2009年10月18日(日)
第15回四万十川ウルトラマラソン [ランニング]
いろんなことがあった。
いろいろ書きたいことがある。
でも、私は私にしか書けないことを優先。
走っている途中、突然目に飛び込んできた「ランナーズ9の会」ののぼり。思っても見なかったので、本当にうれしかった。
あとでかわせみさんに聞くと、地元高知のシマちゃんご夫妻。
「写真、撮りまっさー」と言うと、「あー、パオパオさん」。今日は店の宣伝のため「京都キャロット」の黄色のユニフォームだったのに、すぐわかってくださった。
現在「9の会」の高知会員はこの2名のみ。つまり、高知会員100%の応援です。このパフォーマンスで、高知の会員さんが増えればいいのにね。
さて、話は戻り・・・。
私が宿泊していた窪川というところは、会場から約50km東。車で1時間近くかかる。
そのため、3時前に起き、身支度だけ整えてすぐに宿を出た。
車を駐車場にとめ、送迎バスに乗り、スタート地点についたのは4時半。スタートまでまだ1時間もある。・・・退屈。
前の日に名簿をよく見たつもりだが、見つけて話ができそうな人は、久保井さん(みかた残酷マラソン実行委員長)とかわせみさん(ランナーズ9の会)くらいだった。
でも、人が多く見つけられない。
そろそろスタート地点に向かおうかとグランドに出ると、石田さん(宝が池STC)にばったり。9月の「丹後100km」の時にも声をかけてくださっていたのだが、あの時はお写真を撮るのを忘れていた。追いかけて、パチリ!
「丹後、どうでした?」
「最終関門(87.2km)に、40秒間に合いませんでした。」
「えー・・・、そら惜しいことを・・・」
「いや、30kmくらいから足の具合がおかしくて、ようあこまで行けたと思ってるんです。」
「そうやったんですか。それで、今日はだいじょうぶなんですか。」
「足に痛みどめの注射うってきました。」
うーん、恐るべし67歳・・・。
荷物を預け、スタート地点へ。
スタート地点で、かわいいワンちゃん発見。何枚も写真を撮らせてもらったが、なかなかこっちを向いてくれない。
ごろーちゃん、おとうさんは甲斐犬だそうだ。
「スタート前、かわいいワンちゃんに会うと楽しく走れる」・・・今日も、そうであってほしい。
100kmの部は、登録152人、未登録1560人、合わせて1712人のエントリー。
バスで連れて来られ、まわりが真っ暗なので、いったいどんなところにいるのかよくわからない。
スタート最後尾に並んでいると、ひょっこりと久保井さんの姿が。
「久保井さーん。」
「わー、藤井さん。藤井さんにこんなところで会えるとは・・・。おくさんもいっしょですか。」
「そんなもん、来ますかいな。『四万十川はまって、帰ってくんなー』って、言われてますのに。」
「そう。うちのおくさんはどこでもついてくるんや。今日もここまで車で送ってもらって、つい5分ほど前に着いたばっかり。」
「いやー、それは楽でよろしいねえ。」
5時半スタート。
スタートの合図(音)は、まったく聞こえなかった。
スタートしてしばらく進んだ道路わきに、久保井さんの奥さんがビデオを撮っておられた。
「よろしいなあ。」
ここからしばらく、久保井さんと並走。いろいろなことを話しながら。
中でも一番おもしろかったのは、「村岡ダブルフルマラソン」の話。
久保井さんが76km地点あたりを走っているとき、携帯に電話。「つけてもらったスピーカーの調子がおかしいので、夕方5時までになおしてほしい。5時半から婦人会の放送があるから。」
久保井さんは「サンカイ通信」という電気工事系の会社を経営しておられる。小回りのきく会社は、日曜も関係なし。修理が済めばまたレースに復帰するつもりで、チップを役員さんに渡し、一時レースを離脱。
けっきょく戻れなかったそうだが、戻ってゴールテープ切ってほしかったなあ。レース途中に一仕事をこなしたランナーとして、有名になれたのに・・・。
20km近くまで、私、久保井さん、石田さんの3人でしゃべりながら走ることができた。
16km地点あたりから上り坂がきつくなってきたが、思っていたほどでもなく十分走ることができる坂だった。16kmまではキロ7分、そのあとの上り坂もキロ8分を切るペースで走ることができた。
20kmは2時間24分くらい。約24分の貯金。
20km過ぎで声をかけてくださるかたあり。
「キャロットさん、これ、こないだお店で買わせていただきました。」
「私も、これ、キャロットさんで買わせていただきました。」
「いやー、ありがとうございます。写真、撮らせてもらいますわー。ぜひ、完走してくださいね。」
こうして私のまったく知らないところで、「京都キャロット」のファンになってくださっている方が・・・。ありがとうございます。
私のブログも読んでくださっているようだ。
初めて、「ワンちゃんの記事もおもしろいですね」とほめてもらった。
そしたら横から久保井さんが、「いや、何といっても『毒ヨメシリーズ』が最高ですよ。今回も、奥さんに『四万十川はまって、かえってくんなー』って言われてるらしいです。」
もう、ええから、そんなことひとに言いふらまわさんでも・・・。
このうちのお客様二人連れには、このあとも何回かお会いしたが完走されたのだろうか。(もし、この記事を読んでおられたらぜひコメントを!)
峠(21.3km地点)で、久保井さんとお別れ。
私は、足を痛めやすい下りこそゆっくりペースで走りたかったので。
実は、15kmあたりからおなかがゴロゴロいい出してきた。
朝は、宿で用意してもらったおにぎり3個、ゆでたまご、お漬物を残さず食べた(運転しながら)。ふだんの私のお茶漬けサラサラの朝ごはんからは、考えられない量である。
何キロおきかにトイレはあったが、どこも並んでいる人がいる。一人3分としても、3人なら10分ほど。これはもったいない。すいているトイレが見つかるまで、しんぼうしよう。
(と思いつつ、けっきょくこのゴロゴロおなかで35km過ぎまで行くはめに。この間およそ20km、変な顔して走り続けていたと思う。)
「ランナーズ9の会」のランナー発見。
滋賀の「すり足」さんだった。それにしても、ウルトラマラソンにぴったりの名前だこと。
久保井さんが見つけたベストドレッサーランナー。ほとんど手作りだそうである。
正面からのお写真も撮らせてもらったのだが、ゼッケンを消してほしい(画像処理)と言われ、私にはそんな技がないのでやむなく後姿。
でも、本当にかわいくて似合っていてめだっていましたよ。(この女性も、完走されたのかなあ。)
こんなかわいい子らのひと声が、うれしいんですよね。
「石、持って行ってー」と言っていた人がおられたが、それ無理でしょう。
高知は美人ぞろい?
四万十川を渡る。
おそろいのTシャツは、なんかのチームでしょうか。
大通りの反対側に「ランナーズ9の会」ののぼり発見。
ご夫婦で会員さんというのは、うらやましい。うちのヨメさんは・・・。
40km、4時間53分。貯金が43分もできた。
それまで人家が極端に少なかったせいか、ワンちゃんをまったく見ない。「走りながら雑種犬をさがす」という私の楽しみが、さっぱり。
でも、応援の中にウサちゃん発見。これは初めての経験です。うれし!
たぶん中学生だと思うが、声をからしての応援。ほんとにありがとう。
こんな横断幕もわざわざ作ってくれたんかな。恥ずかしそうに持ってくれていた「男子」、ありがとね。
これは久保井さんに教えてもらったのだが・・・。
ここらの石垣は、みな石が小さい。これは、河原からコツコツ運んできて積み上げたものらしい。コースのあちらこちらに、この細かい石の石垣が見られた。
また今日も、視覚障害のあるランナーに追い抜かれた。その反対は一度もないのに・・・。強い!
やっと半分、50km。6時間28分。32分の貯金。
今日の私のいでたちは、「今日キャロット」の黄色のランシャツランパン。最近ロング走の時愛用していたロングタイツは、今回はお休み。スタート直前まで、ランシャツにするかTシャツにするかで迷ったが、ランシャツで正解だった。(あとで分かったことだが、この日の高知の最高気温は26℃。)
シューズは、マイシューズ中最重量の「ゲルニンバス9」。ソックスは、もちろん私のお気に入り「アシックスXAS103(5本指)」。
右足は、前日の朝に「あいおわ治療院」さんでテーピング。両足にゲーター(ふくらはぎサポーター)。
これは効いたような気がする。右足が、いくら走っても痛くならなかった。
みなさん(特にロングタイツがにがてな方)、ゲーターはおすすめです。
京都府から参加の男子は39名。決して多いとはいえない。
しかし、今日はいやによく声をかけていただく。やはり、「京都キャロット」の名前入りのランシャツを着ているからだろう。
50km過ぎに抜かれた朝日さんは、10月12日の「京都鴨川ゆっくりラン」で救護ランナーをつとめられたそうだ。お一人だけちょっと体調を悪くされた人があったそうだが、たいしたこともなく、みなさん楽しく走り終わられたそうである。
53kmあたりに最初の沈下橋。
役員さんにお願いして写真を撮っていただいた。
橋のちょうど真ん中あたりで下を見てみた。
こら、とてもじゃないけどはまってられません。けっこう流れが急で、どこまでも流されてしまいそう。明日の新聞に載るがなー。ヨメさんの期待にはこたえられなかった。
後半はきつい坂がないと聞いていたのに、ここらからかなり長くてきつい上り坂。キロ11分台に落ち込む。
こちらは走っているつもりなのに、早歩きの後続に抜かれたのがショックだった。
そんな中でも、こんな小さくてかわいい姉弟ペアに会えました。ひょっとして、お母さんの応援?
山の上から四万十川をパチリり。
「すごい景色ですねえ。」すぐ横のランナーがひと声かけてこられ、ご自分も携帯でパチリ。
9月の「丹後100km」の時も、夕日ヶ浦を撮っていたら同じように声をかけられた。きれいなものを見ると、そばにいる人に話しかけたくなってしまうんかな。
眼下に見えるは、第2関門(56.6km)。
バスがぎょうさん並んでるけど、「絶対乗らへんでー」。
このちょっと手前の「56km」の標識を越えたところでヨメさんに電話。
「一応、第1目標の56kmは越えました。もうちょっとがんばります。」
ヨメさんからは、特別、応援もなくボロカスもなく・・・。
下りに入ればまたスピードが元に戻る・・・、と思ったら大まちがい。なんと、そのままのキロ11分ペース。
「こりゃ、えらいこっちゃ!」
100kmを14時間ということは、休けいも含め10kmを84分、1kmを8分24秒で進まねばならない。キロ11分ペースに落ち込んでいるということは、1km進むごとに2分半貯金を使ってしまっているということだ。
ここらへん、走るのがちょっとつらくなってきて・・・。
顔を上げ、目をつむり、右手を左胸に当て(あるいは心臓をたたき)、こうつぶやく。
「また来るん? ・・・うん行くし!」
こうして新たな気持ちで、また新しい一歩を踏み出す。
これを何回かくり返した。この様子を見ていた周りのランナーは不審に思ったにちがいない。 (うちの子らに言わせたら、まさしく「ヘンタイオッサン」。)
この「また来るん?」が何のことか分からない人は、10月14日のブログ「あしたまた、来るん?」を読んでください。
ここでふと思った。
「こちらが逆に教えられました」とか、「こちらが逆に勇気をもらいました」とかいう言い方がはやっている。そう言いたくなる気持ちも分からんでもないが、私は好きではない。「逆に」はいらんやろう。
障害のある人に対して、「教えてあげよう」、「勇気を与えよう」はちょっとちがうような気がする。
それらの人たちと接してみて何かを得られたのなら、「逆に」じゃなくて、はっきり「思いちがいをしていました」と言ったほうがいい。
こないだ、兵庫の「ゆめさき舎」に行かせてもらって一番に感じたことは、私の手を握ってくれたその手がすごくやわらかくて暖かかったこと。もう、それだけでもうれしかったのに、「また来るん?」までゆってもらって・・・。
「なあ、MI君!」と言いながらまた心臓をたたくと、ちょっと強すぎて心臓が止まりかけた。
60km、8時間18分。
あー、貯金ぎょうさんつこてしもたー。残り6分?
第3関門カヌー館前の橋は、すごい風。大会ののぼりも何本かは折れかけていた。
このカヌー館が、62.1km。私の第2目標、突破。
四万十川上流を見上げると、これがまたきれい。この川の一番の特徴は、護岸工事がされていないこと。(人工的な力を加えていない。)
カヌー館の入り口付近に、シマちゃんご夫妻。
「また、写真撮らせてもらいますわー。」
「いやー、反対にこっちが撮らんならんのに・・・。」
「まあ、そうはずかしがらんと。おふたり、撮りまっせー。」
ここで着替えを用意していたので、かなり悩んだ。
それまで山陰を走っていたので、かんかん照りのわりには少し肌寒い感じがしていた。それなら、ランシャツの下にTシャツを。ソックスも新品の5本指ソックスに履き替えてっと。
この時、貯金が底をついてきていることなどすっかり忘れてのんびりしていた。
走り出して分かったのだが、橋を渡って川の反対側に来ているので今度はずっとひなた。暑いのなんのって。せっかく着たTシャツをぬぐはめに。
荷物多なってしもたー。
しかし、着たり脱いだりしていたのがいい気分転換になったのか、キロ11分台だった走りが知らん間に8分台に。
こんなことって、あるんですよねー。
69.2kmのエイドで。
「どなたか、次の関門までの距離と制限時間知ってはる方、おられませんかー。」
座っておられた3人の男性は、「シーン」。
「たぶん、あと2.2kmくらいで、残り24分くらいだと思います。正確じゃないですが・・・」
走りだそうとされていた女性ランナーが、そう教えてくださった。
おっ、これは第4関門も、クリア可能性あり。
久保井さんが何回も何回も言っておられた。
「70kmの沈下橋までは楽勝。勝負はそこから・・・」
ちゃんと来ましたよ、久保井さん。確かに、「ここからが勝負」という感じがする橋ですね。
さっきのエイドで関門を教えてくださった女性ランナーにモデルになってもらって、パチリ!
「私でいいんですかー」とおっしゃっていたが、かっこいいじゃありませんか。
第4関門まであと300mくらいのところ。
「追いつきましたー。」
「ええっ、かわせみさん! 来ましたかー。」
「丹後100km」は両者痛み分けのような感じだったので、今日こそはリードをと思っていたのに・・・。
恐るべき、70歳!
関門前の橋を渡っていると、向こうで手を大きく振っている役員さんが3人。
「ああ、これは関門ギリギリセーフを、いっしょに喜んでくれてはるんやなあ」と思いながら・・・。
(注)明日へ続く。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
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コメント
久保井さん、火曜日にお電話いただいていたみたいで、出れなくてすいませんでした。
調子よさそうに見えていたのに、胃腸の具合が悪い時は本当に要注意ですね。私もよく水も受け付けなくなるので、気をつけなくてはと思います。
若ちゃんコーナー楽しみにしています。私も、早く若ちゃんに取り上げてもらえるようなランナーになりたいです。(どんなランナー?)
「村岡」は行きたいのはやまやまなんですが、「駒ケ根」の日とぶつかるので行けそうにないです。残念ですが・・・。
早く、胃腸をなおしてくださいね。
やさしそうな奥様にもよろしく。
藤井さん ブログ拝見しましたよ。家内まで映っていて。ご苦労さんでした。十二指腸潰瘍と胃潰瘍では60キロまでしかもたない事が良くわかりました。途中民家の近くの石段でうずくまっていました。完全な脱水状態です。食事はおろか水さえ飲めないです。きつかったし倒れたら迷惑かけるなーと思いましたよ。結局12時5分カヌー館にてリタイヤしました。その時200円持っていてポカリスエットを買ったのですがそれも受け付けず、売店でソフトクリームを見つけて食べたかったんだけど、90円しかなくて買えず、家内の迎えを待ったんですが結局1時間半そこで待ちました。とにかく我が家の近く(病院の近く)へ帰ろうと思って宿をキャンセルして帰りました。途中楽になってうどん屋で肉うどんを食べたのですがおいしかったです。
レース中多分胃の中は血だらけだったと思います。今年はもうウルトラはないので来年に向けて潰瘍を完治させてリベンジします。話は変わりますが、先日ランナーズの若ちゃんコーナーの取材を受けたのでまた見てください。
藤井さん、来年村岡一緒に走りましょう。ご案内します。
本当にお疲れ様でした。