パオパオだより

2011年09月01日(木)

憲法判断 [時事]

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通販事務所の近くに咲いていたひまわり

◎京都新聞8月26日朝刊・「私論公論」より

 「韓流裁判所 憲法判断で社会を変革」  弁護士・襄 薫(ぺエ・フン)

 還流が花盛りである。冬のソナタに始まる映画やK−ポップなどの芸能、スポーツ、サムスン・現代自動車などの製造業、観光旅行、食品など、その対象は広範囲にわたっている。
 日本に生まれ育ち、根深い差別と偏見にさらされてきた私にとっては、複雑な心境は否めないものの、基本的に歓迎すべき変化である。しかしながら、韓流はこのような産業にとどまらない。政治文化にも及んでいる。
 1988年、韓国で憲法裁判所が設立された。憲法裁判所とは、通常の司法裁判所とは異なり、憲法裁判のみを処理するために設立された特別な裁判所である。
 日本では、通常の司法裁判所が通常の裁判に付随して憲法判断を行っている。通常の司法裁判所とは異なる憲法裁判所は、日本国憲法にはない制度である。47年に日本国憲法が施行されて以来、すでに60年が経過したが、最高裁の違憲判決はいまだに20件に満たない。
 一方、韓国の憲法裁判所は、設立された88年から2010年までの約20年の間に500件を越える違憲判断を行っている。日韓の人口比はおおむね3対1、最高裁と憲法裁判所存続期間もおおむね3対1であることからすれば、韓国の憲法裁判所が短期間にいかに多くの違憲判決を下したかが分かる。
 韓国で違憲判決が多い理由には何点かが考えられる。まず第一に、憲法裁判所ができた88年という時代は、軍事独裁体制とその負の遺産を清算すべきであるという歴史的課題を抱えていたことである。
 72年の朴大統領による非常厳戒令の宣布、国会の解散、維新憲法の制定、緊急措置の発令などの一連の人権弾圧施策、79年の朴大統領暗殺、軍事クーデター、80年の光州事件、87年の民主化宣言など韓国の民主主義の実現には、他国における民主化実現過程と同様に多くの国民の血が流れた
 第二に、数百年もの間、韓国社会の隅々にまで浸透していた儒教思想に基づく伝統的家族制度を否定し、個人の自由と尊厳を基礎とした近代的家族制度を創造する社会的要請があったことである。
 この二つの政治的・社会的課題を清算した後も憲法裁判所は、表現の自由や刑事事件、その他の分野においても、社会に巣くう不条理を座視できない国民の鋭い問いかけに対し、次々に画期的な判断を続けている。
 また、政治文化の他の領域でも、韓国は、日本にない二つの重要な制度を既に実現している。
 一つは、2001年の国家人権委員会の設立であり、もう一つは、06年の在韓外国人に対する地方参政権付与である。
 基本的人権の尊重、民主主義の実現、近代的家族法の制定という歴史的課題は日本社会にも存在していた。むしろ、韓国は殖民地時代の日本を通じて近代法(ドイツ法・フランス法などの大陸法)を継受している。
 なぜ、韓国は社会変革が早いのか。私には、次の2点が思い起こされる。一つは韓国社会に巣くう不正、不公正、不条理に対する韓国国民の激しい怒りであり、もう一つは、歴史ないし後世に対する韓国人の責任感とそれに基づく自浄努力である。忍耐は必ずしも金ならずである。

 ぺエ・フン 1953年山口県下関市生まれ。京都大経済学部卒、79年に会計士補登録、88年大阪弁護士会に登録。2007年に神戸大大学院経営学研究科を修了しMBA取得。在日コリアン弁護士協会理事。著書に「裁判の中の在日コリアン」、「韓国憲法裁判所」などがある。

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◎京都新聞9月1日朝刊

 「君が代不起立者の情報収集は適法」 横浜地裁

 神奈川県教育委員会が、入学式や卒業式の君が代斉唱時に起立しなかった教職員名を収集したのは違法として、県立高校の教職員ら27人が県に情報消去などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は31日、「収集は服務規律の保持を担う県教委の裁量内の判断で、違法ではない」として請求をいずれも棄却した。原告側は控訴する方針。

 佐村浩之裁判長は判決理由で「不起立は教職員の国歌への歴史観や世界観に結び付けることができる情報」として、県個人情報保護条例が取り扱いを原則禁じている「思想、信条に関する情報に当たる」と認定した。
 一方で、起立の指示に反した違反事実に関する情報でもあるとし、県教委がそうした情報を収集、記録するのは人事管理上、必要だとした。

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神鍋高原マラソンでもらった花

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 日本国憲法第19条  「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」

 日本国憲法第98条第1項  「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」

 「憲法は全ての法において優先する。」裁判官は、本当にそれを肝に銘じて判決を下しているのだろうか。
 「君が代不起立」が「思想、信条に関する情報」と認定しておきながら、その罰則のために使われる情報収集、記録が憲法違反ではないと判断するなんて・・・。

 日本も韓国に習って、「憲法裁判所」を作ってほしい。そして、憲法違反の疑いのある事柄に対しては厳格に判断してほしい。違憲判決が過去60年で20件なんてありえない。

 「憲法はすべての法に優先する」のだから。

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