パオパオだより

2019年06月28日(金)

日本の主役はバカでいい [時事]

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◎毎日新聞6月28日朝刊

   論点:「不都合な真実」の扱い方

 「年金だけでは老後資金が2000万円不足する」と指摘した金融庁ワーキンググループの報告書について、麻生太郎副総理兼金融担当相が受け取りを拒否したことに批判の声が広がった。「不都合な真実」に背を向ける政権与党の姿勢は、公文書の隠匿や改ざんなど枚挙にいとまがない。その振る舞いの背景と危険性を考える。

   「下流」層を取り込む自民
                  白井聡(京都精華大専任講師)

 「金融庁の報告書はもうない」などと事実をもみ消す現政権の背景には、民主主義を成り立たす大前提の崩壊がある。国民全体が政治と社会の知識を広く得ている、せめて得ようとしているという前提の崩壊を、現政権は徹底利用している。

 新聞も野党も政権の論理矛盾や隠蔽体質を批判している。だが、麻生太郎財務相いわく「新聞読まない人はぜんぶ自民党支持だ」。批判が効果を発揮しないのは、自民党が論理的整合性に関心を払わない有権者層を主たる「顧客」として取り込んでいるからだ。野党が同じ土俵で「顧客」獲得に励んでも勝利は望めない。資金力で勝負にならないからだ。

 小泉純一郎政権(2001〜06年)時代、広告代理店が政府に提出した広報戦略資料が話題になった。政権の支持基盤である「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する」主婦や若者、高齢者を「B層」と名付け、彼らに「分かりやすい」宣伝を提案していた。

 同時期にマーケティングアナリストの三浦展氏は、低い所得だけでなく、意欲に欠ける生活習慣や思考様式を共有する階層「下流」の出現をいた説いていた。「B層」は「下流」の言い換えともいえよう。小泉政権向けの広報戦略資料が暗示したのは、政権が新たな格差の拡大を防ぐのではなく、利用し尽くそうという意志ではなかっただろうか。

 これは、自民党の自己否定ともいえる。自民党は、少なくとも建前では、あらゆる社会階層の利益を調和的に実現する国民政党を標ぼうしていた。その自民党が特定の階級・階層に依拠する党への変質を宣言したに等しい。しかも、その階層の利害を代表せず、単に支持基盤として利用するのだ、と。

 先日、若い女性を主要購読層とするファッション誌「ViVi」の広告企画が批判された。同誌のモデルに「権利平等」「文化共生」といった主張を語らせた自民党の広告だ。これらの主張が、自民党議員の多くや中核的な支持層の価値観とかけ離れていることは、簡単に分かる。だが、まさにこれが分からない(と思われる)層を対象に、自民党は広告を打った。消費社会に生まれ育ち、政治の知識に乏しい人々の感情をふんわり肯定し、決して内実を知らしめず、ただ好印象を抱かせる戦略だ。

 自民党は「ViVi」以外でも、イラストレーターに安倍晋三首相を侍として描かせるなど、政策を直接語らない、特に若者向け広告を次々と仕掛けている。若年層全体を「B層」扱いして、「これからの日本の主役は総じてバカでいい」との前提に立っている。この前提でどんな未来を描くつもりか。

 ただ、「B層」扱いされている有権者も市井の人々である。生活を見返せば、山積する問題は明らかだ。なぜ「好景気」なのに生活が苦しいか、なぜ子どもを産み育てる余裕がないのか・・・・・。今の年金問題も、人々がふんわりとした政治宣伝の洪水から頭を上げ、眠っていた怒りを沸き立たせるきっかけにはなりうる。いずれにせよ、怒りが復権しないままでは、この国は亡びるしかないだろう。

■しらい・さとし
  1977年生まれ。一橋大大学院博士課程単位取得。博士(社会学)。文化学園大助教などを経て現職。著書に「国体論 菊と星条旗」「永続敗戦論」「未完のレーニン」など。
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 今日は寮2の24時間バイト。
 いつも通り朝日、日経のチェックをしていたのだが、あまりいい記事がない。でも、家から持って来た毎日新聞にいい記事が見つかった。(記事のコピーができないので、ポチポチと手打ちしました。)

 「報告書受け取り拒否」を受けての「不都合な真実の扱い方」について3人の方がコメントを寄せられていた。

 「長期政権で内部評価重視」 郷原信郎(弁護士)
 「政治家は公文書を消せない」 瀬畑源(成蹊大非常勤講師)
 「『下流』層を取り込む自民」 白井聡(京都精華大専任講師)

 自宅のすぐ近所の京都精華大の白井聡さんの「自民党、下流取り込み論」。
 私の人生上最悪としか思えない現政権。なのに支持率がけっこうある。これが全く理解できなかったのだが、白井さんの解説は分かりやすい。
 そうやったんかー。アホを上手に取り込んだんやー。なんちゅうこっちゃー!

 白井さんの言う「怒りの復権」なんて、ない! 
 自民党にアホ(バカ)扱いされている人たちに、「アホじやないって、みんなでかしこくなろうって」という方針で説得していったらいいんとちゃうかなあ。
 まずは、今までの広告戦略の見直しからやね。

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