パオパオだより

2012年05月05日(土)

「強制になるということでないことが望ましいですね」 [時事]

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◎京都新聞5月5日朝刊 ・一刀政断

  内心の自由を尊重せよ
      橋下市長の憲法観に懸念          西川孝純(共同通信特別編集委員)

 サンフランシスコ平和条約が発効して60年。日本が主権を回復し、国際社会に復帰してから還暦の節目を迎えたことになる。
 1952年4月28日、昭和天皇は日本の独立に当たり「風さゆるみ冬は過ぎてまちにまちし八重桜咲く春となりけり」という歌を詠まれた。苦難に満ちた占領からの解放を国民とともに喜びたいというお気持ちがにじんでいる。
 3日は憲法記念日だった。平和条約と同時に発効した日米安保条約(60年に改定)と新憲法の下、わが国の平和は維持され、経済と民主主義は大きな発展を遂げた。先人の努力を尊び、さらに発展させる責務がわれわれにはある。
 しばらく後景に退いていた憲法改正問題が政治テーマに浮上してきた。主権回復60年で「国のかたち」を再考すべきだという主張や、東日本大震災を機に緊急事態法必要性を指摘する声が高まったことが要因として挙げられる。
 自民党がまとめた改憲原案では自衛軍保持や緊急事態条項の新設、国旗国歌の尊重規定を明記。たちあがれ日本も自主憲法制定を掲げ、みんなの党は道州制の導入などで憲法見直しの必要性を訴えている。
 改憲に拍車を掛けているのが国政進出をにらむ大阪維新の会だ。「維新八策」では首相公選制や参院廃止、その前提として憲法改正要件の緩和を打ちだした。個人・地域・国家の「自立」を強調し、国家統治の在り方を根本的に問い直そうとしている。
 維新の会率いる橋下徹大阪市長は今、最も気になる政治家の一人だ。政界再編の鍵を握り、次期衆院選後の政権枠組みで大きな役割を演じる可能性がある。
 それだけに橋下氏の憲法観と政治理念は厳しく点検したい。懸念がいくつかある。一つは市職員に業務命令で回答を求めた組合・政治活動アンケート。街頭演説を聞くことを含めて政治家を応援する活動への参加の有無や、誘われた相手まで答えさせるのは憲法19条が保障する思想・良心の自由を脅かすものだ。
 労働組合の救済申し立てを受けた大阪府労働委員会は調査凍結を指示し、回収済みアンケートは先日、破棄された。橋下氏は市特別顧問に任せていたと人ごとのようにコメントしたが、組合敵視は度が過ぎる。
 懸念の二つ目は君が代の強制だ。今年3月 、大阪府立和泉高の卒業式で教職員の口元を監視して君が代斉唱を教頭らと確認した校長は、橋下氏の友人である民間人校長だった。
 この「口パク騒動」の直後、筆者は母校の高校卒業式に出席する機会があった。教職員の動向が気になったが、厳粛な雰囲気の中で一同と別方向に視線を向けることはできなかった。生徒にとって大切な思い出となる入学式や卒業式で監視の目が光るようでは教育の場でなくなる。
 府立学校教職員に起立斉唱を義務付けた全国初の君が代起立条例が施行されたのは、橋下氏が府知事だった昨年6月。口元監視を橋下氏は「すばらしいマネジメント」と評価したという。式典を物理的に妨害するような行為は許されないが、管理と規則の強化で教職員を締め付けて教育効果は上がるのか。
 2004年秋の園遊会で、東京都教育委員を務めていた棋士の米長邦雄氏(現日本将棋連盟会長)が「日本中の学校に国旗を揚げ、国家を斉唱させるのが私の仕事でございます」と述べたのに対し、天皇陛下はこう発言された。「強制になるということでないことが望ましいですね」
 維新八策では天皇元首制を打ち出す構えだが、橋下市長は陛下のお気持ちをどう受け止めているのか。
 君が代の起立斉唱の校長命令に従わなかった教職員の裁判で、最高裁は停職などの行きすぎた処分に歯止めをかける判決を出した。市長選の圧勝は有権者の白紙委任ではない。改憲議論は結構だが、基本的人権は侵してはならない。
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 もう、あきた。
 一部の熱狂的な信者は別として、たいがいの人は「君が代口元チェック問題」と「捏造リスト問題」を機に見方が変わってきたのではないだろうか。
 第一今のあの人の姿を見て、現大阪市長とか前大阪府知事と言ってもピンと来ない。国政進出を狙っている野望家にしか見えない。 
 政治家は人々を幸せにするのが仕事だと思っていた。でも、あの人の姿はどうもそうは見えない。あらゆる手段を使って、自分の価値観を他に押し付ける(強制する)ことに生きがいを見出している人もあるようだ。
 「いったい、なにがしたいん?」

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