2012年09月21日(金)
下山さんに申し訳ない [私の好きな人]
◎「ふつうの車イスランナーSさんを京都マラソンに!」要望書
京都マラソン実行委員会事務局様 2012年9月13日
失礼します。左京区の藤井廣司と申します。
大会事務局様は、第2回大会の成功に向けて誠心誠意努力されておられるここと思います。ぜひ、「さすが京都」と言われる大会をめざしてください。
昨年に引き続きということになるのですが、京都マラソンのエントリーに関しておたずねさせていただきます。それは、「参加資格」のところです。
「参加資格」の欄には、【1】年齢、【2】時間制限について書かれています。これについては全く問題ありません。しかし、その下の注意書きとして「※マラソン・ペア駅伝に車いすでの参加はできません。」と書かれています。もう一つの注意書きとして「※障がいをお持ちの方で単独走行が困難な方は伴走者をつけることができます」と書かれ、障がいのある方も積極的に受け入れようとされているのに、車いすの方のみを排除されている理由が分かりません。
昨年も全く同じおたずねをさせていただいたのですが、「安全に走行していただけない」、「車いすランナーと一般ランナーとが並走するに当たり、危険であると思われる箇所が数多くある」というお返事でした。
そこで、私は第1回の京都マラソンを沿道から見させていただきました。その中には、安全に走行するのは困難と思われる松葉杖のランナーが数名出場されていました。また、テレビ関係のタレントランナーの映像を撮るスタッフや、それをガードする役のランナーも走っておられました。その周りは、「一般ランナーと並走するに当たり、危険であると思われる」状態でした。
去年もお話させていただいたのですが、私の友人の東京のSさんは、日常生活用の車イスで何度もフルマラソンを完走されています。だれの手も借りずに、フルマラソン4時間半台で完走という実績をお持ちです。たぶん、日本でただ一人のランナーであると思います。そのSさんの希望は、「(河川敷の道路ではなく)公道を使ったフルマラソンを完走したい」というものです。
こんな実績をお持ちのSさんですが、京都マラソンのコース中の急な上り坂やでこぼこの多い鴨川河川敷を普通の車イスで通り抜けられるかどうかは分かりません。しかし、それは他の一般ランナーにとっても全く同じこと。まずスタートさせてもらえなければ、話にも何もならないのでははないでしょうか。
車イスランナーが入ることによって心配されることは、一つ一つ解消への手立てを考えればいいことです。昨年私が提案させてもらった「伴走者つきの参加」や、「ペア駅伝2区走者としての参加」も、第2回大会を迎えるに当たり検討していただいたのでしょうか。
京都マラソン主催の一番に書かれているのは「京都市」。
確か京都市は、「健康都市・京都」というキャッチフレーズを使われていたはず。また、門川京都市長様は、どんなときも「共汗」という言葉を使っておられます。しかし、全国に発信しているこの「京都マラソン」で、(他の障がいをお持ちの方は一切不問なのに)健康なSさんを「車イスを使用している」という理由だけで排除し、ともに汗をかくどころかスタートラインに並ぶ参加資格抽選の権利さえ剥奪するとは・・・。このような扱いは、「人権蹂躙」「差別」と受け取られても仕方ないのではないでしょうか。
本当に「健康都市」「共汗」という精神を尊重するのであるなら、ぜひ全国に先駆けて車イスランナーと一般ランナーがいっしょに楽しく走る「京都マラソン」を実現させてほしいです。
以上の点につきまして、実行委員会様のご見解だけでなく、「京都マラソン」の最高責任者であられる京都市長様のご見解もぜひお聞きしたいです。
どうかよろしくお願いいたします。
◇ ◇ ◇
【追伸】
また、昨年、「車イスランナーには平坦な嵐山までの6kmレースを用意してある」とのことでした。しかし、京都障害者スポーツ振興会さんに問い合わせさせていただくと、「5分後にスタートする一般ランナーに追いつかれないハイレベルな競技用車イスランナーでないと出場は無理」とのこと。こちらの抽選がどうなっているのかは存じませんが、ハイレベルと言うことは、毎年同じようなメンバーが出場される可能性もあるわけですね。この競技用車イスランナー20名枠を死守される意味はあるのでしょうか。
20名のエリートランナーのためでなく、どうか一人の普通の車イスランナーに光を当ててください。
Sさんのお人柄が分かる私とのメールのやり取りを、以下に添付させていただきます。「もし参加が可能なら、3月まで年休をためておいて京都にいく」と張り切っておられます。完全な形でなくとも、何らかの形で京都マラソンに参加できる方法はないものでしょうか。
ご検討よろしくお願いいたします。
(私からSさんへ)
ごぶさたしています。京都の藤井です。
お変わりなくお元気にしておられますか。
今年は「マラソンに挑戦する会」が5月から9月に変更になり、毎年恒例になっていた犀川河川敷での○○さんとのおしゃべりができていなくて残念です。「大会が秋に変更になると出にくくなる」とおっしゃっていましたが、今年は参加されますか?もし来られるようでしたら、またぜひおしゃべりさせてください。
さて、また「京都マラソン」の参加申し込み締め切り日が近づいてきました。去年は「公道を使ったフルマラソンを完走したい」とおっしゃっていた○○さんの言葉を思い出し、勝手に実行委員会に交渉してみました。その結果は(ブログにも書いたので読んでくださったとは思いますが)、「安全に走行できない」「一般ランナーとの混在を避ける」などの理由で門前払いされました。
しかし、今年の第1回の大会を見学させてもらったのですが、松葉杖のランナーが数名出場。また、テレビ放送関係のタレントランナーにはガード役のランナーをつけることを許可していました。「車イスランナーを排除しておいて、それはないでしょう」と思いました。
もし○○さんがご迷惑でなかったら、今回はこの点あたりからもう一度実行委員会の見解を問いただそうと思っています。
前回も、○○さんのことは「私の友人で、ふつうの車イスでフルマラソンを完走されるSさん」ということにしてあり、実名は出していません。
○○さんの希望に添える結果になるかどうかはまったく分かりませんが、言うだけは言ってみたいです。今回は○○さんにちゃんとお話してからと思い、メールさせていただきました。お忙しいとは思いますが、お返事よろしくお願いいたします。
(Sさんから私へ)
藤井さま
お久しぶりです。○○です。
その節は、大変にお世話になりました。
風穴をあける活動に脱帽しています。
なぜ車イスだけが、ダメなんでしょうね。と不思議に思う今日この頃です。
今年は金沢マラソン大変残念ですが、不参加となりました。
やはり、GWのタイミングが身体への負担も含めて調整可能期間です。
京都マラソン、とても興味深いですね。
参加可能ならば、参加してみたいです。
コース図を確認してみました。
10km手前広沢池付近の50m程度の高低差と
25km付近の25m程度の高低差を探してみたのですが(グーグルストリートビュー)わ
かりませんでした。結構きついですか?
それ以外についてはほぼ問題ないのでは……と思いました。
6時間の制限であれば、完走可能と思います^^;
他ランナーとの接触云々については、大声を張り上げて危険回避可能と思います。
自転車用のベルも付けていますし問題無いと思います。
もし、参加可能ならば……、と思いますのでよろしくお願いします。
ちなみに、年度末なので残りの有給を利用して、体力回復をもくろんでいます(笑)
今後とも、よろしくお願いします。
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◎昨日京都マラソン実行委員会事務局からのお返事をいただいたあと、私が下山さんに送ったメール
こんばんわ。京都の藤井です。
先日の要望書の件ですが、京都マラソン事務局のメールアドレスが書かれておらず仕方なくプリントアウトしてFAXで送りました。そして本日午後、事務局よりFAXでお返事がありました。
◇ ◇ ◇
藤井 廣司様
このたびは、京都マラソンに関する貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。ご質問いただきました車いすでの参加について回答させていただきます。
昨年と同様の回答となりますが、京都マラソンについては何よりもランナーの方が安全に走行していただけることを第一として準備を行っております。昨年大会を直接ご覧になっていただいたということですが、コースの一部である「きぬかけの路」や「鴨川の河川敷」などではランナーが密集し、現状でもランナー同士の交錯が発生しかねないポイントとなっております。また、立体交差の少ない京都の特性上、コース全域において救急車や消防車等の緊急車両通行時には、ランナーストップとしてランナーの皆様に急停止をお願いする場合がございます。その中で、目線の高さが違う車いすランナーと一般ランナーの並走を考えた場合、危険と思われる要素が多々あり、参加者の安全確保の観点から実現は困難であると考えております。
また、「伴走者つきの参加」につきまして上記の理由から、「ペア駅伝2区走者としての参加」については上記理由に加え、コース後半部分には走路が狭く未舗装の河川敷コースや、歩行者横断のための「島方式」、折り返しポイント等が多数あることもあり、車いすランナーと一般ランナーの並走の実現は困難であると考えております。
なお、京都マラソンにおける現行の車いす競技のつきましても、京都障害者スポーツ振興会をはじめとした関係機関と競技のうえ、一般ランナーとの混在を避ける観点からスタート時間の前倒しを行っている次第です。
今後、京都マラソンのコース変更等が実現し、ランナーの皆様の安全を十分に確保できるコース設定が可能となった際には、参加種目の門戸拡大や運営方法について改めて検討を行いたいと考えておりますので、何卒御理解いただきますよう、お願い申し上げます。
◇ ◇ ◇
すいません、がっかりですね。
「ゼロ回答」という言葉がありますが、これでは「ゼロ」どころか「マイナス回答」です。「前回から何の進展もありません」と正直に言われたらよかったのに・・・。あろうことか、「目線の高さが違う車いすランナーと一般ランナーの並走を考えた場合、危険と思われる要素が多々あり、参加者の安全確保の観点から実現は困難であると考えております」とは。目線の高さがどうのこうのと、参加資格に身長制限などないのに、これは明らかな車イス使用者差別です。他の障害をお持ちの方には寛容であるのに、なぜ車イスランナーに対してだけこんなに厳しいのかわけが分かりません。こんなちっぽけなこと、伴走者さえつければ解消することなのに。
ちなみに、緊急車両の件ですが、第1回京都マラソンに出場した私の知人は全員ランナーストップに引っかかりました。しかし、これまた不思議なんですが、全員緊急車両の姿どころか「ピーポー」の音も聞いてないんです。京都マラソンを妨害するために、偽の出動要請をした人がいたのではないかというわさも出ています。
「今後、京都マラソンのコース変更等が実現し、ランナーの皆様の安全を十分に確保できるコース設定が可能となった際には、」と、まるで第三者のような書き方で、自ら改善していこうという気は全く感じられません。これが、京都マラソン実行委員会事務局の実態です。
私はこれで終わりでは納得できません。今年参加実現が無理であったとしても、去年より一歩でも進んだご回答をいただけると期待していました。こんなことになるとは・・・。
このあとどんな手が打てるか分かりませんが、とりあえずは「新聞への投書」、「京都市長への手紙」サイトへの投稿はしてみようと思います。
下山さんにしていただけそうなことは、京都マラソンへのエントリーでしょうか。ランネットからの初期エントリーは無料です。抽選に通ったあと参加費を振り込むことになります。
このあと、万が一(億が一かも)参加が認められた時、エントリーもしてなかったことが問題になるのもしゃくですし。
このあたりの判断は下山さんにおまかせします。私が無理強いするものでもありません。もしエントリーしていただけるのなら、締め切りは明日(9/21)午後5時です。
私は、もうちょっと粘りたいです。
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◎今日返ってきた下山さんからのメール (本来は公開するものではないと思いますが・・・、下山さん、すいません。)
藤井さま
毎々お世話になります。下山です。
コース変更……。
私もなかなかやらないような気がしますね^^;
(どちらかというと、他のランナーが許さないような気がします)
もし車イスのランナーOKということでしたら
喜んで参加させていただきます。
本当に残念な気持ちですが
下山の気持ちになってご対応いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
金沢マラソンだって、狭いところいっぱいでしたよね。
他のランナーとの接触はなかったのに! って思います。
なかなか、風穴を開けるのは大変ですね。
今後とも、よろしくお願い致します。
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正直言って、第2回京都マラソンに下山さんが出場できる可能性は低いと思っていた。しかし、今後に希望がもてる点が一つでも表明してもらえばと思い働きかけをした。しかし、国会答弁でもあるまいに、私の質問にまともには答えておられない。
一番ショックだったのは、京都マラソンに出たいと強く願っておられる下山さんに対する謝罪がひと言もないことである。年齢も時間制限も軽々クリアされている下山さんが、車イスを利用されているというだけで抽選にさえ参加させてもらえないなんて・・・。これは「安全」という言葉を隠れ蓑にした差別です。人を人とも思わない大会実行委員会って、なに?
下山さんとお話させてもらって、大規模シティフルマラソンでは車イスランナーは出場できないことは知っている。しかし、「健康都市・京都」を標榜し、市長自らが「共汗」というご自身が考えられた造語をキャッチフレーズに使われている。その京都市が主催の「京都マラソン」なら、何か突破口が見つけられるかもとがんばってみたつもりだが・・・。
本当に、下山さんに申し訳ない。
でも、まだあきらめへん!
これから何ができるかわからんけど、考えられる限りのことはする。下山さん、見ていてください。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 4 )
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コメント
競技施設部長さん、コメントありがとうございます。
「競技施設部長 」と書かれていたので、京都市のえらいさんからいちゃもんでもつけられたんかとヒビリましたわー。でも、たぶん私や下山さんの味方ですよね。ほっとしました。
大会実行委員会事務局さんは、個人名を出しておられないせいか、書かんでもええことを書いて墓穴を掘っていますね。お役所らしく、ただひたすら心のこもっていないおわびをされるものと思っていました。「目線のの高さがちがう」というような具体的な要素を出してこられると、それならその点が解消されれば参加できるんですかということになる。そんな権限を持っておられないでしょうに、それは「やぶへび」の世界ですね。
競技施設部長さんには、「幻の緊急車両」についてもっともっと追求してもらいたいです。緊急車両というからには、救急車、消防車、パトカーだと思うんですが、京都マラソン当日の出動記録の開示などはされているんでしょうか。
「京都マラソンつぶすに刃物はいらぬ、緊急車両出動要請すればいい」
本気でつぶす気のある人が、当日じゃんじゃんニセの出動要請の電話をしたらどうするんでしょうね。
問題の多い京都マラソンですが、なくなってしまうと困ります。私は、下山さんの参加が実現するまで働きかけを続けるつもりですから。
Say Shoeさん、コメントありがとうございます。
「楽しく広げていけたら・・・」、その通りですね。でも、大会実行委員会の一連の対応でかなりムカムカしてしまいました。
大会参加を熱望している方に対しなんらかの事情で参加を断念していただくというのなら、ひたすらお詫びをするしかないでしょうに。ご自分たちの主張を正当化するために、目線の高さがどうのこうのなんて最低です。目線の高さがちがう人は人として認められないと言っているのと同じこと。京都市は、そんな差別的な都市だと思われても仕方ないですね。
もう、「健康都市・京都」の看板も、京都市長の「共汗」のキャッチフーレーズもおろしてほしいです。
私が多くの方に望むことは、「下山さんに会ってしゃべってみてほしい」ということです。その「ふつうすぎる」ことにビックリすると思います。ものすごくふつうの人が、たまたま交通事故にあわれ車イスを使っておられるだけのことです。だから、ふつうにマラソン大会に参加させてあげたいだけなんです。
ただ、それだけなんです。また何かあれば助けてくださいね。
はじめまして。いつも楽しく記事を拝見しています。今回のパオパオさんの記事、事務局の回答の一部が興味深かったので、私のブログで引用させていただきました。
で、この回答を読む限り、ランナー目線の車椅子を特注で作ったら出場可能かもしれませんね。いや、ランナーの目線に入るように車椅子に旗か何かをくくりつけておくとか(給水地点のスペシャルドリンクなんかでよくやりますよね)。
京都マラソンですが、おそらく5年後までにはコース変更を含めた見直しがされると思います(公認コースの有効期限は5年、延長にはそれなりの費用と再検定が必要)。都市型マラソンが群雄割拠する昨今では、中止となる可能性が最も高い大会だと思います。もうちょっと、運営側がランナー目線で考えてくれれば応援もするんですが…
パオパオさんの心優しく温かい思いの要望書に対し、マラソン実行委員会事務局からの後ろ向きの冷たい回答を一読しました。
「どうすれば、参加していただけるのか?」の発想でなく、「ハナから参加させない」理由を探しているとしか思えませんね。
正しいことを行っているのですから、楽しく広げていけたら素敵ですね^^ 応援しています。
さて、私にできることを探してみます。