2019年11月15日(金)
甲状腺がんの検診は無駄? [病院]
◎日本経済新聞11月13日夕刊
がん社会を診る
甲状腺がん 検診は慎重に 中川恵一(東京大学病院准教授)
すべてのがんが、放置すればどんどん大きくなって命を奪う病気というわけではありません。とくに甲状腺がんは、微小なものまで含めると、ほとんどの高齢者が持っているといわれます。韓国では、甲状腺がんの検診が広がり、20年間で発見数が15倍に増えました。しかし、死亡数は減りません。もともと、このがんで命を落とすことが極めてまれだからです。
一方、がんと告知されれば、精神的ダメージもありますし、甲状腺の全摘を受ければ、一生甲状腺ホルモンの薬を飲むため、マイナスの方が大きくなるでしょう。甲状腺がんの検診は「無駄」というより、「しない方がいい」といえるでしょう。
甲状腺がんはがんのなかでも特殊なタイプで、若年者や子どもでもめずらしくありません。東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所のある福島県では200人を超える子どもに甲状腺がんが見つかっていますが、放射線被曝(ひばく)によるものではなく、もともと自然に存在したがんを発見しているだけで、韓国と同じく「過剰診断」と考えられます。
世界保健機構(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)が2018年、「原子力災害後の甲状腺の健康調査」と題した文書を公表しました。研究グループはがん検査や放射線計測など14人の専門家で構成され、現在までの最新の科学的知見をもとに検討しました。福島県民健康調査検討委員会メンバーとも意見交換も実施しました。グループは、2つの提言を出しています。
1つは、原子力災害後に、全住民を対象とした甲状腺検査は実施しないこと、2つ目は「リスクが高い個人」に対しては「甲状腺モニタリングプログラム」を考えること、です。
つまり、被曝線量が高い個人に絞って検査をすべきだと勧告しているわけです。IRCAは「リスクの高い個人」を「甲状腺の被曝線量が100〜500ミリシーベルトあるいはそれ以上」と定義しています。
甲状腺の被曝線量が100ミリシーベルトを上まわる福島の子どもはまずいませんから、「検査をいないことを推奨する」が当てはまることになります。
次回は、前立腺がんにおける過剰診断を取り上げます。
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「おー、なんてこったい!」
甲状腺がんの検診は「無駄」というより、「しないほうがよい」だと!
でも私の甲状腺低分化癌は、たしかに喉元の左側がポッコリと膨らんでいたしなあ。
たしかに「一生甲状腺ホルモンの薬を飲む」のはたいへん。今でもけっこうボケてんのに、これ以上ボケたら、毎食後に薬を飲むなんて無理になっていくでしょう。
そうそう、京大病院放射線治療科のN医師が、「アイソトープ治療は利益が出ませんから、どの病院も積極的にやろうとはしていません」とおっしゃっていた。病院の利益のために、私に「甲状腺低分化癌」の診断を下したわけではないだろう。
ヨメさんはよく、「甲状腺癌は症例が少ないし、アンタは実験台に使われてんにゃわ」と言う。それならそれでもいい。
せっかくめずらしい病気になったんやし、同じ病気で苦しんでいる人のなんかのお役に立てればいいのになあと思う。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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