パオパオだより

2015年06月05日(金)

「わたしが正義について語るなら」 [書評]

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 今日も寮の管理人室で読書三昧。

 本にラインを引くのはイヤなので、メモをとることにした。

 P.26 悪いものは、いかにも悪い感じで現れるとは限りません。我々の社会は、なんであんなことで騙されるのだろうということで簡単に騙されるものなんです。

 P.28 ドキンちゃんは自分が美人で自分を見る人は誰でも自分のことを好きになると思い込んでいるけれど、しょくぱんまんの前では可憐になるんだよね。そういう人、時々いますよね。

 P.42 世の中のトップに立っている人は弱者のことは分からない。でもぼくは谷間を這いずり回っていたから、そういうことは分かります。

 P.76 (徹夜で仕事をしていると)寂しいから手のひらを見たりして、手のひらに懐中電灯を当てて、子どもの時のレントゲンごっこを思い出して遊んでいたら、血の色がびっくりするほど赤いんですね。ほんとうに桜色というかきれいで見惚れてしまいました。自分は元気がなくても血は元気だな、と。だから手のひらを懐中電灯にすかしてみればというのがもともとなんだけれど、懐中電灯じゃ歌にならないから、「手のひらを太陽に」になりました。あれは自分を励ます歌なんです。まさかそれが広く歌われる歌になろうとは、夢にも思いませんでした。

 P.92 正義の味方は自分の生活を守ってくれる人ではないかと思っていた。子どもから見れば、おなかをすかして泣いている時に助けてくれる、地味な正義の味方を書きたかったんです。

 P.103 「アンパンマンのマーチ」の中に、「愛と勇気だけが友達さ」という歌詞があります。それで抗議がきたこともあるんだけど。これは、戦うときは友達をまきこんじゃいけない、戦う時は自分一人だと思わなくちゃいけないんだということなんです。お前も一緒に行けと道連れをつくるのは良くないんですね。

 P.138 朝から晩までマンガばっかり読んでいると、ろくな人間にはならないです。いいマンガ家にも馴れません。マンガばっかりじゃなくて、何か付加価値がなくちやいけない。 

(注)もうちょっと、続きます。

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2015年05月30日(土)

「鬱の力」 [書評]

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 寮の管理代行のバイト先で、パソコンの個人使用が禁止された。あー、ヒマ。
 でもその分、本がじっくりと読める。新書はだいたい3時間あったら読める。これからはこれですね。しょうもないサイトを見ているヒマがあったら読書しましょう。

 寮のバイトでは、私のブログの「続きます」のところを書く時間にぴったりだったが、これからはそういうわけにはいかない。「続きます」が「続きません」になってしまうがなー・・・。


 この本の中で一番印象に残った部分。
     ◇     ◇     ◇
 香山 五木さんは鬱を克服するにあたって、ノートをつけていらしたそうですけどね。精神医学でも認知療法といって、自分の考えを自分で捉え直すことがあります。皇太子雅子様も、今認知療法を受けているようですね。とにかく自分のことを書いていくわけですが、五木さんの場合、書いたノートをあとで読み直したりしますか。
     ◇     ◇     ◇
 わかった!
 私のブログ「パオパオだより」は、自分自身への認知療法やったんですね。
 
 

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2015年05月14日(木)

「憲法主義」 [書評]

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 寮の管理代行24時間のバイト。
 パソコンの個人使用禁止なので読書。AKB48の内山奈月さんと憲法学者の南野森さんの「憲法主義」、よかった。
 くわしくはのちほど。

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2015年01月07日(水)

「リベラルじゃダメですか?」 [書評]

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◎「BOOK」データベースより

   「リベラルじゃダメですか?」 香山リカ 祥伝社新書

【内容情報】
 昨今、ネット上では中国・韓国を批判する書き込みが目立ち、排外的なヘイトスピーチも問題となった。加えて安倍政権による集団的自衛権の行使容認が決まり、一連の動きを日本の「右傾化」と見る向きは多い。その背景には、単に「保守派」「タカ派」の影響力が増しているだけでなく、リベラル派の衰退がある。彼らの影が薄くなった要因は、他ならぬリベラル派自身にあるのではないだろうか。端的に言えば、リベラル派は「嫌われている」のだ。「自由・平等・公平」の実現を目指すリベラル派が、なぜ支持を集めることができないのか。リベラル派を自認する著者が、自戒を込めてその理由と対策を探る。

【目次】
 第1章 リベラル派は嫌われている?(「リベラルって何だ」という問題を考えるきっかけ/罪を犯した精神障害者をどう扱うかという問題/立ち消えになった「処遇困難病棟」案/九〇年代初頭と現在との大きな違い/報じられることのなかった、秘密保護法案成立への動き/誰かが気づくかもしれないという思い/無力になったリベラル派の意見 ほか)

 第2章 「純血主義」で分裂するリベラル派(小泉元首相の「原発ゼロ宣言」/脱原発の「理由」は重要ではない/一点突破ができないリベラル派/「純血主義」があらわになった二〇一四年の都知事選/負けグセのついてしまったリベラル派/リベラル派に生まれた疑心暗鬼/一矢報いるためには何が必要か ほか)

第3章 「ポジナショナリズム」の時代(グーグルの「サジェスト汚染」による被害/ファンレターの何十倍も届く批判の手紙/「反日」のリベラル派はいるのか/二〇〇〇年代になって高まってきたナショナリズム気分/橋下現象から安倍現象へ/橋下氏と石原氏の日本維新の会が分裂した理由/安倍氏よりも橋下氏のほうが、まだマシ ほか)

 第4章 リベラル派が生き残るには(「私がすばらしくあるために、国がすばらしくなければならない」/「新自由主義」という手強い敵/「売れれば良い」でも「売れなくても良い」でもなく/リベラル派は清貧でなくてはならないのか/清貧思想がリベラル離れを加速する/福田和也氏の不満/左翼は貧乏くさいのか ほか)

【著者情報】
香山リカ(カヤマリカ)
1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、立教大学現代心理学部教授。学生時代より雑誌等に寄稿。その後も臨床経験を生かして、各メディアで社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍、現代人の“心の病”について洞察を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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 なんと、去年の1月以来の「書評」。通算でも10冊目。1年に1.5冊のペースですか。

 言い訳させてください。本は読んでるんですよ。特に今やっている寮の管理のバイトはヒマな時間が多く、本を読む時間もある。
 ところがねえ、前にも書きましたけど私は集中力と持続力に乏しい。目で活字を追いながら、頭はちがうことを考えている。また最初はいいペースで読み始めるのだが、途中から飽きてきて本の最後までいけない。こうして、途中まで読んで放置されている本が山になっている。
 「あー!」

 香山リカさんの「リベラルじゃダメですか?」は抜群によかった。途中で飽きることなく、最後まで一気に読めた。
     ◇
(「まえがき」より)
 私としては、「リベラル」というのは何も特殊な主義信条とか政治的理念ではなくて、「個人の自由を大切に、でもなるべく平等、公平に」といったマイルドな考え方や姿勢というくらいの意味に使っていた。個人の自由が一切、認められない全体主義もイヤだし、かと言ってすべてが個人の自己責任で弱肉強食の世の中になるのも困る。ほどよくお互い助け合いながら、個人も他人も世の中全体も、ついでに言えば他国との関係も大切に。これが私の中での「リベラル」の定義である。
 ところが今や、それが「過激」「危険」だというのだ。
 はっきり言って、リベラルじゃなぜダメなのか、私にはさっぱりわからない。
 とはいえ、「現実はそうなっている」と言うのなら、その理由を少し考えてみることにしよう。そこで何か現代の問題の一端が見えてくるかもしれない。
     ◇

 もし香山さんが党首となり、リカ党でも旗揚げしてくださったらその党員になりたい。そう思えるくらいすばらしかった。
 私は「リベラル」という言葉を今まで理解しておらず、今や死語になっている「革新統一」派であると思っていた。でも、もう「リベラル」でもいいかな。

 「リベラル」に近いと思っている人は、この本を読むべし!
     ◇
 自分がいちばん重要だと思っている考えを実現しようとするならば、ほかの点では意見が違う人ともときには手を結ぶ柔軟さも、ぜひ身につけてもらいたい。一から十まで同じ考えでなくても、目的が同じならいっしょに活動するくらいの“ふところの深さ”はリベラル派にあまり備わっていない性質のひとつだ。
     ◇
 「憲法九条アピールラン」は、体を鍛えるにいいですよー。常に体を鍛えているイメージがある右翼のみなさん、私といっしょに走りません?
 

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【今日のきく】

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 今日は、北大路ビブレできくちゃんへのおみやげを購入。
 ついでにしっかりした首輪も買った。
 家に帰ると、おやつは喜んでくれたが首輪は警戒していた。難しいもんです。

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【RUN】

 おとといしんどいのに無理して8km走った。そのせいで昨日は腰痛がひどく休養。今日はましな気がしたので、またおとといと同じ8km。44分34秒とおとといよりだいぶ速く走れた。
 ところがそのあとまたひどい腰痛。特に前かがみが痛い。
 今度の日曜「武庫川ハーフ」なんですけど。どうしたら痛みがましになるでしょう。

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今日の晩ごはんの鯛

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2014年01月30日(木)

「バカに民主主義は無理なのか?」 [書評]

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◎光文社ホームページより

  「バカに民主主義は無理なのか?」  長山靖生/著

 民主主義だからダメなのか? まだ民主主義じゃないからダメなのか?
 昨今の日本を見ていると、もう本当に「日本の民主主義はダメなのか?」とうなだれてしまう。これまで、日本の政治がうまく機能していない理由は、「民主主義が未熟」であるためだと説明されがちだったが、本当は何が問題なんだろう。本書では、日本の民主制の危機、問題点を考えるにあたり、民主制や自由思想の歴史、そしてそれを近代日本がどのように移入したのか、さらに、改正が取り沙汰される日本国憲法の、国民の見落としている根本原理などについて一から学び直す。また戦後政治が何を積み残してきたのかを丁寧に振り返り、最後には、我々に最も欠けている思考について検証。民主主義の限界を克服する道を探る。「必要悪としての政治」という視点から、民主制の主体=民衆に求められる資質・精神について考える。


■目次

はじめに

第1章 日本人は、いったい政治に何を望んでいるのか?
         ――日本の民主制が危機におちいっている理由
第2章 「自由」と「平等」に、根拠はあるのか?
         ――民主制の歴史と、展開
第3章 日本国憲法、何か問題でも?
第4章 戦後の日本政治は、何を積み残してきたのか?
第5章 バカに民主主義は無理なのか?
         ――輝かしくない日本の未来に向けて
あとがき
参考文献


■著者紹介長山靖生(ながやま やすお)
1962年茨城県生まれ。評論家。歯学博士。鶴見大学歯学部卒業。歯科医のかたわら、文芸評論、社会時評など幅広く執筆活動を行っている。1996年、『偽史冒険世界』(筑摩書房)で第10回大衆文学研究賞を受賞。2010年、『日本SF精神史』(河出ブックス)で、第31回日本SF大賞、第41回星雲賞を受賞。著書は他に、『「人間嫌い」の言い分』『不勉強が身にしみる』『「論語」でまともな親になる』『新書で名著をモノにする 平家物語』(以上、光文社新書)、『天皇はなぜ滅びないのか』『天下の副将軍』『テロとユートピア』(以上、新潮選書)、『日露戦争』『大帝没後』『謎解き 少年少女世界の名作』(以上、新潮新書)、『千里眼事件』『奇想科学の冒険』(以上、平凡社新書)など多数。

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 ちょうど1週間前の木曜のバイトのときに読み終わった本。あれから1週間たって、中身をほとんど忘れてしまった。
 そこで他の人の書評を見てみると、評価の低いものが多かった。私は読んでいてそんなにダメとは思わなかったのだが・・・。歯医者さんが民主主義や政治に関する本を書いておられるだけでもおもしろいやないですか。
 全体としては社会科の教科書を読んでいるようだったが、ところどころ「フムフム」とうなずくところもあった。
     ◇     ◇     ◇
(目次の一部)
 ・「一票の平等」という過疎地差別、地方の植民地化
 ・「出たい人」からしか選べないー政党政治の欠陥と、維新の元勲たちの危惧
 ・ついに「消費税」導入、「国策としての少子化」の矛盾は放置され・・・
 ・戦場では、敵を撃ち、味方を助ける者を戦友と呼ぶー「友愛」の危険性を自覚せよ

(各章のまとめの一部)
 ○日本には厳然たる地域格差があり、差別もあります。
 ○選挙よりもクジ引きの方が、マシな人が選べるのでは?
 ○「みんなで幸せ」になれないからといって、「みんなで不幸」を望みますか?
 ○日本国憲法が古くなったとして、古いものはイケナイのなら、伝統とか文化はいらないのでしょうか。
 ○政権政党が変わっても、日本の政治はあまり変わりません。というか、自民党と民主党って、単なる派閥ではないのですか?

【第5章のまとめと課題】・・・・・は、ここに紹介した理屈(暴論?)やデータだけでなく、みなさんが日頃から気になっている疑問や不満、情報を加味して、ご自身で設定してください。
     ◇     ◇     ◇

 やっぱり私が課題を設定するならば、「地域格差と差別」。
 だいぶ前にも書いたが、「一票の格差」を訴える人たちには「一米軍基地の格差」や「一原発の格差」もいっしょに訴えてもらいたい。米軍基地も原発も人口比で配分するなら、東京や大阪に集中しなければ納得できない。東京湾や大阪湾をもっと埋め立てて、米軍基地や原発を誘致すべきです。それからでしょう、「一票の格差」を論じるのは。

 私にはもっといい案がある。その都道府県の「不便指数」を算出して、その不便さに応じて議員数を手厚くするというのはどうだろう。そうすると、東京都の国会議員が一番少なくなり、見捨てられがちな県の国会議員が一番多くなる。東京なんて、これ以上なにがしたいねんと問いたい。不便なとここそやりがいありまっせー。

 「立候補者は過疎地をめざす!」

 ひゃー、かっこいい。ってことにはならんかなあ・・・。
 ( 私も十分なバカですね。)

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【今日のきく】

 今日は朝から雨。
 毎週木曜はバイト前のひとっ走りが恒例になっていたが、雨ではねえ。17日ぶりの練習休み。

 でも、きくの散歩に休みはない。ますみちゃん、「ご苦労さんどす!」

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2014年01月08日(水)

「若者のホンネ」 平成生まれは何を考えているのか [書評]

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◎「BOOK」データベースより

 「若者のホンネ」 平成生まれは何を考えているか 香山リカ著 朝日選書 2012年12月

■ 最近の若者っていったい何を考えてるの?平成生まれの大卒が社会人になった。中高年の多くが「最近の若者」の気持ちがわからないという悩みを抱えている。若者に特有のプライドとは、コンプレックスとは、恋愛や人間関係とは…。40のキーワードを基に、中高年と若者の心理の違いを綴った若者論。

■目次 : 1章 “今どきの若者”の気持ちを知る!(マイブランド/ SNS疲れ ほか)/ 2章 誰にも言えない心とからだの悩み(内面的なプライド/ 本当に嫉妬しない人たち ほか)/ 3章 大人が知らない最近の恋愛事情(遊び以外は仕事/ 二次元の恋愛 ほか)/ 4章 若者が関心のある社会とは(貯金好き/ すぐ使える勉強 ほか)/ 5章 いったい若者は何を考えているのか(絆ストレス/ 愛国心依存 ほか)

【著者紹介】
香山リカ : 1960年北海道生まれ。精神科医、立教大学現代心理学部映像身体学科教授。東京医科大学卒。臨床経験を生かして、社会批評、文化批評なども手がけ、現代人の“心の病”について洞察を続けている。
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 またまた、私の悪いクセ。読んでる本を途中でどっかにやってしまう。中途半端に放置されている本が増えるばかり。
 今日時間があったので、その「放置本」の中から一冊ピックアップ。私の大好きな香山リカさんの本。
 
 うちの平成生まれの二人の子のうち、真樹は昔っぽいところもありなんとなく分かる感じがする。しかし、廉のほうは本当に今風の子だ。目次の中の「二次元の恋愛、愛されキャラ、医療不信、コンプレックス、対人操作、ぼっちの不安、エロスなき結婚、正業不安、いじめのコスト、内面的なプライド、自己満足系の自分磨き・・・」当てはまるものが多い。この本はかなり参考になった。

 この香山リカさんも、あの橋下市長にかかればボロクソ。しかし人間の幅という観点からすれば、あまりにも差がありすぎるように思う。

 「平和という元凶」の項では以下のような記述がある。
     ◇     ◇     ◇
 いつの間にか「平和が大事」と口にするだけで、逆にある特殊な思想の持ち主として激しく攻撃されてしまう。
 第二次世界大戦を経験した世代は高齢化したり世を去ったりして、本当の意味での「平和の尊さ」を語ることができる人は減りつつある。若い人にとっては、「平和」は生まれつきそこにあるもので、とにかく守り続けなければならないもの、何かをがまんしてでも手に入れなければならないものとは思えないのだろう。
 なるべく「若い人たち、たいへんだよね。その気持ち、わかるよ」と言いたい私であるが、この点に関してだけは「平和は大切。経済力などを少々犠牲にしてでも、平和だけは守り続けなければならない」と頑固に言い続けなければならない、と思っている。
     ◇     ◇     ◇
 自称・憲法九条バカの私にとって、なんて心強い言葉でしょう。

 一方、香山リカさんはこんなおもしろいことも言っておられる。  
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◎毎日新聞12月28日朝刊

   香山リカのココロの万華鏡:そのままの自分認めて

 「私、失敗しないので」が決めゼリフの、スーパー女性外科医が活躍するテレビドラマが、大人気のうちに最終回を迎えた。主人公は自分の腕に絶対的な自信を持ち大学病院の権力争いにも無関心、誰に対しても言いたいことをはっきり言う。

 そのカッコよさに拍手喝采しながら見ていた私だが、ふとわが身を振り返ると、「同じ医者でもずいぶん違うな」と情けなくなってくる。長年やればやるほど、「本当に患者さんを救えているのかな」と自信がなくなる一方だし、職場ではいつも上司や同僚の顔色をうかがっている気がする。そして、まわりの人から少しでもマイナスのことを言われると、いちいち傷つき、落ち込んでしまうのだ。

 いったいどうすればドラマの女性医師のように、自分に自信を持つことができるのか。

 矛盾して聞こえるかもしれないが、自信を持つために、まず必要なのは「多くを望みすぎないこと」なのではないかと思う。「ああ、ダメだな」と自信を失いがちな時に、私は自分に聞いてみることにしている。「じゃ、自分はどれくらいできると思ってたわけ?」

 つまり、「こんなはずじゃない」「もっとすごいはず」とどこかで思っているからこそ、現実の自分に失望し、自信を失ってしまうのだ。もし、うまくいかない時も、「精いっぱいやったのだからこれでいいのだ」と結果を受け入れることができれば、それ以上、自分を責めたり辛い点をつけたりすることもなくなるのではないか。

 診察室には自信を失っている人が数多く訪れるが、年末にはこんな言葉を繰り返した。「でも、なんだかんだ言って、お互い今年も生き延びたわけですしね」。もちろん、それで十分というわけではないが、とりあえずはそんな自分をほめて、満足感を味わってもよいはずだ。それなのに「そんなことでいちいち喜べるか」と暮らしていること、生きていることを軽んじながら、私たちはどんどん自信を失っているのだ。

 考えてみれば、自信たっぷりのドラマの女性医師も、手術の腕以外には弱点や欠点もたくさんある。人間関係も苦手でギャンブル好き、服装もやたら派手で決してセンスがいいとは言えない。それでも、「私はこれでいいんだ」とそのままの自分を認め、得意なことをする時に胸を張るだけで、その人なりの輝きが出てくるのではないか。

 よし、私も来年は、「私、失敗しない……かも」くらいのことは言って、胸を張ることにしよう。
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 これははよかった。「なんだかんだ言って、お互い今年も生き延びたわけですしね」というのを、今年の私の年賀状のごあいさつ文に採用させてもらおうかと思ったくらい。
 今生きていることを軽んじず、自信を失わないように前を向いて歩む。
 「なんだかんだ言いながら、今年も生き延びるぞー」と思っていいんですよね。

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