2008年12月17日(水)
娘は黙ってユニフォームをたたんだ [家族]
昨日の朝、ついに娘が決心した。
中学入学以来、1年半以上続けてきたバスケットボール部を退部する。
生活の90%くらいのウェートがあった部活。悩みはかなり前からあったようだが、ここ何日かはそれがピークに達していた。
そして昨日の朝、黙ったまま、「15」の番号のついたユニフォームを、ゆっくりゆっくりきちんとたたんだ。まるで、なにかをかみしめているかのように。折り目がつくくらいていねいに。
私も妻も、ただそれを黙って見ているだけだった。
むきになっていると思うくらい絶対に休まず行き続けた部活。その最後がこれではあまりにかわいそうすぎて、かけてあげられる言葉が見つからなかった。
(このユニフォームを着てコートを走りまわっている姿を、一度も見てやれへんかったね。ゴメン。)
去年4月、学年一人だけの小さな山の学校から学年250人の大規模校に入学。
ものおじするのかと思っていたが、自分でバスケ部に入ることを決め、すぐ友だちもできた。
女子バスケ部は、その学年だけで20人を越えていた。練習場所が確保できないせいか、毎日毎日ただ走るだけの練習。それでもまったく腐らず、毎日が楽しそうだった。
「ふーん、うちの子にはこんな力があったんや」と感心した。
それにはわけがあった。
「先生言わはったんやけどな、女子バスケ部はうまい人を試合に出すんじゃなくて、休まずまじめに練習する人を出してくれはんにゃって。」
これは、入部してから何度も何度もくり返し私たちに言っていた。
そうか、その言葉を信じてたから、ボールもさわらせてもらえないただ走るだけの練習も続けられたんやね。
中1の時は、これでよかった。
しかし、中2になり対外試合が増えると状況は一変。レギュラーとそのほかがはっきりと分かれてしまった。それは休まず練習したとかどうかは関係なく・・・。
うちの子にとっては、信じていたことがなだれをうって崩れてしまったのである。
そしてだんだん、レギュラーでない子たちの中からもはじき飛ばされる子が・・・。1人ヘリ、2人へり・・・。
そんな中でもうちの子は、「負けるもんかー」と必死でしがみついていたにちがいない。
自分の娘の言葉だけを信じ、ものを言うのはおかしいかもしれない。でも、最初に先生が言ってくださった言葉がどれほどうちの子の力になっていたことか。また、現実はそうでないと分かった時のうちの子の落胆ぶりは・・・。
どこかに行きちがいがあったとは思うが、実際にうちの子は悩みに悩み、どうしようもないところまで来てしまった。
私も、父親として何もしてやれることがない。
昨日、学校を休んでいる娘に、「応援メッセージ書いてきた」と手紙を渡すのが精いっぱいだった。
「 まきへ
真樹、1年半以上も、休まず ようがんばったね。本当にえらい。いやなことにもくじけず ここまでこれたね。それはきっと たのしいこともいっぱいあったから。真樹は たのしいことを見つけるのがうまい。いい思い出は、これからも大切に。
ここらで、ちょっと ひと休み。
ゆっくり考えてから、また新しい気持ちで動きだそう。パオパオもかあちゃんも、必ず真樹を応援するよ。
真樹、しっかり!
P.S きくもれんも、まきをおうえんしてるよ。
パオパオより 」
これからどうなるのか分からない。でも、下を向かず、しっかり前を見ような!
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 6 )
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コメント
みきさん、ほんとうにありがとうございます。(私は人生経験が浅いので、年下の人の言葉もしっかり聞かせていただきます。)
「泣いてはダメ! 涙を流すとすっきりしてしまい、そのあとじっくり考えることを忘れてしまう。」という言葉を聞いたことがあります。それ以来、何があっても涙を流さないように気をつけてきたつもりですが、今回だけはダメ。みきさんの言葉にも・・・。
毎日へらへらと生きてきた私が、今は何もすることがありません。「らしくない!」
せめて、なんとかして真樹を笑わせてやりたい。でも、何も思いつきません。それが、つらい。
同じようなことが起こっているんですね。どこの学校でも。
息子の小学校の大文字駅伝チームは常に10位以内に入る強いチームですが、選手選びで毎年波乱が起きているようです。
練習中、先生は
「速い者がレギュラーになれるのではない。毎日休まず練習を頑張った者が選ばれる。」
と言うそうです。
しかし、結局はタイム順でレギュラーが決まるらしい。
このことがきっかけで、過去に不登校になった子が何人もいたらしいです。
先生は、口先だけできれいごとを言うぐらいなら、最初から「成績順だ」と宣言しておくべきです。
今の学校の先生たちは、教師として一番大切な部分が抜けていると思います(怒!)
うちの息子も、状況は違いますが、先生を信じて裏切られ、深く心を傷付けられ、学校に行けなくなりました。
真樹さん、パオパオさんのお気持ちをお察しし、自分のことのように心が痛みます。
「父親として何もしてやれることがない」
・・・・
でも、パオパオさんの愛情こもったお手紙は真樹さんの心にしっかり届いているはず。
それで充分じゃないですか?
1年以上も先生の言葉を信じ頑張ってこれた強い真樹さんだから、辛いことも自分で乗り越えていく力を持っておられるお子さんだと思います。
親の愛は、子供に何かをしてあげることではなく、信じて見守ってあげることだと思います。
真樹さんは大丈夫! 強いです。
陰ながら、応援しています。
私のような若輩者が偉そうなこと書いて申し訳ありません。
M見さん、ありがとうございます。私より歳は下でも子育ては先輩ですから、言葉の一つ一つに重みがあります。
でも、ただ見守るだけで何も言ってあげることはできないのでしょうか。「ふっ」と今の緊張をときほぐせるような言葉ってないのでしょうか。
娘が学校に行けなくなって、もう1週間が過ぎてしまいました。その間、笑顔はほとんど見られません。
自分自身が何かで深刻に悩んだという経験がないので、本当に何を言ってあげたらいいのか分からないのです。こんな時は、私得意のおちゃらけやお気楽は出る幕なしです。
何か思いつかれたら、ぜひ教えてください。お願いします。
こんばんは。
お久しぶりです。
子供が成長するに伴い、親として手を差し伸べる事が出来ず、本人が解決してゆく姿をじっと見守る出来事が沢山でてきますね。
うちのコボンは中学まで、本当に順調に悩み無くきたのですが・・・。
高校の部活で・・・
本人も未だに思い出すのもつらい苦しい出来事に直面しました。
自分が苦しむより、わが子の苦しむ姿を見守るのは本当にたまらない〜〜〜!
きっと、子も親も『高齢者』になっても、子の心配をし続けるのでしょうね。
でも、大人社会で崖っぷちに直面するより、学生時代に免疫つけておく方が、立ち直り方も学習できて良かったのかなと前向きに考えています。
ブログの記事に出来ないのが残念ですが〜 (苦笑い)
メイママさん、ありがとうございます。
今回のことをブログに書いたことは真樹には言っていないので、メイママさんからのコメントも真樹には伝えられません。ごめんなさい。もし、いつかどこかで真樹に会うことがありましたら、声をかけてやってください。
泣きながらブログを書いたのは初めてです。学校に行けなくなった我が子に、かけてやれる言葉が見つからないなんて・・・。
私はほんまにしょーもない父親ですが、子どもとの約束だけは絶対に守る。万一守れない時は、絶対にごまかさない。これだけはできていると思っています。
でも、今、真樹に何を語りかけ、何を約束できるだろうか。悲しいけれど、ほとんど何も思いつきません。
私は、ひとからどんなにボロカスに言われてもまったく動じない人間ですが、今回の件はつらいです。でも、本当につらいのは、「行き場所」のなくなってしまった真樹ですね。
どうしよう?
何回も何回も読みました。そしてなんて書こうかずっと迷っていました。今も迷っています。
私も読んでいて心が痛みました。先生にとっては何気ない一言だったのでしょうが、それを信じてがんばり続けていた子どもたちにとってそれが実現しないということはなんて残酷なのでしょう。
でも、私は真樹ちゃんがその矛盾や悲しみや苦しさを自分で考え自分で受け止めそして自分で決断したことに大きな拍手を送りたいと思います。本当に親や大人はもうじっと見守るだけの領域にまきちゃんは入っていきましたよね。本当にすごい!
今までオセロゲームで黒が負けていたのがあるところに白をおいた瞬間、盤が次々と白に変わっていく様に今回事も必ず真樹ちゃんの人生にとって意味のある事だと信じています。
まきちゃん、お疲れ様!ナイスファイト!