

 −−学校を息苦しくしているのは競争と管理だと指摘し、共著「とめよう! 戦争への教育」(学習の友社)で書かれました。<競争は新自由主義という思想に基づくものですし、管理は新国家主義といえると思います。競争と管理は、いまの権力者たち、為政者たちが「国家戦略」として採用している思想−新自由主義と新国家主義−を教育現場に持ち込んだものです>

 高橋 1990年代のグローバル化の流れに呼応し、とにかく競争に勝たねばならないという価値観を教育現場に押しつけました。弱い者が淘汰(とうた)されていくのは敗者の自己責任で、全体が発展するためにはやむを得ないという論理です。同時に、多少なりとも自由が認められていた教育現場の管理が強められました。服務規律の徹底、愛国心や忠誠心を教える新国家主義が、弱肉強食を正当化する新自由主義とセットになっているのです。2006年の教育基本法の改定もこの流れでした。

 −−いわゆる「日の丸・君が代」を強制している自治体では、教育委員会が出す職務命令を校長が教職員に徹底します。著書「教育と国家」(講談社現代新書)で苦言を呈されました。<上命下服のシステムは全体主義国家の特徴そのものですから、こうしたシステムのもとで教育された子どもたちは、自分の頭で考え、自分の理性でものごとを判断することができなくなってしまう。「お上」の命令であればその内容如何(いかん)にかかわらずそれに従うような教育の場で、自分の頭で考え、自分の理性でものごとを判断できる子どもたちが育つとは思えません>

 高橋 さらに言えば、こうした教育環境では、自由な精神をもつ人は教師になりたがらなくなってしまいます。学校教育自体が小さくなると、子どもたちからクリエーティブな力は生まれてきません。これは少し強く言うなら、教育の自殺行為だと思います。

 −−あるべき教育とは。

 高橋 本来の教育は、基礎的な学力を身につけると同時に、困難があっても絶望せずに生きていけるだけの自己肯定感を養うことにあると思います。仮に失敗しても、挫折しても、それでも自信を失うことなく、新たなチャレンジに向かっていける、そういう人格のベースを養うこと。

 そのためには教師ともパーソナルな交流が必要でしょうし、人間的な信頼関係をはぐくむような教育現場が何より求められます。競争と管理がまかり通る教育現場では、そうした人格をつくることは不可能です。

 −−かつては戦争に駆り立てるための「国民精神」を形成する装置として教育が使われた面があります。

 高橋 戦時中の「一億玉砕」という国家命令に従うような「精神」ではなく、グローバル化に伴う大競争のなかで、日本が勝ち残っていくために必要かつ十分なだけの「精神」だと思います。この種の「精神」をつくるためには労働運動や市民運動をマイナー化し、社会的な異分子をあぶりだす管理と監視のシステムを強化することが重要だと、為政者は考えるはずです。教育の効用を知っているのです。

 −−為政者はいつの時代にあっても、<国家批判や社会批判を「不遜な言動」として「自ら慎む」ような従順な国民>「『心』と戦争」(晶文社)をつくりたいのでしょうか。この先々に見えるものは。

 高橋 新自由主義と新国家主義の価値観をもつ政治家は、教育基本法を変えたことで、個人の育成から国家の方針に沿う国民をつくろうとしています。仮にですが−−自民党の改憲原案にあるように、憲法9条を変えて日本軍が米軍と一体化して武力行使を行うことが可能になれば、それこそ国のための自己犠牲を国民に要求してきます。そのための「精神教育」を押しつけ、表現の自由を含めてあらゆる分野の自由を圧迫する動きが強まるでしょうね。

 そういう「精神教育」であってはならないと、戦後は戦前と違う教育理念を掲げて出発しました。しかし大きく後退しているのが実情です。教育は社会を存立させる最も重要な役割を果たすのですから、教育現場で起きている問題を見すえていかねばならないと思います。(専門編集委員)

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■人物略歴

 ◇たかはし・てつや
 1956年、福島県生まれ。78年に東京大教養学部を卒業後、大学院などを経て、87年に東大教養学部助教授に就任。現在は大学院総合文化研究科教授。ベストセラー「靖国問題」(ちくま新書)など著書多数。近著に「犠牲のシステム 福島・沖縄」(集英社新書)「いのちと責任 対談高史明・高橋哲哉」(大月書店)がある。
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◎nikkansport.comより

 「橋下政治塾」君が代の起立斉唱で開講

 橋下徹大阪市長(42)が代表を務める大阪維新の会は24日、大阪市内で、全国から2000人を超える受講生を集め「維新政治塾」の開講式を開いた。塾長の橋下氏は、衆院解散に備えて「国の形を本気で変えるため、大勝負しないといけない」と宣言。君が代の起立斉唱からスタートするなど独自色全開で、今後は受講生の能力や資質を見極めて400人程度の精鋭を選抜し、次期衆院選を見据えた候補者養成を進めていく。

 金びょうぶを背に塾長の橋下氏は、次期衆院選の擁立候補でもある受講生へあいさつし、国政進出への本格的な第1歩を踏み出した。「今の日本は危機的な状況だ。国の形を本気で変えるため、大勝負しないといけない。国の体制を変えるのは選挙だ。来るべき大いくさに備え、しっかり準備していこう」。

 さらに橋下氏は「統治機構を変えて、決定できる民主主義を実践する政治集団を」「独裁、拙速との批判もあるが話し合いだけでは物事は進まない。価値観が合わないなら去ってもらって結構だ」「政治塾はカルチャースクールではない」などと熱弁。会場は新入社員の入社式のような緊張感が漂った。

 大阪市の君が代起立条例は市長の橋下氏の意向を受け2月末に施行されており、式は「代表の強い意向」(同会幹部)で、君が代の起立斉唱からスタートした。元経済企画庁長官で名誉塾長・堺屋太一氏のあいさつの途中、音声トラブルから約10分中断するハプニングもあった。橋下氏は「マイクの調子が悪い。(電力供給の)原発が必要ということか」と、関電の原発再稼働に反対している自身の立場を引き合いに、笑いを誘う一幕もあった。

 開講式は午前と午後、2回に分けて実施。今後は隔週で講義を開き、大阪都構想や、事実上の衆院選公約「維新八策」についても受講生らと協議を重ねる。講師役は堺屋氏らが務める予定。受講生の街頭演説やディベート能力も確かめ、衆院解散時期を見据えて、最終的に400人程度を選抜。かねて公言している「300人擁立、200議席獲得」を目標に掲げる。

 ただ、拡大一途の同会に対し、各党とも警戒感を強めるのは必至。橋下氏は、都構想実現に必要な地方自治法改正をめぐる国会審議や世論の動向を見極め、国政進出の是非を判断する意向だけに、選挙協力を視野に入れた連携の模索や、政策的な対立など駆け引きが激化しそうだ。

 [2012年3月25日9時6分 紙面から]
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 維新塾は政治家養成塾というより、右翼政治結社というのがふさわしいのではないだろうか。日の丸に向かって君が代斉唱。そのあとの橋下代表のありがたいお話は、「腕を組んでいた人はマナー違反」というもの。
 人の命より、ただの旗やただの歌が優先される世の中になったら恐ろしい。戦前戦中の奉安殿でもあるまいに・・・。

※奉安殿(ほうあんでん) [ 日本大百科全書(小学館) ]
 学校に下賜された「御真影(ごしんえい)」や教育勅語など勅語類を安置する建物。天皇・皇后の写真である「御真影」と勅語の諸学校への下賜は1890年(明治23)に始まるが、その下賜数がしだいに増加するとともにその管理規定も厳重となり、管理の不行き届きは学校長などの重大な責任問題とされるに至った。「御真影」などは当初校舎内の奉安所に安置されていたが、学校の火事に際して「御真影」を守って焼死する校長などが相次ぐなかで、校舎から離れた地点に堅固な奉安殿を建設し、「御真影」などを安置することが大正期から始まった。奉安殿の建設は1935年(昭和10)以降全国的に実施され、「御真影」はますます神格視された。敗戦後、「御真影」は焼却され奉安殿は取り壊された。 [ 執筆者:赤澤史朗 ]

 「弱い者が淘汰(とうた)されていくのは敗者の自己責任で、全体が発展するためにはやむを得ないという論理です。」って、これが政治家のすることですか。
 政治家をめざすのであれば、前長岡京市会議員・小原氏のように「ひとりもみすてない政治」をめざしてほしい。
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【RUN】

 今日も5km。
 行き13分18秒、帰り13分40秒で26分58秒。

 10kmが速くなるにはどんな練習がいいんかなあ。

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