2015年03月05日(木)
「かつしか」でお会いしましょう [私の好きな人]
◎パオパオだより「第30回マラソンに挑戦する会」2011年5月3日より
「なんとかしましょう」と私。
「よろしくお願いします」と下山さん。
ゆったからにはほんまになんとかするぞー!
「仏のパオパオ(???)」も、今日はさすがに怒りが爆発した。
みなさん知っておられました?
競技用じゃない普通の車イスでは、どのマラソン大会にも出られないんですよ。ゴール制限7時間で、抽選にさえ当たれば「誰でも出られる」はずの東京マラソンもダメなんです。(東京マラソンは、「フル2時間10分を切れるエリート車イスランナーの枠が20名分とってあるだけ」とのこと。)いいことばっかり言ってる東京マラソンでもこの有様です。他の大会がどんな対応かは推して知るべしです。
毎年この大会のフルを、普通の車イスで完走されている下山さん。「普通」にこだわり、「普通」を大切にしておられる下山さんの姿勢が私は大好き。
私は、下山さんはてっきりあちこちのマラソン大会に出ておられるものと思い込んでいた。ところが、今日お話させてもらって分かった。下山さんは、マラソン大会に出たくても出られない。普通の車イスでの出場が可能か問い合わせると、ほとんどすべての大会が「事故の危険性が高い」という理由で断られるそうだ。
その例外がこの大会。下山さんは、今日は自己ベストの4時間39分で完走された。
なんで? なんで、なんで、なんで・・・。
この大会のフルに4年連続で出場され、4時間台で完走されている下山さんを他の大会が排除するのはなぜ?
マラソン大会は、一部の人の自己満足のために開かれているわけじゃない。「誰でも出られる」という看板を掲げておいて、いざ特別な事情がある人が現れると排除する。出たい人が出られない大会に何の価値があるのか。
マラソン大会で下山さんを排除することは、ふだんの生活の中で下山さんを排除するのと同じことだ。いつも笑顔でマイペースを貫いておられる下山さんだが、心中は穏やかではないと思う。
今日、下山さんに提案してみた。
大阪の長居公園で開催されているフルマラソンは、規模の小さめのものが多い。コースも交通規制の要らない安全な公園内だし、なんと言っても「大阪人はよけるのかうまい。」マラソン大会が開催されていても、ランナーのじゃまにならないようにすばやく横断される。普通の車イスでも十分対応できそう。
ただしその話をしたあと、下山さんから「やっぱり、ふだん走ることのできない公道を走ってみたい」との言葉が。そらそうやわ。私らもいっしょやもん。あの晴れがましさを味わえないのは不公平。
「なんとかしましょう」とは言ってみたものの・・・。
私ができることは、身近な大会に交渉してみること。来年3月に第1回大会が予定されている「京都マラソン」。きっつい上り坂もあるけれど、挑戦しがいはある。まずはここに問い合わせてみよう。
古都京都のプライドを持った人たちが大会運営に携わっておられれば、他の大会と同じようなむげな返事にはならないだろう。
「とりあえず、聞くだけでも聞いてみようっと。」
私のブログの読者のみなさんもご協力お願いします。
下山さんが公道マラソンに出場できるよう、いろいろな情報をいただければうれしいです。
--------------------------------------------------------------------------------
◎下山さんからいただいたメール(2014年10月18日)
藤井 廣司様
毎々お世話になります。東京の下山利博です。
秋まっさかりですね。
最近では、着るものに困るような朝晩の冷えとなりました。
おかげさまで、手術後1年半を経過して体力の回復に順調に努めているところです。
金沢マラソン事務局さまへの働きかけ、本当にありがとうございました。
大変申し訳ありません。
以下長文のメールとなります。
パオパオだより 4月8日を読ませていただきました。
金沢マラソンの運営側の御返事の残念さに、身体の震えが止まらなくなってしまいました。
第144条の助力についての記載を、確認させていただきました。
http://www.jaaf.or.jp/athlete/rule/pdf/14.pdf
運営側の言われている事に、まったくの理解ができませんでした。
・車イスは、タイムを目指してはいけないのでしょうか。
・車イスは、自力でこいで走っていないのでしょうか。
・車イスは、一般の選手と走ることがそんなにいけない事なのでしょうか。
スタート時間を遅らせていただければ、接触の不安を解消できます。
多少の起伏は自力でこいでいくので、他人の助力は借りることはありません。
他人と競うのではなく、自分のタイムを競うことは、一般ランナーと全く変わらないと思います。
車イスランナーを排除する理由になっていないと感じるのは、下山だけでしょうか。
様々な不安については、犀川のマラソンで払拭できたと思っていましたが全くの無駄に終わっている事に、とても残念でなりません。
それでもなんとか、公道のマラソン大会に参加したいですね。
別件ですが、報告させてください。
東京都葛飾区(地元)で、2015年3月8日にはじめてマラソン競技が開催されます。
かつしかふれあいRUNフェスタ
http://katsushika-fureai-runfesta.jp/
チラシを見ますと、車イスが描かれています。
しかし、内容を確認しますと車イスは1Kmのみ。
私はハーフマラソンに参加希望です。
事務局に電話してみたところ案の定、即座に出場を断られました。
しかし、あきらめきれずに様々な方面に声をかけ、事務局の担当者と直接話し合う機会を得ました。
参加したい思いと、車イスマラソンの完走と無事故の実績、スタート時間の遅らせるなどの対応を切々と訴えたところ、条件をクリアできれば参加OKという事になりました。
その条件とは、ガードランナーを2名下山が用意することでした。
ハーフマラソン(21.0975km)を2時間20分の予想タイムは、決して速くないと思いますが初心者レベルでは、あまりにもハードルが高いようでした。
友人、知り合いにと幅広く声をかけましたが「手伝いたい気持ちはあっても、物理的にムリです。」と断りの報告ばかりでした。
今週に入って、やっと2人の方が名乗り出てくれました。
本当にうれしい限りです。事務局に報告したところ、エントリーの許可を頂きました。
コースは、河川敷ですが小さな一歩を踏み出せたと思います。
事務局の方の配慮に感謝して、元気いっぱい参加して、必ずゴールをします。
地元葛飾区民だからこそ、一般ランナーや観客の方と元気を分け合いたいです。
目標があるから、がんばれる事があると思います。
他のランナーの方と一緒にゴールできることを喜びあいたいと思います。
ちょっとだけ、いやいや本当にうれしいニュースを報告させていただきました。
金沢の街並みが忘れられません。是非、再び金沢に行く機会が欲しいです。
金沢マラソンの事務局の方の配慮を頂けると、本当にうれしいと思います。
ちなみに、今年の8月に京都に行きました。
銀閣寺、三十三元堂などを見て回りました。
京都って本当に素敵なところでした。
京都にも、機会があれば再び行きたいです。
以上、近況の報告です。
しもやまとしひろ
--------------------------------------------------------------------------------
◎下山さんへの返信メール(2014年10月20日)
こんばんは、 京都の藤井です。
メールをいただいていたのに、お返事が遅くなり申し訳ありません。実は、17日から今日まで娘と旅行に行っていました。「宮古島マラソン」のハーフを走りに。泊まったところにパソコンがなく、ブログやメールのチェックができていませんでした。今日の午後娘のアパートに戻り、パソコンを開き、いろいろなことに驚いているところです。
少し体力が回復されてきたとのこと、大変うれしく思います。また大会事務局に働きかけられ、当初の門前払い状態からハーフマラソンの参加にこぎつけられたこと、自分のことのようにうれしく思います。「金沢マラソン」や「京都マラソン」も、それに習ってほしいものです。粘り強く交渉しないとダメということですね 。いい勉強になりました。
来年3月8日なら私も何とか都合がつきそうですが、もう伴走者はいりませんか。もし必要なときは言ってくださいね。
次にお会いできるときも、下山さんの素敵な笑顔が見られますように・・・。
それでは、また。
-------------------------------------------------------------------------------
◎本日、私が下山さんに送ったメール
こんにちは、京都の藤井です。ご無沙汰しています。
いよいよ3月8日の「かつしかふれあいRUNフェスタ」が近づいてきました。
去年の10月に下山さんからメールをいただき、「ハーフ出場にこぎつけた」とお聞きしたときは本当にうれしかったです。私も私なりの方法で「下山さんのシティフルマラソン出場」を各方面に交渉して来ましたが、この3年間で一歩たりとも前進していません。残るのは無力感ばかり。ひとのために働きかけた経験のない私には、心の中に重ーい物が残された感覚だけが残っています。でも下山さんご本人は、こんな私の何倍も何十倍もつらい経験をされているのだろうと思い、なんとか自分を奮い立たせています。
ハーフとはいえ地元葛飾の大会が「普通の車いすランナーの参加」を了承してくださったことは、今後への大きな一歩になると思います。この先も、下山さんがシティフルマラソンのゴールテープを切る日を目指していっしょにがんばっていきましょう。
ガードランナー2名が見つかりよかったです。気兼ねせず、私にも声をかけてくださればよかったのに。仕事のない時なら、駆けつけさせてもらいますよ。今回は年賀状にも書いておきましたが、私も下山さんの取材に「かつしかふれあいRUNフェスタ」に参加することにしました。もちろん、一番後ろのDブロックになるように申請しました。(ナンバーカード7177なので、番号順に並ぶとしたら本当に最後尾です。)みな さんがスタートされてから、ゆっくりいっしょにスタートしましょうね。大会での下山さんの写真や動画をいっぱい撮って、大会事務局との交渉に使おうと思っています。
下山さんのガードは、見つけられた2名の方にお任せするとして・・・。
話は飛んでしまいますが、2月から私は「ガードマン」のアルバイトをしています。(「京都キャロット」がヒマなもんで・・・。)次回の下山さんのガードは、プロのガードマンランナーであるこの私にぜひお任せください。
まだ何に乗って行くか決めていないのですが、やっぱり下山さんを見習って夜行バスですかねえ。さすがに帰りはしんどいので、新幹線ですかねえ。取り合えずゴール後も時間の余裕がある ので、4年ぶりにいっぱいお話をしましょう。楽しみにしています。
私の携帯番号は090−○○○○−○○○○、携帯メールアドレスは●●●●●@docomo.ne.jpです。
会場で下山さんを見つけたら、飛んでいきますね。
それでは、当日を楽しみに・・・。
2015.3.5
藤井 廣司
--------------------------------------------------------------------------------
下山さんに出会い、この人の喜ぶ顔が見たいと思った。ただそれだけ。
自分なりに考え、自分のできることはすべてやってきたつもり。でも、この3年間何の成果もない。世の中は、今まで自分が思っていたよりずっとずっと冷たかった。
しかし、以前下山さんからいただいたメールに「下山の思いをくみ取って働きかけてくださっている藤井さんに感謝しています」という一文があった。もうこれだけで、私は救われる。くよくよしてないで、またがんばろうと思える。
4年ぶりにお会いする下山さんが、やせ細っていないかだけが心配だ。
------------------------------------------------------------------------------------
【追加】
夜10時すぎ、下山さんから返信メールがあった。
「これぞ、ザ・シモヤマやねえ・・・」とうなってしまった。車イス生活は下山さんにとっての「ふつう」。「ふつう」の下山さんが「ふつう」にシティフルマラソンに参加したいだけのこと。なんでこれが分かってもらえんのかねえ。
「でも、可能であるなら誰の手助けもなしに、普通に参加したいです^^」のところが一番よかった。
(公開してもいいですよね。)
◇ ◇ ◇
藤井様
毎々お世話になります。下山です。
とうとう今度の日曜日、かつしかふれあいRUNフェスタです。
うれしい限りです。
藤井さん、京都から来て下さるのですね^^
パオパオだよりを見ているので、きっと変わらないですね。
活躍ぶりを拝見させていただいてます。
今回、車イスランナーも健常者と共に楽しく走る姿を
ランナーと応援してくださる皆様に見てもらいたいと思います。
そして「一緒に走っても良いじゃん!」とか「元気をもらった!」
なんて言葉がもらえたら、最高です。
何よりもガードランナーの方が、名乗り出てくれたおかげです。
本当に、うれしいです。
これだけ嫌われると…どこかのドラマのような感じですね。
そのうち「車イスランナーはダメ!」という訳のわからない規則が
無くなり、一緒に走れるシティマラソンを実現するための
第一歩として、がんばります。
生きている限り、目指したいです。
もし、ガードランナーが必要な、シティマラソンに参加が可能でしたら
是非とも、藤井さんを指名させていただきます。
その時はよろしくお願いします。
でも、可能であるなら誰の手助けもなしに、普通に参加したいです^^
大暴れしますので、記録に残していただけると嬉しいです。
8日に現地でお会いしましょう。
下山利博
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
トラックバック
トラックバックURL
http://blog.kyoto-carrot.com/tb.php?ID=2795
コメント
速歩まんさん、コメントありがとうございます。
下山さんの願いをかなえるために、今まで自分なりにいろいろと手をつくしたつもりでしたが・・・。結果的には何もしていないのとほぼ同じ。それが悔しいです。ただし、私の悪戦苦闘ぶりを下山さんは評価してくださっています。
大会事務局への働きかけだけではなく、機会あるごとにいろいろなところで下山さんの話をしています。それがじわじわと広まって、いつかは必ず願いはかなうと信じています。
応援、よろしくお願いします。
付けたしですが、下山さんは自分ことを「スゴイ人」だとは思っておられません。車イスを使って生活している「ごく普通の人」だと思っておられると思います。もしお会いする機会があれば、ぜひ普通にお話してください。
スゴイ人がいるのですね・・敬服します
こういう真剣にマラソンに取り組んでおられる人こそ優先すべきなのに・・日本人は見かけでダメばかりです・・
わたしは今はもう時速10kmが精一杯なので「盲人」伴走もできないが・・車イスのガードならできそうです・・これからは下山さんのように走りたくても・出れない人の手助けになりたいと・・
見かけだけで人を判断してしまう・・その意識を変えたいもの・・
誰かがやらなければ・・前進もない・・
初めの1歩・・がんばりましょう・・・感謝