パオパオだより

2015年01月07日(水)

「リベラルじゃダメですか?」 [書評]

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◎「BOOK」データベースより

   「リベラルじゃダメですか?」 香山リカ 祥伝社新書

【内容情報】
 昨今、ネット上では中国・韓国を批判する書き込みが目立ち、排外的なヘイトスピーチも問題となった。加えて安倍政権による集団的自衛権の行使容認が決まり、一連の動きを日本の「右傾化」と見る向きは多い。その背景には、単に「保守派」「タカ派」の影響力が増しているだけでなく、リベラル派の衰退がある。彼らの影が薄くなった要因は、他ならぬリベラル派自身にあるのではないだろうか。端的に言えば、リベラル派は「嫌われている」のだ。「自由・平等・公平」の実現を目指すリベラル派が、なぜ支持を集めることができないのか。リベラル派を自認する著者が、自戒を込めてその理由と対策を探る。

【目次】
 第1章 リベラル派は嫌われている?(「リベラルって何だ」という問題を考えるきっかけ/罪を犯した精神障害者をどう扱うかという問題/立ち消えになった「処遇困難病棟」案/九〇年代初頭と現在との大きな違い/報じられることのなかった、秘密保護法案成立への動き/誰かが気づくかもしれないという思い/無力になったリベラル派の意見 ほか)

 第2章 「純血主義」で分裂するリベラル派(小泉元首相の「原発ゼロ宣言」/脱原発の「理由」は重要ではない/一点突破ができないリベラル派/「純血主義」があらわになった二〇一四年の都知事選/負けグセのついてしまったリベラル派/リベラル派に生まれた疑心暗鬼/一矢報いるためには何が必要か ほか)

第3章 「ポジナショナリズム」の時代(グーグルの「サジェスト汚染」による被害/ファンレターの何十倍も届く批判の手紙/「反日」のリベラル派はいるのか/二〇〇〇年代になって高まってきたナショナリズム気分/橋下現象から安倍現象へ/橋下氏と石原氏の日本維新の会が分裂した理由/安倍氏よりも橋下氏のほうが、まだマシ ほか)

 第4章 リベラル派が生き残るには(「私がすばらしくあるために、国がすばらしくなければならない」/「新自由主義」という手強い敵/「売れれば良い」でも「売れなくても良い」でもなく/リベラル派は清貧でなくてはならないのか/清貧思想がリベラル離れを加速する/福田和也氏の不満/左翼は貧乏くさいのか ほか)

【著者情報】
香山リカ(カヤマリカ)
1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、立教大学現代心理学部教授。学生時代より雑誌等に寄稿。その後も臨床経験を生かして、各メディアで社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍、現代人の“心の病”について洞察を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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 なんと、去年の1月以来の「書評」。通算でも10冊目。1年に1.5冊のペースですか。

 言い訳させてください。本は読んでるんですよ。特に今やっている寮の管理のバイトはヒマな時間が多く、本を読む時間もある。
 ところがねえ、前にも書きましたけど私は集中力と持続力に乏しい。目で活字を追いながら、頭はちがうことを考えている。また最初はいいペースで読み始めるのだが、途中から飽きてきて本の最後までいけない。こうして、途中まで読んで放置されている本が山になっている。
 「あー!」

 香山リカさんの「リベラルじゃダメですか?」は抜群によかった。途中で飽きることなく、最後まで一気に読めた。
     ◇
(「まえがき」より)
 私としては、「リベラル」というのは何も特殊な主義信条とか政治的理念ではなくて、「個人の自由を大切に、でもなるべく平等、公平に」といったマイルドな考え方や姿勢というくらいの意味に使っていた。個人の自由が一切、認められない全体主義もイヤだし、かと言ってすべてが個人の自己責任で弱肉強食の世の中になるのも困る。ほどよくお互い助け合いながら、個人も他人も世の中全体も、ついでに言えば他国との関係も大切に。これが私の中での「リベラル」の定義である。
 ところが今や、それが「過激」「危険」だというのだ。
 はっきり言って、リベラルじゃなぜダメなのか、私にはさっぱりわからない。
 とはいえ、「現実はそうなっている」と言うのなら、その理由を少し考えてみることにしよう。そこで何か現代の問題の一端が見えてくるかもしれない。
     ◇

 もし香山さんが党首となり、リカ党でも旗揚げしてくださったらその党員になりたい。そう思えるくらいすばらしかった。
 私は「リベラル」という言葉を今まで理解しておらず、今や死語になっている「革新統一」派であると思っていた。でも、もう「リベラル」でもいいかな。

 「リベラル」に近いと思っている人は、この本を読むべし!
     ◇
 自分がいちばん重要だと思っている考えを実現しようとするならば、ほかの点では意見が違う人ともときには手を結ぶ柔軟さも、ぜひ身につけてもらいたい。一から十まで同じ考えでなくても、目的が同じならいっしょに活動するくらいの“ふところの深さ”はリベラル派にあまり備わっていない性質のひとつだ。
     ◇
 「憲法九条アピールラン」は、体を鍛えるにいいですよー。常に体を鍛えているイメージがある右翼のみなさん、私といっしょに走りません?
 

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【今日のきく】

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 今日は、北大路ビブレできくちゃんへのおみやげを購入。
 ついでにしっかりした首輪も買った。
 家に帰ると、おやつは喜んでくれたが首輪は警戒していた。難しいもんです。

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【RUN】

 おとといしんどいのに無理して8km走った。そのせいで昨日は腰痛がひどく休養。今日はましな気がしたので、またおとといと同じ8km。44分34秒とおとといよりだいぶ速く走れた。
 ところがそのあとまたひどい腰痛。特に前かがみが痛い。
 今度の日曜「武庫川ハーフ」なんですけど。どうしたら痛みがましになるでしょう。

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今日の晩ごはんの鯛

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2014年01月30日(木)

「バカに民主主義は無理なのか?」 [書評]

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◎光文社ホームページより

  「バカに民主主義は無理なのか?」  長山靖生/著

 民主主義だからダメなのか? まだ民主主義じゃないからダメなのか?
 昨今の日本を見ていると、もう本当に「日本の民主主義はダメなのか?」とうなだれてしまう。これまで、日本の政治がうまく機能していない理由は、「民主主義が未熟」であるためだと説明されがちだったが、本当は何が問題なんだろう。本書では、日本の民主制の危機、問題点を考えるにあたり、民主制や自由思想の歴史、そしてそれを近代日本がどのように移入したのか、さらに、改正が取り沙汰される日本国憲法の、国民の見落としている根本原理などについて一から学び直す。また戦後政治が何を積み残してきたのかを丁寧に振り返り、最後には、我々に最も欠けている思考について検証。民主主義の限界を克服する道を探る。「必要悪としての政治」という視点から、民主制の主体=民衆に求められる資質・精神について考える。


■目次

はじめに

第1章 日本人は、いったい政治に何を望んでいるのか?
         ――日本の民主制が危機におちいっている理由
第2章 「自由」と「平等」に、根拠はあるのか?
         ――民主制の歴史と、展開
第3章 日本国憲法、何か問題でも?
第4章 戦後の日本政治は、何を積み残してきたのか?
第5章 バカに民主主義は無理なのか?
         ――輝かしくない日本の未来に向けて
あとがき
参考文献


■著者紹介長山靖生(ながやま やすお)
1962年茨城県生まれ。評論家。歯学博士。鶴見大学歯学部卒業。歯科医のかたわら、文芸評論、社会時評など幅広く執筆活動を行っている。1996年、『偽史冒険世界』(筑摩書房)で第10回大衆文学研究賞を受賞。2010年、『日本SF精神史』(河出ブックス)で、第31回日本SF大賞、第41回星雲賞を受賞。著書は他に、『「人間嫌い」の言い分』『不勉強が身にしみる』『「論語」でまともな親になる』『新書で名著をモノにする 平家物語』(以上、光文社新書)、『天皇はなぜ滅びないのか』『天下の副将軍』『テロとユートピア』(以上、新潮選書)、『日露戦争』『大帝没後』『謎解き 少年少女世界の名作』(以上、新潮新書)、『千里眼事件』『奇想科学の冒険』(以上、平凡社新書)など多数。

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 ちょうど1週間前の木曜のバイトのときに読み終わった本。あれから1週間たって、中身をほとんど忘れてしまった。
 そこで他の人の書評を見てみると、評価の低いものが多かった。私は読んでいてそんなにダメとは思わなかったのだが・・・。歯医者さんが民主主義や政治に関する本を書いておられるだけでもおもしろいやないですか。
 全体としては社会科の教科書を読んでいるようだったが、ところどころ「フムフム」とうなずくところもあった。
     ◇     ◇     ◇
(目次の一部)
 ・「一票の平等」という過疎地差別、地方の植民地化
 ・「出たい人」からしか選べないー政党政治の欠陥と、維新の元勲たちの危惧
 ・ついに「消費税」導入、「国策としての少子化」の矛盾は放置され・・・
 ・戦場では、敵を撃ち、味方を助ける者を戦友と呼ぶー「友愛」の危険性を自覚せよ

(各章のまとめの一部)
 ○日本には厳然たる地域格差があり、差別もあります。
 ○選挙よりもクジ引きの方が、マシな人が選べるのでは?
 ○「みんなで幸せ」になれないからといって、「みんなで不幸」を望みますか?
 ○日本国憲法が古くなったとして、古いものはイケナイのなら、伝統とか文化はいらないのでしょうか。
 ○政権政党が変わっても、日本の政治はあまり変わりません。というか、自民党と民主党って、単なる派閥ではないのですか?

【第5章のまとめと課題】・・・・・は、ここに紹介した理屈(暴論?)やデータだけでなく、みなさんが日頃から気になっている疑問や不満、情報を加味して、ご自身で設定してください。
     ◇     ◇     ◇

 やっぱり私が課題を設定するならば、「地域格差と差別」。
 だいぶ前にも書いたが、「一票の格差」を訴える人たちには「一米軍基地の格差」や「一原発の格差」もいっしょに訴えてもらいたい。米軍基地も原発も人口比で配分するなら、東京や大阪に集中しなければ納得できない。東京湾や大阪湾をもっと埋め立てて、米軍基地や原発を誘致すべきです。それからでしょう、「一票の格差」を論じるのは。

 私にはもっといい案がある。その都道府県の「不便指数」を算出して、その不便さに応じて議員数を手厚くするというのはどうだろう。そうすると、東京都の国会議員が一番少なくなり、見捨てられがちな県の国会議員が一番多くなる。東京なんて、これ以上なにがしたいねんと問いたい。不便なとここそやりがいありまっせー。

 「立候補者は過疎地をめざす!」

 ひゃー、かっこいい。ってことにはならんかなあ・・・。
 ( 私も十分なバカですね。)

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【今日のきく】

 今日は朝から雨。
 毎週木曜はバイト前のひとっ走りが恒例になっていたが、雨ではねえ。17日ぶりの練習休み。

 でも、きくの散歩に休みはない。ますみちゃん、「ご苦労さんどす!」

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2014年01月08日(水)

「若者のホンネ」 平成生まれは何を考えているのか [書評]

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◎「BOOK」データベースより

 「若者のホンネ」 平成生まれは何を考えているか 香山リカ著 朝日選書 2012年12月

■ 最近の若者っていったい何を考えてるの?平成生まれの大卒が社会人になった。中高年の多くが「最近の若者」の気持ちがわからないという悩みを抱えている。若者に特有のプライドとは、コンプレックスとは、恋愛や人間関係とは…。40のキーワードを基に、中高年と若者の心理の違いを綴った若者論。

■目次 : 1章 “今どきの若者”の気持ちを知る!(マイブランド/ SNS疲れ ほか)/ 2章 誰にも言えない心とからだの悩み(内面的なプライド/ 本当に嫉妬しない人たち ほか)/ 3章 大人が知らない最近の恋愛事情(遊び以外は仕事/ 二次元の恋愛 ほか)/ 4章 若者が関心のある社会とは(貯金好き/ すぐ使える勉強 ほか)/ 5章 いったい若者は何を考えているのか(絆ストレス/ 愛国心依存 ほか)

【著者紹介】
香山リカ : 1960年北海道生まれ。精神科医、立教大学現代心理学部映像身体学科教授。東京医科大学卒。臨床経験を生かして、社会批評、文化批評なども手がけ、現代人の“心の病”について洞察を続けている。
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 またまた、私の悪いクセ。読んでる本を途中でどっかにやってしまう。中途半端に放置されている本が増えるばかり。
 今日時間があったので、その「放置本」の中から一冊ピックアップ。私の大好きな香山リカさんの本。
 
 うちの平成生まれの二人の子のうち、真樹は昔っぽいところもありなんとなく分かる感じがする。しかし、廉のほうは本当に今風の子だ。目次の中の「二次元の恋愛、愛されキャラ、医療不信、コンプレックス、対人操作、ぼっちの不安、エロスなき結婚、正業不安、いじめのコスト、内面的なプライド、自己満足系の自分磨き・・・」当てはまるものが多い。この本はかなり参考になった。

 この香山リカさんも、あの橋下市長にかかればボロクソ。しかし人間の幅という観点からすれば、あまりにも差がありすぎるように思う。

 「平和という元凶」の項では以下のような記述がある。
     ◇     ◇     ◇
 いつの間にか「平和が大事」と口にするだけで、逆にある特殊な思想の持ち主として激しく攻撃されてしまう。
 第二次世界大戦を経験した世代は高齢化したり世を去ったりして、本当の意味での「平和の尊さ」を語ることができる人は減りつつある。若い人にとっては、「平和」は生まれつきそこにあるもので、とにかく守り続けなければならないもの、何かをがまんしてでも手に入れなければならないものとは思えないのだろう。
 なるべく「若い人たち、たいへんだよね。その気持ち、わかるよ」と言いたい私であるが、この点に関してだけは「平和は大切。経済力などを少々犠牲にしてでも、平和だけは守り続けなければならない」と頑固に言い続けなければならない、と思っている。
     ◇     ◇     ◇
 自称・憲法九条バカの私にとって、なんて心強い言葉でしょう。

 一方、香山リカさんはこんなおもしろいことも言っておられる。  
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◎毎日新聞12月28日朝刊

   香山リカのココロの万華鏡:そのままの自分認めて

 「私、失敗しないので」が決めゼリフの、スーパー女性外科医が活躍するテレビドラマが、大人気のうちに最終回を迎えた。主人公は自分の腕に絶対的な自信を持ち大学病院の権力争いにも無関心、誰に対しても言いたいことをはっきり言う。

 そのカッコよさに拍手喝采しながら見ていた私だが、ふとわが身を振り返ると、「同じ医者でもずいぶん違うな」と情けなくなってくる。長年やればやるほど、「本当に患者さんを救えているのかな」と自信がなくなる一方だし、職場ではいつも上司や同僚の顔色をうかがっている気がする。そして、まわりの人から少しでもマイナスのことを言われると、いちいち傷つき、落ち込んでしまうのだ。

 いったいどうすればドラマの女性医師のように、自分に自信を持つことができるのか。

 矛盾して聞こえるかもしれないが、自信を持つために、まず必要なのは「多くを望みすぎないこと」なのではないかと思う。「ああ、ダメだな」と自信を失いがちな時に、私は自分に聞いてみることにしている。「じゃ、自分はどれくらいできると思ってたわけ?」

 つまり、「こんなはずじゃない」「もっとすごいはず」とどこかで思っているからこそ、現実の自分に失望し、自信を失ってしまうのだ。もし、うまくいかない時も、「精いっぱいやったのだからこれでいいのだ」と結果を受け入れることができれば、それ以上、自分を責めたり辛い点をつけたりすることもなくなるのではないか。

 診察室には自信を失っている人が数多く訪れるが、年末にはこんな言葉を繰り返した。「でも、なんだかんだ言って、お互い今年も生き延びたわけですしね」。もちろん、それで十分というわけではないが、とりあえずはそんな自分をほめて、満足感を味わってもよいはずだ。それなのに「そんなことでいちいち喜べるか」と暮らしていること、生きていることを軽んじながら、私たちはどんどん自信を失っているのだ。

 考えてみれば、自信たっぷりのドラマの女性医師も、手術の腕以外には弱点や欠点もたくさんある。人間関係も苦手でギャンブル好き、服装もやたら派手で決してセンスがいいとは言えない。それでも、「私はこれでいいんだ」とそのままの自分を認め、得意なことをする時に胸を張るだけで、その人なりの輝きが出てくるのではないか。

 よし、私も来年は、「私、失敗しない……かも」くらいのことは言って、胸を張ることにしよう。
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 これははよかった。「なんだかんだ言って、お互い今年も生き延びたわけですしね」というのを、今年の私の年賀状のごあいさつ文に採用させてもらおうかと思ったくらい。
 今生きていることを軽んじず、自信を失わないように前を向いて歩む。
 「なんだかんだ言いながら、今年も生き延びるぞー」と思っていいんですよね。

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2013年10月24日(木)

「ネット右翼の矛盾」 [書評]

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◎「BOOK」データベースより

   ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」 (宝島社新書) 
       安田浩一・山本一郎・中川淳一郎  2013年2月

【内容情報】
インターネット上で過激な発言を繰り返し、ついにはフジテレビや提供スポンサー企業に対してデモを行い、現実世界でも影響を持ち始めている「ネット右翼」。反韓、反マスコミ、反エリート…“愛国”“憂国”を唱える彼らの論調は、一見、非常に論理的な意見に見えるが、実は矛盾に満ちている。一体、ネット右翼はどのような人々が中心で、どのような生活を送ってきたことで、そのような考え方をするようになったのか。ネット右翼の「誤解」や「妄想」、はたまた「論理の矛盾」を具体的に挙げつつ、彼らのホンネがどこにあるのかを、ネットジャーナリズムの旗手3人が分析、明快に解き明かす。

【目次】
第1章 ネット右翼のリアル(ネット右翼のシンボル的存在、「在特会」/節電で「犠牲者」は増えたのか ほか)/第2章 弱者のツール(変わりゆく日本社会に置いていかれる恐怖と無学の関係/ネット発のデモが起こる構図 ほか)/第3章 メディアの反日陰謀論ー考えすぎだ、メディアにそんなガッツはない(レッテル貼りに成功した“愛国者”たち/私が反日認定された「理由」 ほか)/第4章 ネット右翼の正体ーお前ら、日本をどうしたいんだ!(「ネット右翼」に思想的なものは何もない/下から見上げる「目線の構造」 ほか)

【著者情報】
安田浩一(ヤスダコウイチ)
1964年生まれ。『週刊宝石』『サンデー毎日』などの記者を経て、現在はフリーのジャーナリストとして活躍

山本一郎(ヤマモトイチロウ)
1973年生まれ。1996年、慶應義塾大学卒業。投資会社経営の傍ら、著作家やブロガーとしても活躍

中川淳一郎(ナカガワジュンイチロウ)
1973年生まれ。1997年、一橋大学卒業後、博報堂入社。2001年に同社を退社し、雑誌編集者などを経て、06年からインターネット上のニュースサイト編集者に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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◎新書の小径(週刊朝日)より

■自分陣営の居心地悪さ     [文]青木るえか  [掲載]2013年04月05日

 「ならず者の最後の逃げ場が愛国」なんてセリフがありましたが、コリアンタウンで「チョーセン死ね!」とか言ってる在特会など見てると「まさにソレだ」と思う。私も「和食より韓国料理のほうが旨い」と言ったら「半島へ帰れ」と言われた。帰れと言われても。
 自分が気に入らないことを言う相手はすべて「韓国朝鮮在日認定」。それで聞くに堪えないようなヘイトスピーチを繰り返す。冷静に考えて「マトモではない」。どんな時代でもそういう層は表面に湧きだしてくるだろうが、やはり「いったいなぜそんなことに」という気持ちは抑えられないもので、本書の共著者である安田浩一の『ネットと愛国』などは、そういう気持ちを晴らしてくれる素晴らしい書であった。
 この本は「ネット右翼」をバカにする本だ。知性もなく、ついでに職もカネもなく、一対一になったらいきなり弱っちくなるような、救いようのない小物、それがネット右翼であり、ああいう連中に在日認定されちゃってオレたちもタイヘンだねワハハハ、というような。
 でも、どうも複雑な気分にさせられる。この対応(間違った行動を取る人をバカにする)は私もよくするし相手を貶めるために効果的と思ってきたし、議論にケリをつけるにはいい方法だ。しかし、こうやって自分以外の人がやってるのを見ると、逆効果なんではないかと思わされる。妙案も思いつかないが、貧乏でバカな人に向かって「おまえバーカ」と言ってるのが自分陣営の人だと思うと、居心地が悪いのである。
 ことにこの本における、中川淳一郎の、バカに対する上から目線は「やっぱり博報堂なんか入れる人はこうなるのか」という偏見が起きる。
 お料理ブログなんかをやってる奥さんとかがたまに嫌韓的なことを書いたりするのを見ると異様にコワイ。そういう奥さんたちは、こうやってバカにされて考えを改めるか。そのへんが私にはどうにもわからない。
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 今日からまた泊りのバイト。
 「電話番だけの時間に、久しぶりに本でも読むか・・・。」

 そう言えばこの2か月、また本を読んでいない。8月はいい感じで読めてたのになあ。あの後味の悪い本を読んで以来か・・・。
 そう、それが「ネット右翼の矛盾」。 
 8月中に読み終えていたのだが、読後の気分が悪く、書評を書く気にもなれなかった。
 一つきりをつけておかないと、次には進めない。今日ネットで調べてみると、私のいやな気分を代弁してくれているかのような書評が見つかった。それが上の「自分陣営の居心地悪さ」。

 私の亡き母は、「人から見下されるような人間になるな」とよく言っていた。しかし今も健在な父は、「人を見下すような人間になるな」と教えてくれた。私は母の教えは守れていない。でも、せめて父の教えは守って生きて行きたいと思っている。

 また気を取り直して、いろいろな本を読んでみよう。
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【今日のきく】

 「昨日はオッサンに一日連れられまわされて、やっと帰ってきたとおもたらオバサンになめまわされ・・・。つかれるちゅうねん!

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2013年08月06日(火)

「憲法はむずかしくない」 [書評]

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◎e-hon本より

   憲法はむずかしくない (ちくまプリマー新書)
     池上彰 2005年11月 筑摩書房

■ おすすめコメント

 このところ、憲法のことがニュースにたびたび登場します。イラク戦争の後、イラクという国を建て直すために、新しい憲法を作ることになりましたが、どんな内容にするかをめぐって、難航に難航を重ねたことがニュースになりました。
 日本でも、いまの日本国憲法を改正すべきかどうかが大きなニュースになっています。憲法を変えようという人たちは、「時代にあった憲法を」と主張しています。でも、「時代にあった」とは、どういう意味なのでしょうか。
 一方、「憲法を変えるべきではない」と訴える人々は、「日本国憲法は世界に誇れる平和憲法だ」と言っています。「平和憲法」とはどういう意味なのでしょうか。それよりなにより、そもそも「憲法」とは、どんなものなのでしょうか。普通の法律と、どこが違うのでしょうか。
 そこで、この本では、そもそもの基本から憲法について考えてみることにしました。憲法とはどういうものか。日本国憲法はどうやって生まれたのか。第二次世界大戦後、日本国憲法をめぐっては、どんな議論があったのか。憲法改正を求める人は、何を問題にしているのか。そんな基本を解説します。
 まず知ってほしいことは、憲法はむずかしくない、ということです。この本を読んだ上で、あなた自身は憲法についてどう考えるのか、自分の意見をまとめてみてください。
 
■内容

 憲法はとても大事なものだから、変えるにしろ、守るにしろ、しっかり考える必要がある。そもそも憲法ってなんだろう?この本は、そんな素朴な質問に答えます。

■著者

 池上 彰 イケガミ アキラ

 1950年長野県生まれ。1973年、NHKに記者として入局。32年間にわたり、記者として、キャスターとして、事件・事故・災害・教育問題・消費者問題など、様々な分野のニュースを取材。1994年からは11年間、「週間こどもニュース」のお父さん役として、日本と世界の様々なニュースを子どもにも分かるように伝える仕事に専念。2005年3月にNHKを退職し、フリーランスのジャーナリストに。ニュースの背景にある歴史などを解説する著書も好評を博している。
 主な著書に『憲法はむずかしくない』『おしえて!ニュースの疑問点』(ちくまプリマー新書)、『そうだったのか!ニュース世界地図』『そうだったのか!中国』(以上、集英社)『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『ニュースの読み方使い方』(新潮文庫)、『経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ』(海竜社)、『ニッポン、ほんとに格差社会?』(小学館)ほか、多数。
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 だいぶ前に買って途中まで読み放置されていた本。私の部屋にはそんな本が山とある。このままだと、私が死んで火葬にしてもらうとき、私の体重以上の「読みかけ」の本を焼いてもらわなくてはならない。
 「こりゃいかん!」

 幸い、管理人代理のバイトを始めてから本を読む時間ができた。200ページくらいの新書だと、だいたい3時間あれば読める。ありがたいことだ。
 本を最後まで読むようになってから、新しい本を買わなくなった。まず、今持っている本を読まなくては。

 この「憲法はむずかしくない」も、その名の通りむずかしくない内容なのに途中まで読んで行方不明になっていた。最近見つかり、一から読み直し。先週のバイトのとき、2時間くらいで読めた。

 この本の帯に書いてあったが、「知らなきゃ議論できない」。ほんとにその通り。
 最近では、大江健三郎「沖縄ノート」裁判で、名誉棄損で訴えた原告が「沖縄ノート」を読んでいなかったことが発覚。大江さん側が勝訴したからよかったが、これは「知らないのに議論」のいい(悪い?)例だ。(という私も、「沖縄ノート」に3回挑戦して最後までたどり着かず、その本自体も今はどこへ行ったやら・・・。)
 その時の原告側の弁護士が、のちに自民党の国会議員になり、今や大臣。その大臣が、何が何でも8月15日に靖国に参拝するそうだ。
 (あっ、ちょっと脱線しました。)

 この本を読んでよかった。私も「日本国憲法」について大きな勘ちがいをしていた。長くなるが、引用。
     ◇     ◇     ◇

  憲法は国家権力をしばるもの

 憲法とは、簡単に言えば、その国の「法律の親分」のようなもの。一番上に憲法があって、その下にさまざまな法律が存在している、というイメージでしょうか。
 でも、憲法は単に「法律の親分」ではないのです。法律は国民ひとりひとりが守るべきものですが、憲法は、その国の権力者が守るべきものだからです。
 そもそも憲法は、国家権力を制限して、国民の自由と権利を保障するものです。 
 たとえばイギリスでは、17世紀、国王と議会がたびたび対立しました。国王が勝手なふるまいをして国民を苦しめることが多く、これに怒った議会のメンバーは、国王の力を制限する「権利の章典」を制定しました。これは「名誉革命」と呼ばれています。国王の力を、憲法のもとで制限してしまおうというものでした。「王様にだって、守るべきルールはある」というわけです。その後も、議会が国王と対立しながら、少しずつ国王の力を減らし、議会が力を持つようになりました。
 このように、国家権力を制限する憲法にもとづいて政治を行うことを「立憲主義」といいます。
 (中略)
 憲法と法律の関係は、次のように区別することができるでしょう。
 憲法は、国民が権力者に勝手なことをさせないように、その力をしばるもの。
 法律は、世の中の秩序を維持するために、国民が守らなければならないもの。

     ◇     ◇     ◇

 私は、「憲法は、私ら国民が守らなあかん決まりのいっちゃんきついやつ」だと思っていた。でもちがった。「憲法は、権力者が守らなあかん決まりのいっちゃんきついやつ」やったんや。
 自民党関係者だけでなく、右翼と呼ばれる人の中にも「憲法96条改正反対」を訴える人が多いわけが分かった。「権力者が守らなあかん決まりのいっちゃんきついやつ」を時の権力者の都合で簡単に変えられるようにしたら・・・、そら恐ろしいことになる。
 最近、国民全体の中でも憲法96条改正反対の割合が増えてきたのは、このあたりのことを理解する人が増えたからだろうと思う。
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【今日のきく】

 明日、真樹が沖縄から帰ってくる。
 きくとは、ゴールデンウイーク以来のご対面。3か月ぶりやねえ。
 さあ、きくの反応やいかに。
 楽しみ、楽しみ。

 (バイト先のパソコンでは写真の取り込みがうまくできない。よって、今日はきくの写真なし。)

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2013年07月26日(金)

「お笑い沖縄ガイド 貧乏芸人のうちなーリポート」 [書評]

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◎楽天ブックスより

   お笑い沖縄ガイド 貧乏芸人のうちなーリポート(生活人新書)
        小波津正光 2009年5月 日本放送出版協会

【内容情報】
B級グルマンがカーナビつきレンタカーで路地裏のそば屋に乗りつけ、女性誌は対ゲリラ訓練用キャンプのジャングルを「隠れ家リゾート」と持ち上げる。移住ナイチャーが産地不明の土産物をナイチャー観光客に売りつけ、地元お笑い芸人は米軍基地をネタに飯を食う。等身大の「癒しの島」は、矛盾だらけの泣き笑い。沖縄で生まれ育ち、東京から出戻った芸人が、ウチナンチュの本音をリアルに綴る。今、「沖縄好き」の度量が試される。

【目次】
オープニング 沖縄Q&A/ヤンバル芸人と行く沖縄リゾートの旅/Aサインと伝説のロックンローラー/灼熱の日米ビーチ決戦/観光の島/お笑い米軍基地ヒストリー/不動産屋の話〜移住計画者に捧ぐ/沖縄お笑い芸人への道/スピリチュアル・オキナワ〔ほか〕

【著者情報】
小波津正光(コハツマサミツ)
1974年那覇市生まれ。高校卒業後、比嘉崇と漫才コンビ「ぽってかすー」を結成。沖縄県内で活動した後、東京へ活動拠点を移す。2005年、企画・脚本・演出を担当した舞台『お笑い米軍基地』で注目を浴びる。2006年からウチナンチュであることにこだわり、単身沖縄に戻り、テレビ、ラジオ、舞台で活躍中。

(本データはこの書籍が刊行された当時、「BOOK」データベースに掲載されていたものです。)
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 今日も寮の管理人のバイト。午後1時から4時ごろまでの3時間は電話番をするだけ。もう新聞も読むべき記事もなし。
 ということで、超久しぶりの「書評」。また前回より1年ぶり。

 「1年に1冊しか本読んどらんのかい!」と言われそう。
 そんなことないんですよ。本を買ってきては読み始め、相変わらず読みながら頭がどっか行ってしまう性癖が出て遅々として進まず。そしてまたいつも通り、途中まで読んだ本がどこへ行ったか分からない。
 それでも何冊かは最後までたどりついた。「書評」を書こうと思ったが、どうせ書くなら気の利いたことを・・・と思いつつそのまま放置。まあ、思い入れのありすぎる「書評」を読むのもしんどいことですしね。だれも私の「三文書評」など望んでいませんから。

 でも、この「お笑い沖縄ガイド」はよかった。
 管理人のバイトに来た5月のある日。電話番しかすることのない午後の3時間で一気に読めた。
 私が一番心に残ったのは、「お笑い米軍基地ヒストリー」の項の89ページ以降。
     ◇     ◇     ◇
 そんな時、ある事件が起きた。
 それは忘れもしない2004年8月13日、わんのちょうど30歳の誕生日やさ。沖縄国際大学にアメリカのヘリコプターが墜落したわけよ。その日、わんは嫁と一緒に東京の汚いアパートにいたんだけど、嫁の友達からすぐ電話があったわけ。
 「今沖縄で大変なことが起きてるよ!」
 すぐにテレビをつけたけど、そんなニュースはやってない。沖縄のことが気になり、その日は一日中テレビをつけていたんだけど、ヘリ墜落のニュースを取り上げたところは殆んどなかったわけさ。それどころか、その日はアテネオリンピック開幕と当時プロ野球巨人のオーナーだったナベツネこと渡邉恒雄の電撃辞任のニュースばかり。
 「沖縄の大学にヘリが墜落したことよりも、巨人のワンマンオーナーの方が大事だば!」
     ◇     ◇     ◇
 「米軍基地に対する沖縄と本土の温度差」とよく言われる。しかし、それは「温度差」などという生ぬるいものではない。沖縄以外のほとんどの地域では、米軍基地を意識することさえない。同じ日本の国民なのにそれでいいはずがない。
 あとがきにはこう書かれていた。
     ◇     ◇     ◇
 この本の原稿を書いている間にも、米軍所属の飛行機がウージ(さとうきび)畑に墜落したり、訓練中の米軍の流れ弾が民家に停めてあった車のナンバープレートを貫通したり、工事現場で不発弾が爆発し作業員が重傷を負ったりした。
 沖縄ではそんな事件や事故が毎日のように起きているからや。これが「癒しの島」の本当の姿やさ。そんなことが日常的に起こること、そこで生活しているウチナンチュたちは自然と平和について考えるようになるよね。わったーにとって、それは特別なことじゃないわけさ。
     ◇     ◇     ◇
 真樹が入学していたかもしれない沖縄国際大学には、オープンキャンパスのときに行かせてもらった。また、現在住んでいる名護市は、普天間基地の代替地とされる辺野古がある。私たち家族にとっても、沖縄の米軍基地問題が身近なものになってきている。
 それについて私が知りえたことは、少しずつでも広めていきたい。
 
 まずは、「お笑い沖縄ガイド」を読んでみてください。
 私が自信を持ってお勧めします。
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【今日のきく】

 今日は、ちょっとだけでもきくのお散歩に行きたかった。
 ところが、1階にいるはずのきくが見つからない。居間にはおらず、大好きな階段下にもおらず、一番落ち着くらしい廉のベッド下にもおらず・・・。
 あとは、主不在の真樹部屋しかない。

 「ありゃま、こんなとこに・・・。」
 真樹部屋の押し入れに敷いてある大きな座布団の上。

 人間側は一人一部屋あるのだが、きくには決まった部屋がない。いくつになっても落ち着かず、他犬にケンカをふっかける性格は落ち着く場所がないからだろうか。

 「きくちゃん、もう真樹部屋もらっちゃう?」

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