2010年04月15日(木)
「第9地区」 [映画]
※昨日の続きです。
12時半、「京都シネマ」で「半分の月がのぼる空」を観終わった後、「MOVIX京都」ヘダッシュ。四条烏丸から新京極三条までなので、ゆうに1kmは超えていたと思う。
四条烏丸西のコンビニでパンと飲み物を買い、それを肩にひっかけてのラン。こんなときですねー、軽く走れる力があってよかったと思うのは。
12時55分上映開始の映画は、「第9地区」。
この映画は、先の「半分の月・・・」とちがって、前もって内容を把握しておいたほうがいい。
私もいろいろな映画を見ているほうだと思うが、はっきり言ってこの映画は「ふにゃふにゃふにゃ・・・(吉本新喜劇のギャグかい!)」
どうしてもひと言で言えと言われれば、この映画は、「虐げられる難民エイリアンの物語」です。
上の写真の場面が、この映画の中で唯一自然に笑うことのできた場面。
第9地区からの強制退去の書類にサインを求めるヴィカス(主人公)。「そんなこと、できるか!」と怒って書類をたたき落とすエイリアン。
たたき落とされた書類をひろったヴィカスが、うれしそうに言ったひと言。
「手のあとが付いている。これでサインと認められる!」
この時点で、「そうか、この映画は差別を茶化した映画なんか」と一瞬思った。
でも、笑えたのはここだけで、この後、人間対難民エイリアンの壮絶な戦いが繰り広げられる。
地球人はエイリアンの姿がエビに似ているため、差別の感情をこめて「エビ」と呼ぶ。でも、エイリアンから見て、地球人は何に見えるのだろう。彼らから見たら、もっとも醜い何かなのかもしれない。
次のような場面をどう解釈したらいいのだろう。
?エイリアンがゴミの山から食べ物をあさり、むさぼっているシーン。
?「エイリアンは猫用缶詰に目がない」と人間が言っているシーン。
?エイリアンが住んでいるのは掘っ建て小屋で、寝るときの布団らしきものもないシーン。
これらのどれもが、胸にグサッ、グサッと刺さってくる。「これ、難民エイリアンの話とちゃうでー」
途中で残酷なシーンが何度も繰り返されるので、それに耐えられない方にはおすすめできない映画です(PG-12指定)。
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◎京都新聞夕刊・映画紹介欄「シネマ主義」4月6日より
「第9地区」
異質を排除する人間社会の残酷さ
巨大宇宙船が突如、大都市上空に襲来--。そう聞くと「インデペンデンス・デイ」(1996年)を思い出す人もいるかもしれない。あの時は圧倒的な戦力差で、あやうく地球が滅びかけた。
でも、今回の宇宙人は、侵略とはほど遠い。高度な科学力で遠路はるばる地球に来たものの、人間によって劣悪な環境の居住地「第9地区」に押し込められているのだから。
舞台が南アフリカ共和国のヨハネスブルクだったり、民間軍事企業が台頭する社会だったりと、現代社会を皮肉った設定だ。
冒頭、市民とのトラブルが絶えない宇宙人の立ち退き騒ぎが起こる。日本でなじみのない役者たちと、インタビューやニュース映像を巧みに組み込んだ演出が、ドキュメンタリーのような雰囲気を高めている。
主人公は、立ち退きの現場責任者に起用された軍事企業の平社員だ。気弱でお人よしだけど、権力の側にいたいタイプで、ヒーローとはほど遠い。そんな彼が、宇宙人の隠し持っていた怪しげな液体を浴びて、自体は急変。謎のウイルスに感染したとして、同僚であるはずの企業の特殊部隊に追われるはめに。どんどんテンポが早まるストーリー展開に思わず引き込まれてしまう。
異質な存在を排除する人間社会の残酷さと、巨大な権力の恐怖がじりじりと伝わる。不気味だけどユニークな宇宙人の造形や、彼らのスーパーメカの描写はどこかチープな香りも漂い、特撮ファンとして十分楽しめた。
本作が長編デビューとなる俊英ニール・ブロムカンプ監督を見いだした、「ロード・オブ・ザ・リング」で知られるピーター・ジャクソンの功績は大きい。MOVIX京都などで10日から公開。PGー12指定。 (芦田恭彦)
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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