パオパオだより

2018年11月07日(水)

重い荷物を一緒に負って [沖縄]

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埋め立て工事が進む米軍キャンプ・シュワブの沿岸部=9月16日

◎毎日新聞11月7日朝刊・記者の目

   普天間移設 菅官房長官の発言 
           正確な事実踏まえ説明を=三森輝久(熊本支局・元那覇支局)

 10月25日本紙オピニオン面「論点」に掲載された米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設を巡る菅義偉官房長官の言葉に暗たんたる気持ちになった。菅氏が移設の経緯を正しく説明していないからだ。

 20年以上ある歴史の中で移設計画は変容したが、菅氏はその過程にあった政府の不誠実な対応に言及していない。国民が菅氏の説明をそのまま信じれば「移設を巡り、沖縄の側が政府との合意を翻した」と誤解するだろう。県内移設を拒む沖縄の人々を「反日」などとおとしめるゆがんだ「沖縄ヘイト」にもつながりかねない危険な言説だ。

 菅氏は常々、移設について沖縄の人々に「丁寧に説明したい」と繰り返してきたが、2005年から5年間那覇支局に勤務して移設問題を追った記者として、国民に誤った認識が広がらないよう、丁寧に説明したい。

 菅氏は次のように語った。
 「22年前(1996年)のSACO(日米特別行動委員会)合意で普天間飛行場の全面返還が決まり、地元の市長と知事の同意を得て辺野古への移設を閣議決定したという経緯があるわけです」「これはもともと地元と話して決めたことじゃないですか。日米合意以来、沖縄や政府の関係者が努力を重ねてきた。辺野古の工事も、地元知事の埋め立て承認をいただいて決まったことをやってきたわけです」

 素直に読めば、日米合意を基に政府と沖縄が話し合って移設計画をつくり、政府はその計画に基づいて埋め立て工事を進めている―と受け取るのが普通だ。

 ■19年前閣議決定 現行計画と違う

 しかし、実際はそうではない。菅氏が言う「閣議決定した」計画は、V字形2本の滑走路を備えた現行計画ではなく、その前身、辺野古沖2.2キロの海上を埋め立てて滑走路を造る当初計画のこと。この二つは似て非なるものだ。

 当初計画の起点は、日米合意後の98年、稲嶺恵一氏の知事当選にある。稲嶺氏は「苦渋の選択」として「15年使用制限」「軍民共用空港」の条件付きで県内移設を容認し、99年11月、名護市の岸本健男市長(故人)に辺野古沖を移設場所として受け入れを要請した。岸本氏は同年12月27日、15年使用期限や基地使用協定締結など7項目を条件に容認。政府は翌28日、「使用期限については米国政府との話し合いで取り上げる」などとして7条件を受け入れた形で移設方針を閣議決定した。政府と沖縄県、名護市はその後協議を重ね、02年7月に辺野古沖移設計画をつくる。しかし、この計画は反対派の海上での阻止行動などで進まなかった。

 ■ほごにされた条件付き容認

 流れを変えたのは小泉純一郎政権だ。05年、世界規模で米軍配備の再編を進めていた米国と協議し、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ陸上部を造成し、あわせて沿岸部を埋め立てて1本の滑走路を整備する計画に変更した。この計画だと、反対派が入れないシュワブ陸上部から海の埋め立てができる。移設場所は当初計画より辺野古の集落に近くなった。この時、政府は沖縄県や名護市に相談せず、了解を得ないまま米政府と合意した。そして15年使用制限などの7条件も雲散霧消した。

 沖縄県からすると、苦渋の選択の末に条件付きで容認し、政府と協議して決めた移設計画を、基地固定化を防ぐためのの綱だった使用期限などの条件とともに一方的に破棄され、計画変更されたことになる。この経緯を那覇支局で取材していた私は、沖縄側のすさまじい怒りを今も覚えている。日米両政府の合意は当時、米軍再編中間報告と呼ばれたが、知事側近は地元を説得してつくった条件付き移設計画をほごにされ「何が中間報告だ」と言い捨て、別の側近は「こういうことに対する沖縄の怒りに、保守も革新もない」と語った。

 現行計画に地元同意があったとすれば、中間報告案を現行計画に修正した06年の政府と名護市の協議だろう。だが、当時の島袋吉和市長は岸本元市長の7条件を無視して容認したため支持市議の離反を招き、次期市長選での落選につながった。地元の納得を得たとは言えない合意だった。稲嶺知事も計画を容認しないまま退任している。

 埋め立て承認は13年、次の知事だった仲井真弘多氏多によるものだが仲井真氏はその3年前の知事選で「県外移設」を公約に当選し、埋め立てを承認するまで現行計画を容認するとはただの一度も言わなかった。県民の信任はなかったのだ。

 政府が沖縄との合意や条件をご破算にした経緯があるにもかかわらず、菅氏は「論点」で一切語らず「地元と話して決めたこと」を「やってきた」ことにした。玉城デニー沖縄県知事が辺野古移設に反対する現状に照らせば、政府と協議して決めた計画を、今になって沖縄が態度を翻したをと誤解されかねない。

 沖縄の人々が訴えているのは、米軍基地という重い荷物を、本土も一緒に負ってほしい、なぜ沖縄だけに負わせるのかという、根本的な疑問である。政府は正確な事実経過の上に立って説明を尽くし、その疑問に向き合わなければならない。
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 県内移設を拒む沖縄の人々を「反日」などとおとしめるゆがんだ「沖縄ヘイト」人よ、せめてこれくらいの記事を読んでから発言せーよ。

 今日の毎日新聞の「記者の目」はよかった。どこかでコピーできるかと探してみたが、この記事は有料記事らしい。
 全文2056文字中、非公開の残り1746文字をポチポチと打ち込みましたがなー。多くの人に読んでもらいたいなあ。

 それにしても、菅官房長官!
 自分にとって都合の悪いことはできるだけ隠して、うまいことごまかしたらええと思っている腹黒人間・・・。
 おっ?
 それって・・・。
 わしや、わしや。

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【今日のきく】

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 水曜恒例、17時間バイト帰りの深夜お散歩。
 「腹黒パオパオ」と「背黒きく」のツーショットを撮ろうと思ったが、きくはあっちを向いてしまった。背黒も写ってませんね。

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 これが、きれいな「きくの背黒」。

Posted by パオパオ   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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