2008年06月05日(木)
「サラエボの花」 [映画]
今週末より、京都シネマ(四条烏丸)で シリーズ「戦争と女性」VOL.1が上映される。
「さよなら。いつかわかること」 2007・アメリカ
「Womem in Strugglー目線ー」 2004・パレスチナ
「ひめゆり」 2006・日本
「ナメムの家」 1995・韓国
この中で「ひめゆり」は今年1月に見たばかりなので、残りの3本をぜひ見たい。
今週末からは、世間で話題になった「靖国 YASUKUNI」も上映される。しかし、私はこの映画にはさほど興味はない。
一昨年8月15日、私は、時の首相小泉氏が参拝された後の靖国神社を見学する機会があった。短時間ではあるが、その異様な空気はしっかり見てきたつもりだ。
みなさんにも、実際に8月15日に靖国を見てこられることをおすすめします。
実は、今年に入ってから見た映画で、このブログに感想が書けていない映画が1本だけある。
それは、「サラエボの花」。
1月16日、京都シネマで、「ひめゆり」をヨメさんといっしょに見た。 その後お昼ごはんを食べ、ヨメさんは「2本見るのはしんどい。」と言って帰ってしまった。そのあと私一人で見たのが、この「サラエボの花」である。
「京都シネマ通信」での紹介は、以下の通り。
シングルマザーであるエスマは、12歳になる娘サラと2人暮らし。多感な時期を迎え、自身の父のことを知りたいというサラの強い願いに、娘への愛ゆえにひた隠しにしていた壮絶な過去を明らかにするエスマ。ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ・グルヴァヴィッツァ地区は、十余年前に起こったボスニア紛争により、歴史上類をみない民間人へのレイプと言う悲惨な事件が起こった街。当時10代だったボスニア出身のジェバニッチ監督は、強くそしてつつましく生きる家族の愛と再生を丁寧に描いている。サッカー前日本代表監督イビチャ・オシム氏の母国でもあり、彼もこの作品に熱いメッセージを寄せている。
まず私は、「旧ユーゴスラビアはどこか?」、から始まる。 (イタリアの海を挟んだ東? ギリシャの北? ブルガリアの西?)
1984年冬季オリンピックが開催された都市なのに、日本人にはほとんどなじみがない。(84年は、若き黒岩彰、橋本聖子が初代表。スピードスケート男子500の北沢が日本唯一のメダル。)
1992年から95年まで続いたボスニア内戦では、死者20万人、難民・避難民が200万人発生。(内戦前の人口は、430万人。) オリンピックのメインスタジアムであったところは破壊され、現在は内戦で亡くなった人々の墓地になっているらしい。
わずか10数年前のヨーロッパで、戦争に名を借りた集団レイプが行われていたとは。なんということだ。
うちの二人の子は、91年生まれと94年生まれ。この映画の「サラ」と同世代である。そう思って見ていたら、つらくなった。
ちょっとテーマが重すぎて、コメントがむずかしい。だから、ブログに書けなかった。こんな私たちにもできること、それは厳しい現実から目をそらさず、少しでも知ろうと努力することだ。
そして、ただ一つだけ確実に言えること。
「これが戦争だ。」
「加害者」側であるセルビア人女優ミリャナ・カラノビッチ、奥深い表情がすごい。彼女に出演依頼した女性監督ヤスミラ・ジュバニッチ(32)、脱帽です。
シリーズ「戦争と女性」、見に行くぞー!
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2008年05月14日(水)
「トゥヤーの結婚」 [映画]
久しぶりの「京都みなみ会館」。
つぶれたパチンコ屋さんの広い駐車場が使えること。よそでやっていないマイナーな映画が見られること。余裕を持ってすわれること。などなどの理由から、最近は「みなみ会館」に行くことが多くなった。
昨日の京都新聞シネマガイドに紹介してあった。
子ども三人を抱える遊牧民の女、トゥヤーの再婚の条件は、離婚した夫も一緒に暮らすこと。
砂漠化が進むモンゴルでたくましく生きるヒロインを描き、2007年ベルリン国際映画祭金熊賞(グランプリ)に輝いた。コン・リー、チャン・ツィイーに続く中国出身の国際派女優として期待されるユー・ナンが、過酷な現実を背負いながらも凛としたトゥヤーを好演。荒涼とした大地と人々の素朴な営みの中で、その美しさにはっとする。
最初に子ども同士のけんかの場面。
「父親が二人いて、何が悪い!」
「けんかは、やめて!」 パオに入り、涙を流す花嫁姿のトゥヤー。
そして、場面は戻り・・・。
重度の障害を持った夫と二人の子(京都新聞の紹介文の三人はまちがい)を養うために、羊の世話をするトゥヤー。
でも見ていると、うちのいなかの知り合い真奈ちゃんに見えてきた。
動けない夫バータルは、太って日に焼けた石田純一。
離婚届を出したトゥヤーに求婚するボロルは、きむにい。
隣人センゲーは、24時間リレーマラソンの荻原さん。
みんな日本人に見えてくる。
一番びっくりしたのは、離婚届を出した後、次々と求婚者が現れたことだ。モンゴルでは、裁判所が再婚の斡旋をしてくれるようだ。(個人情報公開法?)
結局、皆、元夫の同居という条件に難色を示し、なかなか再婚できない。そしてトゥヤーは・・・、(この先は、作品を見てください。)
なぜ、トゥヤーは、動けない夫にこんなにこだわるのか。
答えは、息子ザヤの言葉の中にあった。
再婚相手の車に乗せられたとき、母に言った。
「ボクはおかあさんといる。妹は、お父さんといさせる。」
「どうして?」
「守らないといけないから。」
お母さん(トゥヤー)は、この言葉、うれしかったやろなあ。
ずっとむこうに山脈があるだけで、ほかには何もない。羊のえさになる牧草もまばら。(この何もない景色には、目を奪われた。)
パンフレットに「遊牧民」という言葉が使われていないわけが分かった。あの過酷な仕事は、決して「遊牧」ではない。
父の病室で、ベットに横たわる父をなじる母(トゥヤー)。ブチ切れ状態の母の横で、薬品のビンのふたをいじくる息子ザヤ。
この場面は、私が選ぶ秀逸のシーンです。自分にもこんな時があったなあ。廉や真樹もあったやろなあ。
元夫を引き連れて再婚なんて「ありえない世界のありえない物語やなあ。」と思いながら、いつもどおりパンフレットを買って出た。でも、日本では聞いた事ないけど、モンゴルではそんな特殊なことでもないのかも。しっかり、パンフレット読もうっと。
パンフレットを見て、またびっくり。
主人公トゥヤー役のユー・ナン以外は、みな一般人。
夫バータルと隣人センゲーは、モンゴル族の牧畜民。バータルは、今でも映画に出たことを信じられずにいるという。
求婚者ボロルは、モンゴル族のビジネスマン。映画の中でもビジネスマン役だった。この三人とも本名で出ているモンゴル人だった。もちろん、子役の二人もモンゴル族の牧畜民の子で、本名。
みんな、しろうとにしたらうますぎる。いい味出しすぎ。
前にもこんな配役の映画見たなあ。というより、アジアの映画は、たいてい一般人大活躍。どうして日本にはこの手の映画がないのだろう。
私も「こうじおっさん」の本名で、映画に出てみたい。役立たずの夫の役でね。
今日も一日一回限りの上映。いい映画なのに、ちょっともったいない。
厳しい自然、厳しい生活、女性一人の力で家族全員を養っていく事は並大抵のことではない。(ん? うちに似てるって!)
それでもそう簡単に死ぬわけにはいかない。厳しい現実を突きつけられる場面が幾度もあった。「生きる」ことについて深く考えさせられた。
これも、多くの人に見てもらいたい映画だ。
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2008年03月26日(水)
「犬猫」 [映画]
2ヶ月ぶりに映画を見た。「犬猫」
今話題の「人のセックスを笑うな」の井口奈己監督のデビュー作である。(8mm版・2001、リメイク劇場版・2004)
というより、私は題に注目した。「いぬねこ」、なんと大胆な。
主役は二人。榎本加奈子と藤田陽子。
仲の悪い幼なじみの日常を描いた映画である。
藤田陽子さんは知らなかった。モデル出身らしい。
榎本加奈子さん。中学生くらいの時、ハウスメーカーのCMに出ていた。めちゃくちゃかわいかった。真樹もあんな感じの子になってくれへんかなあと思ってたら・・・今や略奪婚(?)で、大魔神佐々木の妻。
しかし、けげんそうに人をみる目つきなどは、ちょっと真樹っぽかった。あれくらいなら、いけるかも。
他には、小池栄子、忍成修吾、西島秀俊。あと、ネコのムーとでっかい犬。
パンフレットには、このムー役の黒猫が行方不明になったことが書かれていた。たいへんや。(だいぶたってから戻って来て、撮れてなかったシーンを後からたしたらしい。)
内容とすればどうとゆうことのない映画だが、全体が静かで、それだけでも好感が持てる。
最初眠くなりかけたが、ヨーコ(榎本加奈子)がめがねをはずしコンタクトをはめてから、一気に話がおもしろくなった。
あちこちに、映画ファンのこころをくすぐるシーンがあった。(映画好きではない人なら、見過ごすかも。)
とくにスズ役の藤田陽子さんが、土手を疾走するシーンがきれいだった。もっともっと走ってほしかった。(見ていて、ほれぼれした。)
小池、忍成、西島、みなうまい。
見てお得な映画だった。(しかし、観客は17人! 京都みなみ会館、だいじょうぶかい?)
映画開始が12時前、終わったのが1時半。
外に出た時、陽の光がまぶしかった。白昼から映画を観るのは何か後ろめたい。(でも、この感覚もちょっと好き。)
こういうマイナーな映画も、また観たい。
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2008年02月23日(土)
「ひめゆり」 -長編ドキュメンタリー映画- [映画]
ひめゆり学徒隊生存者22人の証言が、一本の映画になった。
昨年3月、中学を卒業したばかりの息子とひめゆりの塔へ行った時、平和祈念資料館でその証言が流されていた。
また、一昨年6月、娘(当時小6)と妻との三人でひめゆりの塔に行った時には、語り部の方が帰られるところを呼び止めてお話してもらった。(新崎昌子さんという方だった。)
自分では、沖縄戦について少しは知っているつもりだったが、新崎さんのお話を聞いて、米軍が最初に上陸した場所さえまちがっておぼえていることに気がついた。
最初に上陸したのは「読谷(よみたん)」。そこは新崎さんの出身地だった。それがわかった時、本当にはずかしかった。
「本土の人は、そんなことも知らずに、ここに来てるのかね。」と思われたにちがいない。
あの後、沖縄戦の本を読んだり、上映会に参加したり、前よりは少しはましになっているはず。この映画もしっかり見るぞ、と気合を入れて見に行った。(妻と二人で。)
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2008年01月05日(土)
「カフカ・田舎医者」「いのちの食べかた」 [映画]
2008年、初映画
「カフカ・田舎医者」
狂言・茂山家の一族が声を担当。当日茂山七五三さんと茂山茂さんの舞台あいさつがあるということで、みなみ会館は満席。みなみ会館が満席になったのは、「ジョゼと虎と魚たち」以来か。
カフカと言えば、私の学生時代にその全作品を読んだはずである。しかし、「田舎医者」はおぼえていなかった。
映画はうまくできていたと思う。カフカ独特のじれったさが、みごとに表現されていた。ただ、カフカをまったく知らない人は見ないほうがいいかも。(カフカは「変身」で有名だが、私は「城」が一番好き。じれったさの極致。)
今回の「田舎医者」やアカデミー賞ノミネートの「頭山」よりも、「年をとった鰐」が強く印象に残った。年をとりすぎ、家族からうとまれるワニの悲哀がなんともいえんかった。
年をとったワニには身内を食べてしまい、家族から追放されてしまう。やつとたどり着いた離れ小島で、ひつそりと暮らしていたタコと出会い、友達になる。でもおなかがへって、夜になるとタコの足を一本ずつ食べてしまう。タコは数がかぞえられないので、足が無くなっていくことに気がつかない。そして最後には悩んで悩んだあげく、ワニはとうとうタコの体まで食べてしまう。かけがいのない友達を食べてしまったワニは・・・(意外な結末は、ぜひ作品を見てください。)
「いのちの食べかた」
新聞に紹介されたとき、見たいというより見ないかん映画と思った。説明や音楽が一切なし。その分、考える時間がたっぷりあった。
すべての食糧は機械的に生産され、きれいな形で食卓に上る。ほとんどの人は、その過程を知らないし興味もない。
牛が機械にはさまれ、殺され、つるされるシーンはつらかった。
つらい場面もあるが、できるだけ多くの人に見てもらいたい映画だった。
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