2008年03月02日(日)
第28回篠山ABCマラソン [ランニング・出張販売]
私の初フルマラソンは、1982年2月の勝田マラソン(茨城)。
当時26歳。大原小学校百井分校で、1年生1人・2年生1人の複式学級の担任をしていた。
そのころ、テレビで脚光をあびていたのが増田明美さんだった。あの人のインパクトは、強烈だった。小さい体で日本新を連発。そして、顔はブツブツだらけ。何か神がかりのような、もののけにつかれているような独特のふんいきがあった。
あの子があんな楽々と走ってるんやったら、自分も絶対走れるはず。そういう思いがきっかけで、その年の正月から走り始めた。 ( このころ走り始めた人は、絶対増田明美さんの影響やと思っていたが、周りの人に聞いてみたら、そんな人は全然いなかった。)
練習40日(実質20回・100kmちょっと)で本番に。
前日泊まった宿は20人くらいの大部屋で、「修学旅行みたい」と喜んでいたら、みなさん無口でびびってしまった。たぶん9時くらいに消灯したはずだ。
翌日のスタート。これまたびびった。何千人という人が、静かにスタートを待っている。スタート後も、誰一人しゃべらない。大勢の足音だけが、「ザッ、ザッ、ザッ」と。
これは、しびれた。たまらん。みんなだまって前を向いて、黙々と。こんな世界、なかなか経験できんぞ、ほんま。
その時、私はたった40日の準備期間でサブ3をねらっていた。( あほかいな。)
30kmすぎまでは目標を上回るタイム。( なーんや、フルマラソンてこんなもんかい。)
ああ、甘かった、甘かった。その後は、説明いりませんよね。ゴールタイムは、3時間29分30秒くらい。
その次に出たのが、篠山マラソン。勝田の次の年(1983年)だった。すごい冷たい雨が降り続き、お腹が冷え、へろへろのゴール。それでも、3時間50分くらいだったと思う。
あれから、もう25年。
1回10マイルに出場( なんと、60位。1時間1分。はや)、1回ヨメさんの伴走、1回大雨でやめ、1回「4時間以上かかったら、きっぱりやめる」と言って越えてしまった翌年やめ。( 「なんで走らへんの?」とあんまり言われるので、またその翌年から出場したが、その後一度も4時間を切っていない。)
25−4=21。今年完走したら、22回目か。
ただ、だらだらと4時間も走るのはもったいない。
テーマを決めて走ろう。
今回のテーマは、「道端にいる犬は、すべて食べつくす。いやいや、もとえ! すべて撮りつくす。( ただし雑種に限る。)」
このテーマ一本で行こうと思っていたら、朝、うちの出店テントにめずらしいお客さんが来られた。( 毎年、篠山観光ホテルさんの駐車場をお借りしています。スタートアーチの前。)
ソックスを買われ、すぐはきたいということだったので、ビニール袋から出していると「京都ランナーズの外峯です」の声。お顔も見ずに話していたので、全然気づかなかった。
「いやあー、来てはったんですか。
ますみちゃん、この人、めっちゃ速いんやで。前ゆうとったやろ、ちっちゃい子二人いやはって、メール便の配達してはって、毎日5時間しか寝てはらへん人。( 昨年7月の京都ランナーズビアパーティで同席し、このへんのことをお聞きしました。すごく元気な若手の美人お母さんランナー、という印象でした。)
ところで、今日はどれくらいの目標で・・・。」
「あんまり練習できてないし・・・、一応3時間20分は切りたいとは思ってるんですけど・・・。」
「すごい! ( もうすぐ、私の最高タイム3時間11分抜かれるがなー。) がんばってくださいね。」
「あっ、あのブログ、楽しく読ませてもらってます。」
「えっ! ありがとうございます。初めてです、そんなんゆうてもうたん。
あっ、そやそや、外峯さん、ブログに載せてもいいですか? 折り返しで、絶対見つけて写真撮りますし。走ってはるとこも、めっちゃかっこいいし。」
「えー・・・(ニコニコ)」
「そしたら、事前承諾ということで。よろしく。」
「・・・(ニコニコ)」
( あの笑顔は、かまへんという意味と解釈して、っと)
「藤井さん。外峯さんは、京都ランナーズのホープやから、しっかり書いてや。」 と京都ランナーズ会長・冨田氏の声。( ご本人は頚椎圧迫による障害からのリハビリ中で、まだ走れません。)
「○○さんて速い人いるやろ。ハーフ1時間16分なんやけど、どうしてもサブ3いけへんらしいわ。今日こそサブ3ゆうて意気込んでたけど、どうやろなあ。」
「若い時のボクみたいな人いやはんにゃ。ボクもハーフ1時間20分で、フル3時間11分が最高ですもん。」
「イーブンペースで行ったら、楽々切れそうなもんやけどなあ・・・。」
「それができませんねん。速い人は、知らん間にオーバーペースになってしもてね。」
「そうやね。」
自分は走れなくても、こうしてみんなのまとめ役として篠山まで来られている冨田さんは、えらい! 昨年11人にまで減ってしまった京都ランナーズマラソンバスも、今年は倍の大盛況。よかった、よかった。
10時40分、陸連登録の部がスタート。
「藤井さーん」の声。よく見ると、岡山の小さなウルトラランナー貝畑和子さんだった。それにしても、前から5列めあたり。やる気満々。「貝畑さん、こんな短いレースも出やはんにゃ。」とは、ヨメさんの言葉。「うん? 短い?」
その後、有森さんが横をしゅしゅっと抜けて前の方へ。うちの店の前で、脱いだレインコートを置いていかれた。
10時50分、未登録の部がスタート。
走り始めたら、気象条件としてはまずまず。ちょっと暑いかなと思ったが、去年のムシムシに比べたら快調快調。
ウェアとシューズはかなり悩んだが、結局、やまねこマラソンバージョンにした。( シューズはゲルヌーサトライ、赤Tシャツに黄ランパン。)
少し進んだ所で、自分のペースを分析すると、だいたいキロ6分ペース。「このまま行ったら4時間13分? 全然あかんやん。」って、何へんな色気出しとんねん。今日のテーマは、サブ4ちゃうて。犬撮りと外峯撮り。邪心を払いたまえー。
「犬、犬、犬、犬・・・」と道路の端ばっかり見ながら走っていたが、意外と見つからない。5kmすぎにやっと おとぼけ顔の犬が。
そこを過ぎると「がんばってはりますやん。」の声。「はい、がんばってまっせー。」 だれかようわからんけど、たぶんうちのお客さんや。あいそようしとかんと。
また少し進むと、コースから10mほど離れた所にかわいいワンちゃんが。
「写真撮らせてください。」とお願いすると、ワンちゃんも飼い主さんもしっぽがたれていた。
こわかったんやろね。
ごめんねー。
さらに進むと、またこわがり犬が。名前は、リリーちゃん。たばこすってはるおっちゃんの陰にかくれていた。
しばらくすると、抜いていき際に、「キャロットさん、いつも通販でお世話になってます。」の声。「上から下まで全部キャロットです。」「それはそれは、ありがとうございます。」 ( 後で調べたら、舞鶴の上野さんでした。)
またまた進むと、今度はコーギーぽい犬が。
じょうとうの犬はちょっとにがてやし、写真はやめとこかと思ったら、なんかむこうからくいついてきよる。こら撮らななあ。
めっちゃかわいいーハァーハァー犬の名前は、ゆめちゃんでした。
ちょっと、うちのきくに似てました。
「犬、犬、犬、犬・・・」ときょろきょろしながら走り続けていると、デカ! 牛さんですやん。
「名前は?」
「名前は、ついとらん。」
「まだ、子牛ですよね。」
「そや。」
牛さんの目見てたら、もうちょっとゆっくりしていきたくなった。(鼻、なでなでさしてもろた。)
また、めちゃくちゃかわいい犬が。
「手術しやはったんですね。」
「はい。おとついしたばっかりで。傷口なめたらあかんからね。」
「かわいなー。」
(ぺろぺろぺろりん。)
「ワンちゃんのお名前は?」
「ケロ言いますねん。」
「ケロ? ケロちゃんかわいい名前やなあ。」
(ぺろぺろぺろりん。)
この時、はっと気がつくと、もう20km。1時間51分23秒。犬さんらのおかげや。こんなにたいくつせんと走れたんは。
前から、「フォー、フォー」と、テンションの高い声。
あ、あ、あ、ありもりさん。そうや、毎年ここらで待ってはるんや。こちらも例年通りそこを素通りし、その先の簡易トイレへ。
それまでは2基ずつしか置いてなかったが、ここは5基。余裕で使えると思っていたら、前に人が・・・。しゃーないな、待たな。3分ほどのタイムロス。
この後、重大な異変が・・・
犬がいない。全然いない。20kmで5ひきやから、ゴールまで2けたは越えるなあと思っていたのに。
「犬、吸わしてくれー」と、麻薬中毒者みたいに目が血走っていたかも。
ここは仕方なく、哲学の道へ。
カントの「純粋理性批判」は・・・
ヘーゲルの「弁証法」では、テーゼ・アンチテーゼ・アウフヘーベン・・・
あっ! 私が、ニセ哲学科出身だということまで、すっかり忘れていた。知っているのは、お題目だけ。中味は、全然知りませーん。
中間点、2時間をちょっと過ぎただけ。(まだ、サブ4の可能性あり・・・って、もうあきらめなさい。)
ここらあたりからが、つらかった。吸える犬が、まったくいない。自分は何のために走っているのか、と悲しくなってきた。
やっと25km。ここは、折り返してきた人と合流する所(むこうは約36km)。
男子の前の方のランナーが次々とゴール方向に向かっているので、心配になって道端の人に聞いてみた。
「女子のトップ、行きました?」
「まだですよ。」
よかった、よかった。ここで気持ちを切り替えて、犬撮りから外峯撮りへ。
しばらく走ると、女子登録の部のトップが。未登録は10分後にスタートしてるから、10分後くらいからカメラの用意をしたらいい。
10分後くらいからカメラを持って走ったが、外峯さんぽい人が多い。何回もまちがって撮ってしまった。私のカメラは長い時間スタンバイ状態にしておくと、スリーフ゜してしまう。これで今まで何回も、決定的なシャッターチャンスを逃してしまった。
カメラをいじくりながら、へんな走りをしていたと思う。とその時、来ました、来ました、今度こそ。
「そとみねさーん」
「(無言のガッツポーズ)」
よかった。
一瞬のシャッターチャンス、ゲット。
確かそこはこっちの28km付近だったので、この時点で5km以上先行されていることに。
元気そうに見えたし、きっといいタイム出るな。
ほっと、ひといき。
折り返し(30.6km)では、イノッキーの応援。
「はい、にっこり」って言ったけど、それは無理やわな。
このあたりから、だんだん冷え込んできた。犬はおらへんし、外峯さんの写真も撮ってしもたし、ああちゅらい。
いつもは食べない猪汁に手を出したが、猫舌の私はなかなか食べられません。
残り5kmからは、久しぶりの夢の中。
残り4kmの付近に、犬! まぼろしかな、と一瞬思ったけど間違いなく犬だった。
「写真撮らせてください。(ほんとうは、犬ねぶらしてください、と言いたかった。)」
「○○○ちゃん、写真撮ってくれるって。はよ、そっち向いたげ。」
「えっ! ランナちゃん? いい名前やねー。」
ぼけてました。本名は、ナナちゃんでした。
このナナちゃんのおかげで、ちょっとだけ息を吹き返し、どうやらこうやらゴールすることができました。
4時間16分43秒。
まあまあか。
ゴールして、うちのテントの所に戻ろうと歩いている時、放送が聞こえてきた。
「未登録女子の表彰を行います。1位・・・、2位・・・、9位・外峯陽子さん・3時間19分○○秒。やったー! 入賞やし、3時間20分切りやし。有言実行、やりよんなあ。ひとごとながら、すごくうれしい。(でも、そら耳ちゃうやろな。)
テントに戻ると、めずらしくヨメさんが話しかけてきた。
「こうじさんが喜ぶことあんで。
さっき、福井のお客さんが来てくれはってなあ、こうじさんのブログ読んだって。
その中で、<ひめゆり>のことが書いてあったんが一番よかったって。
よかったなあ。
あれ、一番熱心に書いとったもんなあ。ちゃんと見てくれてはる人、いやはんにゃ。
そうやってちょっとずつでも同じ考えの人が増えていったらええやん。よかった、よかった。」
「そうかー。あー、よかった。そんなんやったら、感想とか書き込みしてくれはったらよかったのになあ。でも、ひとをけなすのは簡単やけど、ほめんのんてけっこう難しいもんやしな。」
「そうやで。」
「でも、ブログ愛読者が二人も名乗り出てくれはって、よかった。今日のことも、しっかり書こうっと。」
市役所前のおっちゃんの屋台のラーメンを食べるのを楽しみにしていたのに、今年はいやはりませんでした。がっくり。(おっちゃん、どうかしたんかな。)
代わりに何か食べんとと思ってそこらを歩いたら、「うどん・そば」ばっかりで、ラーメンがどこにもない。あげくのはてに、まったくちがう「牛とろろ丼」を注文してしまった。
元気な時ならおいしかったやろうに、牛たたきが気持ち悪うて気持ち悪うて。半分も食べられへんかった。もったいない。
戻ってその話をヨメさんにしたら、「自分の好き勝手なことして、しんどくて、もの食べられませんやて。何、ぜいたくなことゆってくれてんのかな。」としかられました。
今回のレースの総括。
「できたら、雑種犬を2,3kmおきに配置してほしい。(給水所ならぬ給犬所?) それがむずかしいのなら、沿道で犬を飼われている住民のみなさん、ぜひ犬を連れて応援に。(私設・犬エイドステーション)
来年は、どうかよろしくお願いします。」(わけ、わからん。)
それにしても、今年撮らせてもらった犬はみんなメス。なーんでかな。オスは、やっぱりあんまりかしこないのかな。人間といっしょで・・・。
Posted by パオパオ トラックバック ( 0 ) コメント ( 1 )
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コメント
篠山、お疲れさまでしたっ!
あちらでは レース前で慌ただしい雰囲気やったし
ゆっくりお話できなかったんですが・・・
ほんま 私・・このブログのファンっというか、藤井さんのファンでもあり(私の中ではジャパニーズ スティーブマーティン) 奥さんのファンでもあり 素敵な一家やな〜〜って思ってたから わざと キャロットさん目当てに靴下買いに 行ったんですぅ〜
前日に右京区のヨロズヤスポーツ店に買いに行かなって
思てたんですが そやそや、明日・・・篠山、キャロットさん来はるやんっ!って。
そやから 行ったんですが ブログ載せてもらうんやったら もっと カッチョええもん買うたらよかったわ〜っと
思てます。
あれからの私のレースの結果はご存じの通り、目標タイムギリギリでした。 ゴールが全然見えへんとこから 3時間20分へのカウントダウンが始まり、一回は もうアカン、私はこのままヘタレで終わってしまうんや・・と死滅しかけましたが 京都ランナーズの先輩や友人から、藤井さんにも激励してもらいスタートラインに立ったのを思い出し このままでは女がすたる〜〜!おっしゃ〜!やったるで〜!っと。。そこから よく憶えてませんが 篠山では初めての表彰台、そして3時間19分50秒の賞状を手にし あ〜〜・・涙、涙・・でしし汁の肉がようわからなかったので もう一杯おかわりしました。
やはりマラソンは 自分一人では走れないんや〜感謝、感謝。
さて 次週は初めてシティハーフのペースランナー、努めさせてもらいます。一人でも多くの人と感動分かち合って
一人でも多く目標達成してもらえるように 梅干し食べてスッパマンの顔でゴールに向かいたいと思います。
また 店にも寄せてもらいますので よろしゅうお願い
致します!