パオパオだより

2008年03月05日(水)

ある学校の「校長先生のお話」 [学校]

 もう20年以上も前の話になるが、「まるむし商店」という漫才コンビが一世を風靡した時があった。磯辺校長・東村体育教師がかけあう「校長先生のお話」は、ワンパターンなのに何べん見ても涙が出るくらいおかしかった。

 「注目! 磯辺校長先生に注目! 我が校では、このたび○○○○することになりました。つきましては、校長先生よりお話があります。みんな心して聞くように。では、校長先生よろしく。」
 「えー、皆さん」
 「ほらそこ! 話すな! 今、校長先生が話してるやろ! 静かにしとけ! では、校長先生よろしく。」
 「えー」
 「ほらそこ! よそ見すんな! 今、校長先生が話してるやろ! ちゃんと聞いとけ! では、校長先生よろしく。」
 「えー」
 「ほらそこ! 何しとる! ○○! ○○! かんばやし! 」
 「えー」
 「コラッ!」
 「うるさいなあ君、私がしゃべれないでしょうが。えー、皆さん、我が校では、このたび○○○○することになりました。これも皆さんの応援があってのことだということを、先生、知っています。」

 ある中学生に聞いたところ、この話にそっくりな場面を見たことがあるらしい。
 その学校の校長先生は、どこかで聞いたような話ではなく、いつも自分で考え、自分の言葉で工夫して話されている。( これは、立派。)
 ただ、今の子どもらは長い話をじっくり聞くというようなことはにがてで、ついつい私語を交わしてしまう。
 そこで、東村先生みたいな先生が、突然登場。
 「君ら、聞いとんのかー!」と後ろの方で大声が・・・。
 みんな、何事かといっせいに後ろを振り向く。その結果、きちんと聞いていた子まで、何の話だったか忘れてしまう。( 何か、へんですよね。)

 その校長先生は、すごくていねいな学校便りも出されている。いつも、詩を引用されたり、本の一部を紹介されたり、学校行事でも実態がよくわかる説明をしてくださったり、と保護者にしてみれば本当にありがたい。
 その学校は、そこにとどまらず、学年便り、学級便り、と競っておられるのかと心配になるくらいたくさんのお便りが出されている。
 私が話を聞いた中学生は、その前の学校では学校便りが出ておらず、簡単な月予定表しか見たことがなかった。

 最新の学校便り・3月3日号もよかった。
 お決まりの季節のあいさつではなく、実際に校長先生が見られたのであろう朝の校門あたりの描写から始まっていた。
 その後、俳人曾良と芭蕉の話になり、本題である受験生への励ましの言葉へと続く。

 ある評論家が、「よく読まれる文章の要素は、内容5割、文体5割。時には、文体の要素が上回ることもある。」と言っていた。
 毎号感心することだが、この校長先生の文章は流れるようにきれいだ。いつも、スラスラ一気に読めてしまう。
 今回もそうだったのだが、一箇所だけちょっとひっかかってしまった。

 「(励ましの言葉に続き) 当たり前のことしか、言ってませんね。でもね、勝利は当たり前のことをきちんとしていく中にあるのです。君たちをいつも見ているご家族は、・・・」

 「勝利?」
 入試は、勝負? 
 勝利と敗北を決めに行くの?

 たぶん、この校長先生は、「自分に負けるな勝利せよ」という励ましのつもりで書かれたのだと思う。今まで書かれてこられた文章から判断しても、入試の合格不合格を勝利敗北に例えるような方ではない。
 ただ、現実問題として、(資格試験ではなく)、定員を争う試験では不合格者が出ることは避けがたい。
 この時期、自分がそうはならないか、自分の子がそうはならないかと過敏になっている子や親は、冷静に「勝利」と言う言葉が入った文を読めるだろうか。

 少し話がそれるかもしれませんが・・・。
 今、教育界で「成果主義」という言葉がよく聞かれます。
 教育の結果を何でも数値化し、評価していくというものらしい。どこそこの学校の学力テストの平均点はいくらだとか、どこそこの高校から国公立の大学に何人入ったとか。
 「○○の奇跡」という言葉まで生まれました。

 ある中学生の母親の言葉。
 「なにが奇跡や。奇跡の安売りやな。もともと賢い子集めて、そこにやり手の先生付けて受験勉強させたら、そこそこ受からなおかしいやん。奇跡ゆうんやったら、進学率最低の高校の子を国公立にいっぱい入れんと。それやったら奇跡って言ってもいいやろ。」
 「それに何? 教育の政治利用? 教育界で上げた実績(??)を宣伝に使って政界に進出する人、このごろ多くない? もう、いいかげんにしてほしいわ。テストの結果より、進学率より、もっと大事なんは、子どもがいきいきのびのび暮らせることやろ。」 大胆なご意見、ありがとうございます。

 話をもとに戻し・・・。
 今回の学校便りも全体としてはすばらしい内容なだけに、先に指摘した部分は残念だった。
 なにか「成果主義」の影がちらつくような気がして。私の心配しすぎということで収まればいいのですが・・・。

  

画像(180x135)・拡大画像(640x480)

長代川の散歩道

 朝、きくちゃんの散歩のついでに、北稜高校まで足を伸ばした。9時ぐらいだったが、まるで人けが感じられず、「ほんとに、受験会場?」と思った。
 もし、失敗しても、気にすんな。おっちゃんなんか失敗ばっかりの人生やけど、これまたけっこう楽しんで生きとるでー。ヨメさんにおこられもってやけどな。今まさに目の前にある、その受験の緊張感を楽しんだれ。またいつか、おもろいこともあるわな。(なんてこと、エリートコースを歩んだ先生には言えんわなー。)

 そんなことを思いながら校舎を見つめていると、後ろを「ガッタン、ゴットン、・・・」叡山電車が。 はるか東には、雪の薄化粧をしたばかりの比叡山が。
 こんな風景を毎日見られるだけでも幸せですね。 

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まるっきり人けのない北稜高校

画像(180x135)・拡大画像(640x480)

叡電のバックに雪の比叡山


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