パオパオだより

2009年07月23日(木)

「紫野対鳥羽」−山田君の涙ー [学校]

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 紫野高校応援席に向かって一礼したあと、一人の選手が崩れ落ちた。その選手を抱き起こし、いっしょにベンチへ向かう4人。
 泣き崩れていたのは、「サヨナラ」のマウンドにいた山田投手。助け起こしていたのも、たぶん3年生。みんな、うちの廉と同じ高校の同級生。
 とてもじゃないけど見てられん。ああこの子らは、本気で甲子園をめざしてたんや。

 延長14回裏サヨナラ試合。4時間近い熱戦の幕切れは、2アウト満塁ツースリーからの押し出しだった。あまりにも残酷な・・・。

 しかし、見る側から言わせてもらえれば、こんなすばらしい試合はなかった。野球はチーム対チームの戦いだということを、ひしひしと感じさせてくれるゲームだった。

 こんな長い試合だったのに、真樹も感動していた。「見に来てよかった」と何度も言っていた。
 

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 西京極球場の近くに駐車場の空きが見つからず、だいぶ遠いところにとめたため、球場に着いたのは試合開始予定時刻を15分ほど過ぎていた。しかし、その前の試合が長引いていたようで、私たちが着いたとき、まだ試合は始まっていなかった。

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 球場は、ほとんど日陰がなかった。
 どうせ暑いのなら、3塁ベンチのすぐ近くにすわろう。選手の表情もよく見えていい。

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 紫野高校の先発は、長身右腕の上田投手。左腕山田投手は、センター4番での先発となった。

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 1塁側鳥羽高校は、赤いメガホンでの応援。

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 試合開始。
 元気のいい掛け声とともに、ホームベースまでダッシュ。

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 紫野高校はチア部による応援だったが、真横なのでよく見えない。

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 真樹は、自分から「見に行きたい」と言った。なんでやろう。

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 ベンチ中央におられる谷監督。
 体育の先生ですが、実は「京都キャロット」のお得意様です。知る人ぞ知るサブスリーランナー。とにかく、部員を走らせまくることで有名です。

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 廉は自分の学校であるにもかかわらず、応援に来ず。
 私たちの周りには、紫高生らしき子がいっぱい来てるのに・・・。

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 反対の1塁側まで行って、紫高チア部も撮っておいた。

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 紫野高校一番打者。 

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 真樹は炎天下なのに何の不満も言わない。
 しっかりと、高校生たちのがんばりを見つめていた。

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 私の横に座った紫高生が、おもしろいことを言っていた。
 「さっきまでテレビで見てたんやけど、名将(谷先生のことらしい)、サインバレバレやぞー。こればっかりやから。」(と言いながら、左手首をさするしぐさ。)

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 この大会は、第91回だそうです。すごい歴史です。

 ここから3枚は、4番バッター山田選手の華麗なフォーム。

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 見事な選球眼で、フォアーボールゲット。

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 試合開始1時間後くらいから、太陽が雲に隠れる時間が長くなってきた。一時は暑さで倒れるかもしれんと思っていたが、何とか持ちこたえた。

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 紫野、鳥羽はともに公立高校。通学地域が限定されている公立高校が、よくここまで勝ち進んできたものだ。

 紫野は、左右の2枚エースを擁し前評判も高かった。しかし、私の目には、相当練習量をこなしているチームだとうつった。牽制からの挟殺が2回、バント処理でランナーを殺すことも数回。盗塁刺殺も数回。これは、かなり練習を積み重ねないと本番で成功しない。
 3試合連続完封で勝ち上がってきたのは、ピッチャーの力だけではないことがよくわかった。「連携力」のあるチームである。

 一方、鳥羽は「何があっても前へ前へ」というチーム。積極的というか、やや雑というか・・・。
 しかし、それを貫き通して勝ち進んできたことがうかがえる。何回も連続して盗塁を刺されているのに、また走ってきたときはびっくりした。
 チーム全体に、「失敗を恐れず前へ」という考えが徹底されていた。

 両方とも、すごくいいチームである。どの子の顔もイキイキしていた。
 どちらが勝ち進むにせよ、「公立高校の希望の星」になることはまちがいない。(この時点で、公立のもう一校、塔南高校もベスト8に残っている。)

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 3回に1対1になってから、本当に目が離せなくなった。

 7回に鳥羽が1点取りなお満塁。そこで紫野高校先発上田投手は降板。センターから山田選手がリリーフ。見事な火消し。
 9回表、それまでさっぱり当たりの出なかった5番打者矢田選手が起死回生の同点打。

 そこから延長へ。
 球場のフンイキは、延長15回同点で再試合もありか、という感じだった。

 延長何回か忘れたが、紫野の先頭打者がセカンドゴロ。それを鳥羽の二塁手がお手玉。この二塁手は、この試合3個目のエラーであったと思う。
 このときだけは、鳥羽を応援した。「なんとか、このエラーから決勝点が生まれませんように・・・。」
 この回の鳥羽の守りはすばらしかった。「絶対におまえ(二塁手)のせいにはさせへんぞー」という気迫が感じられた。

 私は、この回の鳥羽のまとまりが今日の勝因であったように思う。一人のミスをチームのミスと思い、一致団結して挽回する。これが、団体競技の醍醐味です。
 

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 試合終了。
 紫野高校3年生にとっては、ここで高校野球のすべてが終わりを告げた。

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 鳥羽高校の校歌斉唱。

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 紫野高校応援席に向かって一礼。一番深々と頭を下げられていたのは谷監督だった。(右から2人目)

 家に帰って廉に確かめたら。本当に谷先生は「名将」と呼ばれているらしい。公立高校をここまで導いたのだから、確かに「名将」である。ちょっと谷先生を見る目が変わってきたかも・・・。

 こんな機会はめったにないのに、廉も見に来ればよかったのに。真樹はこの試合を見て、自分なりにいろいろと考えるところがあったみたいよ。

Posted by パオパオ   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

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コメント

 「母」さん、コメントありがとうございます。
 去年の紫野対鳥羽は、本当に歴史に残る名勝負であったと思います。うちの娘も、「見に来てよかった」と何べんも言っていました。
 息子さん、たぶん4月から大学生だと思いますが、野球を続けられますか。あんないい試合を経験した子ですから、きっと大きく羽ばたいていかれると思います。
 若い子が一生懸命に取り組む姿から、私ら中年も学ぶところが多いです。「いい試合を見せてくれて本当にありがとう」と言いたいです。

パオパオ 2010年03月27日 22時31分 [削除]

久々にネットで色々と検索していて、この画像にあたりました。山田君をかかえながら歩いてるのはうちの息子ですね。
たくさんの方々に応援いただいた夏。ありがたかったです。

2010年03月27日 14時50分 [削除]

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