パオパオだより

2011年09月15日(木)

京都マラソン門前払い [マラソン評論]

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 今、町内会の回覧にあやしい署名簿が回っている。
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 京都市からの『ご署名』のお願い

 3月11日当日はノーマイカーデー(クルマ利用の自粛)
  ご賛同いただける方は、ぜひ、ご署名ください。

 京都マラソンは、15000人の市民ランナーが最大6時間かけてゴールを目指します。
 このため、長時間にわたり道路を使用するため、京都市全域で大規模な渋滞(渋滞予想図参照)が発生します。
 緊急自動車や路線バス・福祉関係車両の通行に支障をきたさないためにも、マラソン当日におけるマイカー使用の自粛が必要です。
 ぜひとも3月11日は、クルマの利用をお控えいただきますよう、ご理解、ご協力をお願いいしたします。
 ご協力いただける方は、下記の記入例を参考に、「マイカー自粛宣言!」へご署名お願いいたします。
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 なんと京都市民をバカにした回覧か。
 3月11日に京都の市街地を使って大規模マラソンを実施する、ということを市民に周知徹底させることは大事なことである。でも、最後の一行はいらんでしょう。

 署名簿には、住所・氏名・台数の記入と、「趣旨にご賛同いただける方は、□に✓を入れてください」。
 ということは、チェックを入れない人はマイカー自粛しない人と見なされるわけ?
 住所・氏名・車の保有台数という個人情報を提出させて、「自粛」を「強制」するなんて・・・。京都市民をどこまでバカにしているのか。京都市民は、マラソン大会を妨害するようなそんな非常識な人が多いとでも思っているのか。あいた口がふさがりません。

 でも、この回覧のおかげで大事なことを思い出した。
 「公道を使ったフルマラソンを完走したい」とおっしゃっていた東京の下山利博さん。下山さんは、競技用ではなくふだんの生活で使っておられる普通の車イスでフルマラソンを完走されているランナーである。金沢・犀川河川敷を使った「マラソンに挑戦する会」に出場され、4時間30から50分くらいのタイムで何度も完走されている。
 「下山さんが出られる大会をさがします」と約束しておきながら、ほとんど何もしてこなかった。ここは、私の地元京都で大々的に開催される「第1回京都マラソン」に問い合わせなければ。

 「お手紙、お手紙・・・」
 こういうときは自筆の手紙に限る。おとといの夕方、さっそくFAXで送信。

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 京都マラソン実行委員会事務局様

 失礼します。左京区の藤井廣司と申します。

 京都マラソンのエントリーに関しておたずねします。

 募集要項の中の「参加資格」の欄に「※車いすでの参加はできません」と書かれています。しかし、この一行のみでそのくわしい説明は一切ありません。

 私の友人で東京にお住まいのSさん(40代男性)は、車いすのランナーですが、京都マラソン出場を希望されています。彼は競技用ではなくふだんの生活に使っておられる一般用の車いすで何度もフルマラソンを完走されています。
 一般の車いすランナーを排除していないマラソン大会に参加される時は、スタート時の接触をさけるため自主的に最後尾からスタートされています。また折り返しなどのせまい所ではスピードを弱められたりと、事故が起こらないように工夫されています。そうして、フルマラソンを4時間30分〜50分くらいで何度も完走されています。
 もちろん、日々マラソンのトレーニングも積んでおられます。Sさんは公道を使った大規模マラソンを完走することを望んでおられます。
 このSさんのような努力家も含め、わずか一行で「車いすでの参加はできません」という説明では納得がいきません。
 まったく練習もされていない方でも、ただ抽選に当たれば出場でき、日々努力を続けておられるSさんのような車いすランナーは抽選自体に参加できないのは不公平であると思います。

 なぜこういう結論に至ったか、その経過をお聞きしたいです。
 文面では、「車いすランナーは一切受付ない」と取れるのですが、例えば伴走者を付ければどうかとか、ペアマラソンの第2走者(混雑が緩和されているはず)ならばどうかとか、考慮の余地はないのでしょうか。

 京都マラソン開催の趣旨として、「参加者・応援者・市民が一体となって楽しめる大会」とあります。その中にSさんのような一般の車いすランナーが排除されていることが残念でなりません。

 エントリーしめ切り日が近づいています。
 早急に、大会事務局様の公式見解のご返答をよろしくお願いします。(ご返答をそのままSさんに伝えようと思いますので、FAXでお返事がいただけるとありがたいです。)

        2011.9.13

                                    藤井廣司
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◎ 昨日、大会事務局からお返事があった。

 藤井 廣司 様

 日ごろは、京都マラソンの開催にご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 さて、ご質問いただきました車いす競技について御回答させていただきます。
 京都マラソン開催に当たりましては、何よりもランナーの方が安全に走行していただけることを第一に準備を進めてきたところでございます。京都は、他の都市と比較し、立体交差が少なく、道路も狭いなど、市民参加型マラソンを行うのに決して恵まれている環境ではありません。
 このたびの京都マラソンのコースは、観光名所を巡るなど、京都らしい魅力的なコースである一方、交通に与える影響を最小限に抑えることとした結果、きぬかけの路や狐坂をはじめとするアップダウンや河川敷など、車いすランナーと一般ランナーとが並走するに当たり、危険であると思われる箇所が数多くございます。
 そこで、車いす競技につきましては、安全に走行できると考えられる嵐山をフィニッシュとすること、また、一般ランナーとの混在を避けるために、スタートを5分早くすることとさせていただきました。伴走付きでの参加や、ペア駅伝の第2走者としての参加につきましても、上記理由から実現できる環境には至っておりません。
 募集要項では、スペースの関係上、簡素な表現となっておりますが、これらの事情により、車いすでの御参加は、嵐山までの6kmとさせていただいている旨、御理解くださいますよう、お願い申し上げます。

                           京都マラソン実行委員会事務局
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 ごていねいなお返事だった。
 しかし、私には「門前払い」という言葉しか思い浮かばなかった。数多くのランナーを喜ばせるためには、少数派は排除。
 「ハンデがある人もない人も、できる限りいっしょに」という考えは、マラソン大会ではまだまだとしか思えない。

 下山さんは、「ふつう」ということにすごくこだわっておられる人だと思う。以前、「競技用の車イスを使おうとは思われないんですか」とお聞きしたことがある。その答えは、「はい!(きっぱり!)」
理由は、「その必要を感じないから」というものだったように思う。だから、車いすだけの大会には出場されていない。

 しかし、第1回京都マラソンに参加するには、嵐山までの車いす6kmレースに参加という道しか残されていない。募集は20名以内。参加資格は・・・、「えっ!」

【 車いす競技】身体障害者福祉法(昭和24年法律283号)第15条の規定により身体障害者手帳の交付を受けた車いすの使用者(平成24年3月11日現在)で、京都障害者スポーツ振興会が推薦し、主催者が認めたもの。

 京都障害者スポーツ振興会の推薦がないと出られない。まさかまさかの他府県人排除?
 さっそく、京都障害者スポーツ振興会さんに電話。
 「東京にいる私の友だちが、京都マラソンに出たいって言ってるんですけど・・・。」

 電話を代わられた男性は、さすがに車いすランナーの立場に立って物事を考えてくださる方だった。
 5分前スタートで一般のトップランナーに追いつかれないのは、かなりのスピードを持っている車いすランナーでないと無理なこと。(その見通しがつけば、他府県人でも推薦するとのこと。)
 別枠の6kmという中途半端なレースでは出場希望者が少ないこと。
 振興会からは、車いすでも一般と同じフルマラソンが走れるように要望していること、などなどお聞きした。
 最後に、「今年はダメだったけれど、来年は車いすのランナーもいっしょに走れる京都マラソンにしましょう。いっしょに声をあげていってください」と言われた時はうれしかった。

 そうですよね。
 困難は一つ一つ克服していくものですね。
 下山さんは車いす生活になったあと、そうして前を向いて生きてこられたんですものね。
 今年がダメなら、来年に向けて働きかけて行きましょう。
 ぜひとも出場したいという一人の声を大切にできないような大会なら、続けていく価値はないでしょう。

Posted by パオパオ   トラックバック ( 0 )   コメント ( 8 )

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コメント

 shimoさん、コメントありがとうございます。
 年賀状をいただいたとき、ご病気のことがチラッと書かれていたので心配していました。大変なご病気と手術だったんですね。
 私より一回り以上お若いshimoさんですから、絶対だいじょうぶ。「ふつうの車イスで公道フルマラソン出場」、実現させましょう。
 「必ず元気になります。一緒にまた走りましょうね」というshimoさんの心強いお言葉を忘れず、私のできる働きかけはすべてやってみます。体重、体力、スタミナ、がんばって戻してフルマラソンを完走をする準備をしておいてください。
 前に立ちはだかる困難を一つ一つ克服していきましょう。絶対にあきらめずに、「公道フルマラソン完走」の夢を実現していきましょう。

パオパオ 2014年02月22日 16時24分 [削除]

パオパオさん
おひさしぶりです。shimoです。

金沢マラソンが、秋に変更となりましてGWのとても良いタイミングを、失ってしまいました。
その後マラソン参加をを夢みていましたが、参加できる大会もなく寂しい思いをしてましたら思わぬ事態となりました。
胃癌になりまして、一年前に胃の全摘出の手術をしました。
体重と体力は、途端に減ってしまい、スタミナもなくなってしまいましたが現在は、食べ続けてなんとか復活できるように励んでいるところです。
パオパオさんには、本当にお世話になります。
生きているうちに、一度でいいので健常者の方と一緒に公道のマラソンに参加をして、生きている喜びを共有したいと思います。
必ず元気になります。一緒にまた走りましょうね。

shimo 2014年02月22日 02時56分 [削除]

 shimoさん、またまたコメントありがとうございます。

 写真、喜んでいただけてよかったです。そんなことくらいなら、いくらでもさせてもらいますし・・・。
 うちのヨメさんは、短大時代に1ヶ月だけバスガイドのバイトをしていたそうです。(もう30年も前!) めっちゃあやしいオバハンガイドでよかったら、指名してください。

 いや、まずその前に「ふつうの車イスでの京都マラソン参加」を実現させることですが・・・。「捕らぬ狸の皮算用」にならないように、しっかりがんばります。 
 

パオパオ 2011年09月18日 15時24分 [削除]

大変心強い報告に、感謝感激!!

金沢の写真ありがとうございました。
自分の走っている写真って、少なくて……
パオパオさんに撮影していただいたおかげで
「この時はきつかったなぁ」なんて、思いだしています。

バスガイドのように、京都案内していただけるとは
今から楽しみです。
今から少しずつ、体力をつけていきますね。
よろしくお願いします。

2011年09月17日 23時24分 [削除]

 shimoさん、コメントありがとうございます。

 私は根がのんびりしているもんで、なかなかテキパキとは行動できません。でも、記憶力はいいほうなので、人との約束は忘れてはいません。「ふつうの車イスでのフルマラソン」のことは、ずっと心にひっかかってはいました。今回はここまでしかできませんでしたが、多くの人に呼びかけて、次回は何とかしたいです。

 電話に出られた京都障害者スポーツ振興会の職員さんも、ふつうの車イスでフルマラソンを完走した人は聞いたことがないとおっしゃっていました。車イスの方と出会う機会が多いはずの職員さんがですよ。そういう意味で、shimoさんは大変貴重な方だと思います。でも、その職員さんが、「人数の多い少ないは関係ない。出たいと思っている人が出られるように整備していくのが主催者の役目」ということをおっしゃっていたのが心強かったです。

もし実現すれば、元あやしいバスガイドことうちのヨメさんが京都案内を買って出るらしいです。楽しみに。
 いつでもフルマラソンが完走できるように、常にきたえておいてくださいね。

パオパオ 2011年09月17日 21時58分 [削除]

パオパオさん

お久しぶりの連絡いただき、とても嬉しかったです。
しかも、宿題を覚えて下さって……カンゲキです。

京都マラソンのお知らせだけでなく、問い合わせまでと
行動力に感謝申し上げます。

風穴があいたように思えました。
来年は、参加できるかしら?
京都観光もしてみたいです。

shimo 2011年09月17日 18時19分 [削除]

 あさこー、いっつもすまんなー。

 こうじおっちゃんが窮地に陥った時、頼って行っても「門前払い」はせんといてね。うちのヨメさんは、いっつもいっつも・・・。「グチはゆうまい!」

パオパオ 2011年09月16日 18時49分 [削除]

今日の日記のおっちゃんの行動力とその素直さを 私は尊敬します。

こういう事こそがバリアフリーだと思います。

あさ 2011年09月16日 10時10分 [削除]

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