パオパオだより

2014年06月13日(金)

そんな私的な物語 [時事]

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◎朝日新聞6月12日朝刊

   (集団的自衛権)傍聴席から見た党首討論 深澤真紀氏、宇野常寛氏に聞く

 集団的自衛権の行使容認に向け突き進む首相。多弱野党の3党首は、巨大与党にどんな論戦を挑むのか。女性と社会の変化を読み解くコラムニストの深澤真紀さんと、サブカルチャー野生児を批評する評論家の宇野常寛さんが11日、国会の現場で党首討論を傍聴した。

 ■首相、自分に酔っている 深澤真紀氏

 安倍(晋三首相)さんの話を聞いていたら、頭の中にさだまさしさんの「防人(さきもり)の詩(うた)」が流れてきました。「おしぃえてぇくだぁさい〜♪」って。日露戦争を描いた映画の主題歌です。

 海江田(万里・民主党代表)さんは「総理は演説して自分に酔っている」と指摘したけど、確かに安倍さんは自分に酔ってました。「自衛隊の諸君に愛する家族がいることを私は知っている」とか「自衛隊最高指揮官として、重さと責任をかみしめている」とか。

 安倍さんは、集団的自衛権の問題では一貫して感情に訴える発言をしている。首相というだけでなく自衛隊のトップとしての意識も強いのかなと思った。軍服着て討論したらいいのに。

 全体として緊張感がなかったですね。集団的自衛権の問題は、公明党との与党協議の場にあり、それが大きな局面を迎えていることを、会場にいたみんながわかっているからです。

 与党協議の蚊帳の外である海江田さんにとっては成果を残す大事な局面だったはず。なのに発言の冒頭から「集団的自衛権」を「集団安全保障」と言い間違えて、傍聴席の失笑を買った。政府が示した15事例については「我が党は精査中」なんて。「15のうち10項目は個別的自衛権で」とか具体的に攻めるべきでしょ。何でやらないのかな。

 安倍さんは討論で「東アジアの安全保障環境が大きく変わっている」と言ったけど、靖国神社に参拝したら中国との関係が悪くなるのはわかっていたはず。安全保障環境を悪くした一人は安倍さん。自作自演といわれても仕方ない。「総理が日本の安全保障にとって大きなリスクだ」って海江田さんが指摘したのは、数少ない良かった点です。

 だいたい閣議決定での憲法解釈変更なんて、姑息(こそく)な話です。なのに安倍さんの口から語られるのは「愛する家族を守らなくていいのか」という大きな物語。姑息な話に大きな物語をつけるのは、何かを隠したいからじゃないの?

 安倍さんははっきり言えばいい。「祖父(の岸信介元首相)の宿願である自主憲法制定を成し遂げたいんだ」と。国民の多くは安倍さんの本音が、そんな私的な物語にあるのを見抜いている。

 世論を意識するなら、見え透いた大きな物語ではなく、素直に本音を語ればいい。家族の物語や泣ける話が好きな人も多いし。私の頭の中には、防人の詩が聞こえてきそうですけどね。

     *

 ふかさわまき コラムニスト・淑徳大学客員教授。67年生まれ。出版社勤務を経て98年に独立。09年「草食男子」で流行語大賞トップテン受賞。


 ■反論は具体策を示して 宇野常寛氏

 委員会室では、国会議員がやじを飛ばしあい、政治記者はしかつめらしい顔で聞いている。党首討論は、ショーアップした論戦で国会と国民を近づける目的がありますが、実際は誰が何を言うか事前にほぼ分かっている。各党のウェブサイトを読めば分かるような主張の交換が機械的に行われているだけ。存在意義がもはやないと感じます。

 その上で最初に立場を明確にすると、僕は民主党側に共感します。安倍政権の進める集団的自衛権への積極的な態度は、かえって国益を損なうのではないかという危惧が強い。しかし、この論戦における海江田万里・民主党代表の主張は空回りしているとも感じます。

 もちろん、安倍晋三首相の強引な解釈改憲は行き過ぎている。それは問題の本質ではありません。国民の多くが、強引な解釈改憲を行ってでも、緊迫するアジア情勢に具体的に対応すべきだと考えている現実がある。この現実を覆すには何より、憲法9条の精神を生かしたアジア外交戦略こそがこの危機には有効であるという具体的なプランの提出が必要です。

 しかし安倍首相の語る具体論に対し、海江田代表は解釈改憲をめぐる手続き論や形式論を繰り返すばかり。これではほとんどリベラル勢力の逆宣伝です。「強引にでも対応しないとまずい」と言う民意を背景にした意見に「強引すぎてよくない」と反論しても意味がない。

 海江田代表が語るべきは「安倍首相のプランでは逆に日本の安全保障は危機に陥る。我が党の安全保障政策ならばもっとことを平和裏に進められる」という主張ではないでしょうか。

 どうも自分たちはリベラルだという自意識をもって生きている人の多くが「自民党の宣伝戦略は感情に訴えるものが主で、自分たちの戦略は理知的であるがゆえに脆弱(ぜいじゃく)だ」と考えているように思えます。実のところ逆ではないでしょうか。

 自民党は感情に訴えかける言語と、具体案による理知的な言語を器用に使い分けている。一方で、リベラル側は「保守勢力は強権的で恐ろしい」という印象を強調すれば済むと思っている。だから通りいっぺんの形式論に終始してしまうのではないか。本日の討論ではそれが明確に表れたように思います。

 最後に、日本維新の会の石原慎太郎・共同代表は体力的にもおつらそうでしたので、あらゆる意味でそろそろ引退されてはいかがかと思います。

     *

 うのつねひろ アニメなどの若者文化に詳しい評論家。78年生まれ。批評誌「PLANETS」編集長。著書に「ゼロ年代の想像力」「リトル・ピープルの時代」など。
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 昨日から今日にかけて、泊まりで寮の管理代行のバイト。また朝日新聞を1週間分読もう、と思ったら最近の分が全然なかった。悲しい。
 でも昨日の朝刊にいい記事があった。集団的自衛権に関する党首討論を実際に傍聴した2氏の評論。
 宇野氏に関しては、今まで外のところに書かれていた内容とほぼ同じ。私には心に響かない評論だった。また、最後の一文は上から目線で不愉快。私は石原さんは大嫌いだが、引退は自分で決めることでしょう。「ほっとけ!」と言いたい。
 それに比べて、深澤さんのは分かりやすい。朝の「とくダネ!」で見慣れているせいもあると思うが、たいへん親しみやすい。
 「私のかなん人」=安倍・橋下・石原の共通点がうまく言い表せなかったが、深澤さんの言葉で得心するものがあった。3人とも国民・市民の幸せを願って行動しているのではなく、三人三様の「そんな私的な物語」を作り上げるために「そんな自分に酔いながら」生きているだけの人だったのだ。ああバカらしい。
 そんなバカらしい人たちに付き合って生きていくのはもうやめましょう。姑息な詐欺師のような人たちの話に心酔することなく冷静になって、自分が大事と思う人の命を守っていける道を真剣に考えましょう。

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