パオパオだより

2009年11月22日(日)

「いぬばか」+スザンヌ舞台あいさつ [映画]

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 今日12時10分から「京都みなみ会館」で、「いぬばか」の上映のあと主演スザンヌさんの舞台あいさつがあった。

 そのことを知ったのは、金曜の京都新聞夕刊で。
 その日の夜、「京都みなみ会館」に問い合わせてみると前売り券の残席わずか。映画館に直接買いに行くか、「チケットぴあ」で買うか。IDやパスワードなどを忘れていてたいへんだったようだが、ヨメさんがなんとか「チケットぴあ」で3枚ゲットしてくれた。

 真樹と私とあと一人(遊んでいると思われたらいやなので書くなとのこと)の3人で見に行った。ついこないだ、「もう、娘といっしょに映画を見に行くことはないだろう」と書いたばっかりなのに、さっそくくつがえった。うれしい。

 この映画は、スザンヌのための映画といってもいいだろう。ワンちゃんたちとスザンヌがかわいさを競っているという感じかな。
 「犬と人間がともに幸せに暮らせる社会を」というメッセージは、がんばりすぎていなくていいと思う。小さな子にもよく分かっただろう。

 舞台あいさつは短時間だろうと思っていたが、意外にも30分以上あったと思う。
 「京都みなみ会館」は客席数165の小さな映画館だが、もちろん満員。ほとんどが、このスザンヌの舞台あいさつ目当てで来られた方だろう。

 前半は、司会者の方が映画撮影中のエピソードや共演者との思い出話などを聞きだされていた。後半は、客席からの質問にスザンヌが答えてくれた。

 その中で一番心に残っているのは、「共演したい役者さんは?」という質問。
 答えは、渡辺謙サンと渡哲也さん。彼らの隠し子役として、シリアスな演技をしたいそうだ。

 スザンヌが答えている内容は、どれも的確で、決して「チンプンカンプン」ではなかった。芸能界に生き残っている人だもの、「おバカさん」のはずがない。それが、よーく分かりました。

 スザンヌが舞台から引っこむとき、子どもたちが花束を持ってかけよっていった。もちろん、スザンヌは立ち止まり、花束を受け取って一人一人と握手していた。
 そうか、こんな手があったんや。気がつかんかったなあ。
 真樹に持って行かせばよかったなあ。もし、またの機会があったら、次はしっかりと・・・。

 映画館から出たあと、おとなりの建物の2階の「うなぎ料理・美登利」で遅いお昼ごはん。おいしいおいしい「うな重」を食べた。
 ここでも写真を撮ったのだが、例の「もう一人」から「写真掲載禁止」と言われたので、残念ながら写真はなし。
 
 今日、11月22日は「いい夫婦の日」やったのにねえ。

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「京都みなみ会館」の看板 (スザンヌさんのブログにも載っていました)

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2009年11月18日(水)

「風が強く吹いている」 [映画]

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 11月7日に真樹が見に行った映画を見てきた。
 「風が強く吹いている」、箱根駅伝をめざす大学生の物語。

 娘といっしょに映画を見たのは、2年前家族4人で見に行った「天然コケッコー」が最後。この先もいっしょに見に行くことはないだろう。ただ、今日のように同じ映画を別々に見に行くことはあるのかも・・・。

 この映画を見ながら思ったことは、「この場面を見て、真樹はどう感じたかな」とか、「今の言葉を聞いて、真樹はどう思ったかな」とかばっかり。

 この映画でも、キーワードは「自分の居場所」だった。
 私自身、父親として真樹の居場所探しの役に立ったのだろうか。せめて走ることの楽しさくらいは教えてやりたかったのに・・・。

 全然レベルのちがいすぎる話で恐縮ですが・・・。
 中3の真樹は、9月30日に西京極のサブグランドで800mを走る予定だった。「中学校合同陸上大会」の中の1種目として。
 真樹は陸上競技部でもなんでもないが、小さい時から私らに連れられてマラソン大会に出続けていた。中学生になってからはついてくることもなくなったが、「自分は長距離は得意」という意識は持ち続けていたと思う。

 「合同陸上」と言っても小さな中学校3校だけなので、合わせても女子は10人ちょっと。しかし、真樹は真樹なりに戦略を練っていたようだ。
 9月22日の「京都スポーツ祭典陸上大会」で一たたきして、本番でそこそこの・・・。
 私はその話を聞いて、思い通りに走れても走れなくても、きっと笑顔で帰ってくるだろうと想像していた。なんと言っても、それが真樹の「引退レース」やからね。

 しかし、「京都スポーツ祭典陸上大会」はアクシデントがあり、スタート直前で出場取りやめ。 (くわしくは、9月22日のブログで)
 この悪い流れを引きずったのか、9月30日の本番と1週間後の予備日も雨で中止。私が思い描いていた「笑顔の引退レース」は、夢幻に終わってしまった。

 何をたいそうにと思われるかも知れないが、今日の映画を見ていても「夢のようなことも現実に起こりうる」と思う。おんなじ人間なんやから、今は大きな差があっても絶対縮めることはできる。何かがきっかけで、それに気づくとも限らん。「800m走」がそのきっかけになったらええのになあ、と思っていたんですが・・・。

 せめて、真樹には走ることの楽しさだけは伝えたかったが、どうかなあ。
 「いつかフルマラソン走ってみたいなあ」と言っている真樹の言葉を、私の胸にしっかりしまっておいて・・・。

 こんな映画の見方、変でしょうかねえ。

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 今日は、久しぶりに「京都シネマ」以外の映画館。
 ジャスコ・久御山店の2階の「イオンシネマ久御山」。

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 「京都シネマ」はどちらかというとマイナーな映画ばかり。時々、メジャーな映画も見たくなる。
 「シネマメイトクラブ」に入ると、すべての映画が1500円。朝一の上映回は1000円均一。さっそく、入会。これから、水曜の朝一に来ることにしよう。
 うちからジャスコ・久御山店までは22kmくらい。ガソリン代は200円弱。駐車代の心配もないので、ここは意外といいかも。

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 映画を見たあと、その近くの同じ階の中華料理店へ。
 「ふかひれあんかけチャーハンセット」、1380円。おいしかった。
 支払いの時、「映画、見られました?」と聞かれた。月の後半は、映画を見た人は5%引きらしい。
 わずか70円ほどのことだったが、いいコラボですね。

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2009年11月12日(木)

「母なる証明」 [映画]

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 ◎映画チラシより。

 最も“謎”に満ちているのは、人間そのものである――。
殺人事件の容疑者となった息子を救うため、真犯人を追っていく母親の姿を
極限まで描き出す“ヒューマン・ミステリー”の最高傑作が誕生!

『殺人の追憶』、『グエムル-漢江の怪物-』等で国際的に高く評価されるポン・ジュノ監督。
長編としては3年ぶりとなる待望の最新作。
静かな街で起こった凄惨な殺人事件。事件の容疑者とされ、身柄を拘束された息子トジュン(ウォンビン)の無実を信じる母親(キム・ヘジャ)は、息子の疑惑を晴らすため、真犯人を追って走り出す―。
子を想う母の“無償の愛情”を通じ、善と悪、光と闇を湛えた“人間の真実”をスリリングに描き出すヒューマン・ミステリーの最高傑作が誕生した! 30分に及ぶ衝撃のラストは観る者の心を激しく揺さぶり、圧倒するに違いない。

出演は、息子役に韓国四天王の一人として絶大な人気を誇り、実に5年ぶりの映画出演となるウォンビン。兵役後初となる待望の復帰作として選んだ本作で難役を演じきり、実力派俳優としての地位を確立した。母親役には“韓国の母”と称されるほどの国民的人気を誇るキム・ヘジャ。また、NHK総合でもオンエア中のTVドラマ「スポットライト」にも出演しているチン・グが、ウォンビンの友人役で出演。今、有望視される若手俳優の一番手である。

数多くあるミステリー作品を凌駕する、傑作中の傑作が、まもなくその正体を現す。

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 昨日、「京都シネマ」に行った。

 私が見る映画は、いつもなら客数10名前後。それも年配の方が多い。
 この「母なる証明」は、ウォンビン5年ぶりの出演作品。6、7割がたうまった客席の客層が心配だったが、熱烈ウォンビンファンという方は少ないように見えた。「ホッ!」

 この映画は、実に映画らしい映画であった。
 映画ファンであれば、「フムフム」とうなるような場面が次々と出てくる。最後もすごくよかった。余韻の残るラストシーンだった。(具体的には言いません。ぜひ、この映画を見てください。)

 一つだけ腑に落ちない個所。
 殺された女子高校生の携帯に、なんでクズ鉄屋のオヤジが映ってたんやろう。あのオヤジも「相手」やったっていうこと?

 ウォンビンも、母親役のキム・ヘジャもよかった。ウォンビンの友だち役のチン・グは、成宮寛貴かと思った。

 「母と子の絆」がテーマであるらしい。
 あの母親は、このあと正気のままで暮らしていけるのかなあと、ふと思った。

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 一度家に帰り、家族4人全員で眞寿美さんのお母さんのお見舞い。
 強烈な外反母趾で、とうとう手術。たいそうな手術のため、1カ月ほど入院が必要らしい。
 手術前と後のレントゲン写真を見せてもらったが、本当に足の親指が「く」の字に折れ曲がっていた。その部分を切開して、ポルトを入れてまっすぐにしたらしい。現在、左足は完全に固められている。

 廉と真樹がお見舞いに来たのは、本当にうれしかったようだ。私が来たのは、どちらかというと「意外」。
 「こうじさん、いそがしいのに、よう来てくれはったなあ。」
 「この人はヒマ。いそがしいのは、私だけ・・・。」横でヨメさんがブツブツ言っていた。

 「親子写真、撮っときますわ。」
 「またブログに載せて、親孝行してるふりするんやなー。」とヨメさん。
 いや、私は「母なる証明」写真をとりたかっただけ。ヨメさんはお母さんと似てへんと言い張るが、似てますよねえ。

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 お見舞いのあと、久しぶりに家族そろっての外食。
 「くら寿司・金閣寺店」。

 ここでも、「母なる証明」写真(ないしょで撮りました)。
 真樹は、「お母さんに似てる」と言われたらガックリくるらしい。どうですか。似てます?

 一応、真樹がめざすは「志田未来」、ヨメさんは「香里奈」だそうです。真樹はいいけど、ヨメさんはちょっと・・・。

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2009年10月31日(土)

「プール」 [映画]

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 この映画は1ヶ月以上も前、9月16日に見たもの。
 
 京都シネマで「ミーシャ ホロコーストと白い狼」を見たあと、もう1本と思って入った。
 私としては、西原理恵子原作の「女の子ものがたり」のほうを見たかったのだが、「女の子のための、女の子を元気にする映画」とか宣伝されていたら、50代のオッサン一人では入りにくい。
 「プール」の内容はまったく知らなかったが、「小林聡美ともたいまさこやし、なんぞやってくれるやろ」と期待して入った。

 案の定、満員。
 しかし、映画が始まり話が進んでいくにつれ・・・、退屈! どこをどう見たらいいんやろう。

【ストーリー】
 タイのチェンマイ。小さなプールのまわりに集まる5人の6日間の物語。

 4年前、祖母と娘さよのもとを離れ、チェンマイの郊外にあるゲストハウスで働き始めた母・京子(小林聡美)。大学の卒業を目前に控えた今、さよ(伽奈)はそんな母を訪ねて、一人、チェンマイ国際空港に降り立つ。
 迎えに現れたのは母ではなく、母の仕事を手伝う市尾(加瀬亮)だった。小さなプールがあるゲストハウスにはビー(シッテイチャイ・コンピラ)という名前のタイ人の子供と不思議な空気感を持つオーナーの菊子(もたいまさこ)がいた。さよは久々に会った母が、初めて会う人たちと楽しそうに暮らしている姿をどうしても素直に受け入れることができず、戸惑いを感じていた。

 行方不明の母親に会いたいと思っているビー、母親探しを手伝うがなかなかうまくいかず、優しさが裏面に出てしまう市尾、余命宣告を受けている菊子、ひとりひとりの中にある現実、そしてそれを自然に受け入れつつ、相手を思いやりながら生きている人たち。彼らとの出会いにより、だんだんとさよは、心が開いていくのを感じ始める。
 4日目の夜、市尾が作った鍋を囲んでいた、さよと京子。どうして私を残して、タイにいってしまったのか、さよはずっと聞きたかった自分の気持ちを素直に母にぶつけた。

 キラキラ光るプールの水面に映る、それぞれの風景。
 好きな場所に住み、自由に生きている人たちとの素朴な心の交流の中で、やがて日本に帰るさよの思いはゆっくりと変わっていった…。

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 私が期待していたのは、小林聡美ともたいまさこの丁々発止のやり取り。それはどこにもなかった。二人ともごく普通の女優さんでしかなかった。がっくり。

 でもこの映画を見て、私が映画に求めているものが分かった。
 「オリジナリティと意外性と非日常」
 なんか、この三つともおんなじ様なことのような気がせんでもないが・・・。

 私が映画を見るときの一番の楽しみは、「意外な会話」。小林聡美ともたいまさこときたら、期待してしまうわね。ところが、この映画ではほとんど次にくる言葉が予想できた。「おっ!」と思うせりふがまったくなかった。これではなあ。
 そういう観点から選ぶと、やっぱり最近の最高傑作は「愛のむきだし」ですね。

 「プール」は現在まだ公開中の映画なので、悪口のようなことは書きたくなかったのだが、私のような人間には合わない映画でした。
 「小林聡美ともたいまさこ、もっと暴れさしたってくれー」 

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2009年09月17日(木)

「ミーシャ  ホロコーストと白い狼」 [映画]

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 泣いた泣いた。
 もうそろそろ終わりの時間とわかっていたので、あわててハンカチを取り出した。館内が明るくなった時、50代のオッサンがワンワン泣いてたら、そらおかしいやろ。

 最近は見に行きたい映画を見るというより、「京都シネマ通信」を見て、前日に決めるというパターンになってきた。
 「ミーシャ・・・」は、以下のように紹介されていた。

 2007 フランス、ベルギー、ドイツ合作/119分
 「ナチス占領下のヨーロッパ。 ユダヤ人の少女ミーシャは、強制連行された両親を探すため、3000マイルに及ぶ過酷な旅に出る。想像を絶する冒険の中、疲れ果て、諦めかけた彼女を救ったのは、森で出会った白い狼だった・・・。」

 「この内容の映画なら、すいている。」
 昨日水曜は、ほとんどの映画館がレディスデーということで女性1000円だが、「京都シネマ」はちがう。水曜にしか映画に行けない私にはこれは好都合。中でもマイナーな映画を選んで、ゆったりした気持ちで見たい。

 しかし、館内に入ってびっくり、「なんで、こんなぎょうさん?」
 以前、私が選んだ映画はたいてい10〜20人くらいのお客さんのことが多かったのに。このごろ勘がにぶってきたかな。

 でも(自分を差し置いて言うのも変だが)、「ホロコースト」でっせー、「白い狼」でっせー。ベルギーが舞台でっせー。普通は見んと思うけどなあ。

 映画の途中「それはないやろ」と突っ込みたくなる場面が何回もあったが、第二次大戦中のベルギーやドイツがどうであったかほとんど知らない。ミーシャのあまりにも悲惨な姿に、泣けてきた人もあったかもしれない。
 でも、私が印象に残ったのは、ミーシャが使いに行かされた農場にいた大型犬パパ・イタとママ・リタ。山の中で出会った狼3頭。そして白い狼が生んだ狼の子たち。

 東へ東へとポーランドまで両親を探しに行き会えず、ドイツ軍が撤退したベルギーまで戻ったミーシャの体はボロボロ。
 頭を丸刈りにしガリガリの体になったミーシャは、高熱を出しペットに横たわる。そこへ、農場のおじいさんが探しあて迎えにきてくれた。大型犬パパ・イタとママ・リタを連れて。
 パパ・イタとママ・リタは、横たわるミーシャを見つけるやいなやペットに飛び乗り顔をペロペロ。

 もう、あかん。あーん、涙が止まらんがなー。

 「いっしょに、農場に帰ろう。」
 「でも、パパとママが帰ってきた時に私を見つけられない。」
 「それなら、毎日ここに来たらいい。」
 「ほんとうに、毎日?」
 「ああ、毎日ね。」
 ミーシャは、決して両親が帰ってくることはないという現実を受け入れることはできなかった。

 このときミーシャは10歳くらい。今生きていても75歳くらい。遠い昔の話のようだが、そんなに遠い昔のことでもない。
 何も知らない私たちのためにも、こういう映画をどんどんつくってほしい。

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 ところで、映画に出てきた狼の子とそっくりなうちのきくは・・・。
 「やっと出ました、シップのかけら。」
 今日の朝の散歩で、きばったウンコが2回。その2回ともに、白いシップのかけらが入っていた。
 2枚飲み込み、1枚は「ゲー」、もう1枚は「ウンコ」。器用なことしよる。
 でもこれで、ちょっとひと安心。

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2009年07月31日(金)

「精神」 [映画]

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映画「精神」チラシ

◎毎日新聞京都版 〜映画を語る〜 (7月31日朝刊)

 「死にたい」「幻聴が聞こえる」 患者の心の叫び描く  ー想田監督の「精神」公開中ー


 岡山市の診療所「こらーる岡山」に通う精神病患者の顔を、モザイクなしで赤裸々に映し出した想田和弘監督の「精神」が、下京区・京都シネマで公開中。川崎市議補選に出馬した山内和彦さんの選挙活動を追った「選挙」に続く、想田監督の?観察映画"第2弾だ。「死にたい」「幻聴が聞こえる」――。患者らの切実な心の叫びは、精神病をタブー視し、目を背けてきた我々への警鐘のようだ。「精神科を覆っている見えないカーテンを、カメラの力で取り除いてみたかった」――。想田監督のこの思いを、私たちはどこまで受け止めることができるのだろうか。【小川信】

 20代で燃え尽き症候群を経験し、あるテレビ番組の編集で精神的に追い詰められたこともある想田監督が、精神科にカメラを向けようと考えたのは03年の暮れごろ。義母の仕事を通じて面識のあった「こらーる岡山」へ撮影を依頼した。
 「カーテンを取り払いたいのにモザイクをかけるのはおかしい」と考えた想田監督。出演は患者同士らで会議を開くなどして決めたが、作品の完成後も感じようが揺れ動いた患者もいたという。「モザイクをかけると、顔が見えなくなって患者が記号化してしまう。差別され、根拠もなく恐れられる原因を、自ら生み出すわけにはいかなかった」と語る。
 確かに映し出されているのは、「患者」というレッテルを張ってひとくくりにできる人たちではなく、多様な個性を持ち、様々な表情を見せる人たちだった。過去を語りながら、にこやかに詩や俳句に興じる人たち。自らの壮絶な半生を淡々と語りながらも、子どもからもらった手紙を嬉しそうに紹介する女性――。幾通りもの人生や日常があった。
 我々が腫れ物に触るように接してきた精神病を取り巻く本質は何なのか。想田監督は言う。「僕らは傷つけたり迷惑をかけることを恐れ、人間関係が希薄化している。でも、人間は1人じゃ生きていけない。望んで1人になったのに、その孤独に耐えられないでいる」
 誰かとつながっていたくて、でも煩わしさからは逃れたいと考える現代人。「こらーる岡山」の人たちは、そのことを私たちに教えてくれているのかもしれない。

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映画「精神」パンフレット(500円)

 この映画を見る人は20人くらいかなあと思っていた。
 しかし、どんどんどんどん席が埋まっていき、最終的には入れなかった人までおられたようだ。フシギ!
 いったいどんな人がこの映画を見に来られているのだろう。映画の内容より、こちらのほうが気になった。
 とか何とか言いながら、かくいう私も「なんで?」と思われる方が多いでしょう。

 一般的な(平均的な)感想を書いてもしょうがない。ここは、きわめて私的な映画評を・・・。

 直接的な要因は、「実名を出し、モザイクをかけない」という潔さである。人の言葉は、そのときの表情とともに記憶するものである。仮名やモザイクではその印象は半減してしまう。

 (ここからは、超私的に)
 私は京都のいなか育ちなので、小さい時から精神病患者に会ったことがない。でも、何でもかんでも興味があったので、「狂」という文字が入っている本などはよくこそっと読んでいたものだ。だから、そういう人を避けるというより、興味深く観察するほうだったかもしれない。

 私が初めて精神病患者に会ったのは、大学時代。府立病院の地下のパン屋さんでアルバイトをしていたときのこと。
 当時も今と変わらずなーんも考えてへん人間だったので、患者さんが店に来られても気づかなかった。雇い主のオバちゃんから、「あの人ちょっと変わってるやろ。精神科にかかってはんねん。」と言われるまでは。
 それでも、そういう人たちと関わることは全然いやではなかった。このころから、お気楽だったんですねえ。

 そして、運命の日。
 いつものように牛乳の三角パックを自動販売機に補充しているとき、ものすごい美人の看護学生が私のまわりをうろうろしていた。とんでもない美人だったので、私は無視するしかなかったのだが・・・。それでもいやに近づいてくる。
 しゃーないなあ。私はその彼女をおちょくるように、変な顔をして下から見上げた。
 そしたら、彼女の目から大粒の涙がボロボロ・・・。
 走り去る彼女を追う私。
 なんやよう分からんかったけど、その場をとりなし店に戻る。

 雇い主のオバちゃんが、「藤井君、あの子となんかあったんか。」
 「いやー、さっぱり分かりませんねん。なんちゅうたって、初対面ですもん。なんか、ボクとしゃべりたかったんですって。変わってますよねー。」

 そして、その後、その子は何度も店に来るようになり、私の空いている時間にデートのようなこともするようになった。
 いろいろ話してやっと分かった。その学年ナンバーワンの美人と言ってもいい彼女は、看護学校卒業を控えて悩みに悩んでいた。ご両親が教師であり(お父さんは校長)、兄と妹も親の期待通りの進路(教職)を進んでいる。そして自分ひとり京都の看護学校へ進んだが、中途半端な状態が続いている。また、高校時代に好きだった彼氏が忘れられない。
 そんないろいろなことが複合的にのしかかってきて、おかしくなって精神科に通うようになっていた。

 彼女は、私の話をいつも一生懸命聞いていた。何でもかんでも、「それで、ええんちゃうん」という私がフシギでしょうがなかったらしい。彼女の口癖は、「そんなふうに考えられたらいいね」だった。
 しかし、会うたびに不安定で、話している途中突然「プィ」と怒り出して、私が気を使って着せたジャンバーをそのまま着て帰ってしまったこともあった。(そうや、あれは冬のことやったんや。)

 ある日。
 「これ、もらってね。」
 彼女が大事にしていた手帳に張っていた自分の写真を、突然ピリッと破って私にくれた。(まるで、映画のワンシーンのように。)
 その後、彼女は富山の実家へ。
 お別れの記念に、あの写真をくれたんやね。あの写真どこへいってしもたんかなー。

 彼女が実家に帰ってだいぶたってから、彼女に会いにいったことがある。
 びっくりした。
 学年ナンバーワンだったはずの彼女は、2倍くらいにふくれていた。全然覇気がなく、ほとんど話もできなかった。今思えば、あれは薬の副作用だったんでしょうね。
 雨の日本海沿いの道をドライブし、途中でいっしょにラーメンを食べ、家に送り届けた。それ以来、会っていない。

 あれから30年ほどがたつ。
 この映画を見て心配になった。
 今、精神病の一番の症状は「自殺願望」だそうだ。
 この映画の一番の印象は、映画の終わりに「追悼」としてそれまで出ておられた3人の方のお写真が出たことだ。1年ほどの間に亡くなられた。これは、たぶん自殺でしょう。

 精神病に対して私が勝手にイメージしていたのは、やせ細った芥川龍之介。でも、今は、薬の副作用で太ってしまった自殺願望の強すぎる人たちである。

 彼女は私の一歳下。まさか、自殺なんてしてないよな。
 生きとってくれー!

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想田監督の著書

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