2009年10月14日(水)
「あしたまた、来るん?」 -兵庫・ゆめさき舎にて- [私の好きな人]
「あしたもまた、来るん?」とMI君。
「えー、そんなんゆってくれるん。」
「松本さん、あのひと言を聞いて、今日来た甲斐がありましたわ。」
「あの子らはね、お愛想もお世辞も一切なし、いやな人にはあからさまな拒否反応ですから。」
そうか、素直によろこんでよかったんやね。
今日、かねてから行きたかった「ゆめさき舎」を訪問させてもらった。(「ゆめさき舎」は、「ランナーズ9の会」のまっちゃんが経営されている小規模作業所。今日のブログでは、「松本さん」と書かせていただきます。)
朝、ちょっとぐずぐずしていたので、到着したのはちょうど12時。
初めは、すごく緊張した。「いやがられたらどうしよう・・・。」
でも、最初出入り口に立ったとき、6人全員がこっちを向いてくれていて、ちょっとほっとした。
そして、中に入れてもらうと「ニコニコ顔」が・・・。
松本さん、女性スタッフさん、私を含め9人でお昼ごはん。
「藤井さんのブログに『汁系がないと食べられん』とか書いてあったんで、豚汁作っときました。」と松本さん。すいません。それにしても、すみからすみまでしっかり読んでくれてはるんですね。ありがとうございます。
私は、この作業所に通う唯一の女性KOさんと、最年少男性MI君の間にすわらせてもらった。
私たちは配達お弁当。作業所に来られている方は、まちまちの内容。
私のとなりのKOさんは、なかなか食がすすまないようだったので、「食べへんにゃったら、もらうでー」と言って取るマネをした。そしたら、いつのまにかたいらげ、今度は私のごはんを取るマネを。「はははははー」と人なつっこい笑顔とともに。(ほおばっていたごはん、飛び出しそうやったし・・・)
あーよかった。こうやって人のん取るマネしながら食べたら、うまいのなんのって。
でも、ちょっと悲しい「事件」もあった。
私が持っていったシュークリームに一番反応してくれていたMI君。食後のお楽しみで出てきたシュークリームを見て、がっくり。
私が持っていったシュークリームは、普通のとちがっておまんじゅうのような形をしたもの。それを見て、いつも食べているシュークリームとちがってがっくりきてしまったようだ。味はおいしかったんやけどなあ。ごめんなー。
今、この作業所では、フェルトのコースターを4枚重ねて袋詰めする作業をされていた。こういった仕事もどんどんへってきているそうだ。
松本さんは、一人一人の連絡帳に連絡事項を書かれていた。毎日毎日、たいへんです。
「写真撮るでー」と言ったら、このポーズ。
なんやかんや言って、けっこうすましてるやん。
午後は、MA君の歯の治療。そして、そのあとは手柄山公園へ。
私もついていかせてもらった。
(この写真で、帽子をかぶってにっこりしてくれているのは、SA君。今日、一番私に話しかけてくれた。)
「口腔保健センター」。
ここは、障害者歯科診療が週2回ある。
MA君と松本さんが治療室に行っている間、私と残り5人は車で待ちぼうけ。
でも、私たちに気づかれた歯科助手さんがこちらに向かって手を振ってくださった。それも一人ではなく、気がつかれた方がみんな。これはうれしい。(この場面、写真とらせてもらえばよかった。残念。)
このあと、みんなで手柄山公園へ。
ここも私にとってはなつかしい場所。
以前「市川マラソン」に出張販売に行っていたころ、子どもを連れてここに来たことがある。
ここで、みんなでサイダーの乾杯。
せっかくなんで、みんなで記念写真。
紅一点のKOさんのてれくさそうな表情がかわいい。
松本さんと私が交代して、もう一枚。
もう、KOさんたら。せっかくひっついたのに、下向いてるやん。
「さあ、そしたら、そろそろ帰ろうか」と松本さんが言われ、歩き出した時・・・。
「あしたまた、来るん?」とMI君。
ありがとね。こんなへんなおっちゃんでも、どっか気に入ってくれたんやね。
「あしたは来れへんけど、絶対また来るし。」
手柄山公園から、何人かのおうちまで送迎。
その車の中で、だいぶ松本さんとしゃべった。
一番の話題はMA君。
MA君は、自傷行為どころか他人に対しても暴力をふるい、いくつもの施設を断られて今「ゆめさき舎」に来ている。
おうちのほうでは、それはしつけの問題として「しかって制止する」という対応をされていた。しかし、それでは何の変化もなし。
そこで、松本さんともう一人、大学関係の方がMA君の家庭に入り、彼の行動を徹底的に分析した。
「注目、感覚、要求、逃避」
彼の行動は、この4つがそれぞれ単独に出たり、複合されて出たりする。
この中でも、「注目」に注目。
調理中のおかずをフライパンごと床に落としたりする。そのとき、絶対にその行動に反応してはならない。何度同じようなことがあっても、絶対に反応してはならない。それが徹底できれば、やがてその行動はなくなっていく。
そういった徹底的な行動分析を続けた結果、1年半後にようやく他人への暴力がおさまった。
そのときの松本さんは、「行き場をなくした人は、自分が引き受ける」という意地でMA君のおうちに通い続けておられたそうだ。
帰る前に、松本さんから言われた。
「どう言ったらいいのか、うまく言えませんけど・・・。
藤井さんのブログを読んでいると、あまりにもふだん私が考えていることと似ていて、不思議で不思議で・・・。」
「いや、でもね、案外同じ考えの人はたくさんいやはんのかもしれませんよ。それを口に出して言わへんだけで・・・。ボクかって、ブログ書いてへんかったら、どんなこと考えてんのか、まったくわかってもらえへんかったやろうし。」
「ブログの中の藤井さんしか知りませんけど、僕は藤井さんが大好きです。」
「ありがとうございます。これからも松本さんにきらわれんように、しっかりブログ書きます。」
※ 今日の記事に関しては、私なりに自主規制して書いたつもりです。ただし、写真だけは撮ったそのままの形で掲載しました。目隠しのような写真は載せたくありません。(それは、かえってご本人に対して失礼だと思っています。)
どれもみないい写真でしょう。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
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コメント
まっちゃん、ほかにも書きたいことがいっぱいあったのですが、最近は内容より更新スピード重視にしています。
初めて行かせてもらってえらそうなことは言えないのですが、見ること聞くことすべてが新鮮で楽しかったです。(ちょっと、緊張もしましたが・・・。)
これで終わりではなく、「また来るん?」、「うん、行くし。」
それから、あまりほめすぎると、またうちのヨメさんから、「アンタのペテンに引っ掛かったカモがまた一羽・・・」と言われます。要注意!
昨日はありがとうございました。みんな敏感にその人の持っている人間性をかぎ分けて「仲間」意識がすぐにめばえてきたようで・・・とにかく感激。心潤う一日でした。